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消費者物価の上昇幅鈍化(24年7月)

消費者物価指数 全国 (2024年7月)が公表されました。
植田和男日銀総裁が良く言う「第一の力」(コストプッシュ)は強まり、「第二の力」(賃上げと物価上昇の好循環)は弱まっている、と受け止めました。
後述の通り、コアコア、欧米型コア、サービスがいずれも2%を割っています。

消費者物価指数の動向

  • 総合 +2.8%

  • コア +2.7% (生鮮食品除く)

  • コアコア +1.9%(生鮮食品及びエネルギーを除く)

  • 欧米型コア +1.6(食料(除く酒類)及びエネルギーを除く)

  • サービス +1.4

図:総務省データを基に筆者作成

総合とコアが、2%を超えており、前月より上振れていますが、エネルギーの寄与度( 0.90 )が大きいようです。(政府の電気・ガス代補助の打切り)
単純に総合、コアから、エネルギーの寄与度 0.9 を引くと、1.9, 1.8 といずれも2%を切ってしまいます。

、図表出典:総務省

日銀のコミュニケーション

とある投資家は、植田和男日銀が追加利上げを7月31日に行った後も、
「日銀は上手くやっている」
と述べておられました。

2024年3月19日の金融政策枠組みの見直し、同年7月31日の追加利上げと、相次ぐ金融政策の引締めを植田和男日銀は「利上げオントラック目標」へのコミットメントとそれを裏付ける政策推進を行っています。
いずれの政策変更においても、メディアが事前にその政策変更内容を(リーク無しに)正確に事前報道することが続いています。

メディアの方が、急に金融政策に詳しくなったのでしょうか?
エスパー並みの透視力で、日銀の政策変更を見通せたのでしょうか?

国会閉会中審査

植田ショック

植田和男日銀総裁は、国会閉会中審査の中で、金融資産市場が乱高下したことを問われ、日本銀行の考え方が適切に伝わるよう丁寧な情報発信を行っていく、とご発言されました。
植田和男日銀が日本経済が過熱していないのに追加利上げを行い、総裁会見で、追加利上げ後の更なる利上げも辞さないという「超タカ派」のスタンス、考え方が適切に伝わったからこそ「植田ショック」が起きたのだと思います。

植田総裁は、株価・為替の乱高下の原因を、米国の景気減速懸念に端を発した、と述べておられました。鈴木財務大臣も同様の答弁をしています
円高方向に進んだことには、日銀の政策変更の影響も植田日銀総裁は認めておられます。

内田副総裁の講演後は、株価が戻ってきていますが「金融資産市場が不安定な状況では追加利上げをしない」(主旨)という内田副総裁の発言を受けて、「ハト派」かのように植田和男日銀を捉えてしまうのは、0.5%の政策金利水準を壁とも思わない植田和男日銀の「考え」(超タカ派)が適切に伝わっていないように思います。

経済・物価の先行き

日銀は展望レポートで、1月時点は、24年度の実質GDP成長率を1.2%とし、7月のそれは、0.6%と半減させたうえで、追加利上げを決めました。
見通しが「オントラック」と強弁して。
24年の4-6月期の実質GDP成長率が高かったことを持って、日本経済を好調ととらえる投資家の方もおられるようですが、対前年同期比で見ると、実質GDPはマイナスです。

8月から3か月は、政府の電気・ガス代の補助が復活し、エネルギーの寄与は下がります。

物価の上振れリスクを過度に懸念する植田和男日銀。
植田和男日銀自体が、日本の経済・物価を下振れさせるリスク(顕在化している、という意味では既に課題)かもしれません。

アベノミクス・金融緩和に否定的な国会議員が、岸田文雄政権の数少ない功績として、日銀総裁を植田和男氏にしたことを挙げておられました。
ということは…「答え合わせ」できましたかね?

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