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消費者物価の基調的な変動(24年7月)

植田和男日銀が追加利上げを決めた月の、消費者物価の基調的な変動(2024年7月)のデータが、8月27日に公表されました。早過ぎる追加利上げを責めるかのようなデータが日銀自身から公表されました。

基調を示す指標は、いずれも 2% を下回りました。(下図1)
上昇品目は減少傾向、下落品目は増加傾向が続いています。(下図2)

24年7月の消費者物価指数(全国)は、コアコア、欧米型コア、サービスのいずれも、2% を下回りました。(下図3)

追加利上げした際の金融政策決定会合の主な意見には次のようにありました。

● 物価目標の実現の確度はさらに高まった。ただし、人手不足の結果、供給不足・需要超過の業種が増えており、物価の上振れリスクに注意する必要がある
● 海外のインフレやこれまでの円安による輸入物価の上昇に加え、タイトな労働需給や、労働時間の上限規制の影響もあり、価格上昇圧力が続くと考えられる

出典
図1:日銀データを基に筆者作成
図2:日銀データを基に筆者作成
図3:総務省データを基に筆者作成

植田和男日銀の追加利上げを批判なさった方もおられるようです。

"「利上げの時期が適切か否かというレベル以前に、経済学の初歩的な観点から全く理解できない」と厳しく批判"

日銀の追加利上げは「全く理解できない」物価研究の第一人者が警鐘、「初歩的な経済学から逸脱」 | 渡辺努 物価の教室 | ダイヤモンド・オンライン

日本経済の様々なデータを見るプロの経済学者やエコノミストで、日銀の追加利上げに賛成している人を見たことがありません。

金融緩和に否定的な政党の国会議員が次のように述べておられたそうです。

"岸田総理の最大の功績をあえて挙げるとすれば、日銀の総裁を黒田総裁から植田総裁に変えたことだ"
https://cdp-japan.jp/news/20240823_8161

植田総裁が金融緩和に否定的な政党・議員から高評価されるということは…

「答え合わせ」できてしまいましたね。
日銀の展望レポートの経済・物価見通しのリスク要因に、日本経済や物価の基調にお構いなしに、追加利上げを断行する植田和男日銀自体が書かれていません。
それは、リスクではなく、顕在化してしまった、課題だからかもしれません。

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