ぼんやりした巡礼

広島の文章書き・清水浩司。またぼんやりと旅に出る。50すぎの深夜特急。ひとまずキリスト…

ぼんやりした巡礼

広島の文章書き・清水浩司。またぼんやりと旅に出る。50すぎの深夜特急。ひとまずキリスト教の聖地、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指して歩く。で、その先は未定。いったい私は何をやっているんだか。2023.4.18~7.14の旅の記録。

最近の記事

8.11 五十一歳の夏休み~広島(完)

3ヶ月の巡礼旅から帰ってきて1ヶ月弱、私の身体に思わぬ変化が表れている。帰国直後は出発前から体重2キロ減で、いろんな人から「あんまり痩せとらんやんけ」「巡礼効果ないやんけ」とやいのやいの言われてきたが、なんとそれ以降ぐんぐん落ちて4キロ減。計6キロ減。「痩せたねー」「巡礼効果すごいね!」と言われ複雑な気持ちになっている。 確かに日本に帰ってからやたら身体がしんどく、ひたすら寝てばかりいる。クレイジーな気候のせいか単なる夏バテか不明だが、旅の疲れがドッと出ているという線は否め

    • 8.2 そろそろ巡礼に出たいあなたへ(装備とアプリと宿のはなし)~広島

      後編は装備の話からいっくよー。 ◎装備のはなし特に「持って行ってよかった、助かった」と思ったものを挙げていく。 ○スマホ 当たり前ですね。当たり前ですか? 旅に出る前、オールドスクールな私は「デジタルに頼るなんて軟弱の極み。自分の身ひとつで渡世してこそ真の旅人」と思ってギリギリまでスマホを持っていくかどうか迷っていたが、自分の馬鹿さ加減にげぼ吐きそうだ。便利とかラクをしたいとかそういう煩悩を差し引いても、2023年、もはや世界はスマホなしでは何もできない設計になっている

      • 8.2 そろそろ巡礼に出たいあなたへ(お金と体のはなし)~広島

        帰国後半月、前回の投稿から10日以上すぎた。イヤホント暑イネNIPPON、コノ湿度ハチョットCRAZYスギルネ……と異国人ぶってる場合じゃなく、本来は今回の原稿で旅日記に「完」を付け、私も日本での日常生活に復帰したいのだがどうしても最終回が書けない。この旅にどう結末を付けていいかわからない。それで本来は最終回を書いて、その次にオマケとしてくっつける予定だったサンティアゴ巡礼旅のノウハウ情報を今回書いて、次に最終回を書くことにする。 ということで、ここまでこのシリーズを読んで

        • 7.20 旅は夢の中の瞬く光~広島

          巡礼旅から帰ってきてちょうど1週間、あまりの蒸し暑さにクラクラしながら少しずつ各所に帰国の報告に行っている。 「あんまり痩せてないですね」「思ったほど黒くないですね」「本当に海外行ってたんですか?」「実は家にいたんじゃないですか?」……いろんなことを言われるが、確かに私もそう思う。私は本当に巡礼に行っていたのか? 本当に3ヶ月も家を留守にして異国の地をほっつき歩いてきたのか? そこんところの現実感がまったく手元に残ってないのだ。 それは日焼け跡が肌になじむように時を経るご

        8.11 五十一歳の夏休み~広島(完)

          7.17 黄金色のパリ~広島

          おととい広島に帰ってきた。 結局トランジットでアブダビに取り残されたり何かの手違いで荷物がアジスアベバに転送されたりといった珍事もなく、まったくの無事である。ノー・ミス、ノー・アクシデント、完全健康体。多くの期待を背負って旅に出ただけに、このやらかしのなさに関しては自分の実力不足を認めるしかない。 それはともかくとして、まずは旅、無事に終わりました。みなさんご心配おかけしました。これまでどうもありがとう。そしておつかれさま私。 もう巡礼旅は終わったのだからこのnoteも

          7.17 黄金色のパリ~広島

          7.11 ぼんじゅん完走寸前企画「私の好きな町」BEST10(後編)~パリ

          ということで後編。 どうでもいいが私は旅をしていてこのnote、SNS、個人的日記、出納帳、写真の整理などでかなりの時間を取られている。せっかく旅先にいるんだからそんなことしてちゃもったいない、もっと異国でしかできないことを満喫しないと!――とも思うのだがそうもいかない。実際に体験することと、それを記録して残すこと。起こった出来事を客観視して、中身を確かめること。それをしないと気持ち悪くてしょうがないというのは面倒くさい性格だと思う。じゃ、5位から。 5位 ファロ(ポルト

          7.11 ぼんじゅん完走寸前企画「私の好きな町」BEST10(後編)~パリ

          7.11 ぼんじゅん完走寸前企画「私の好きな町」BEST10(前編)~パリ

          巡礼もあと3日。昨日パリに戻った。飛行機の外の景色は一変。38度で砂漠色のマラケシュから28度の見慣れたパリへ。ああ、なんてすごしやすいのか。なんて穏やかな気分でいられるのか。カオス度ゼロ、想定外など発生せず。「やっぱパリが一番じゃの~、パリは落ち着くのぉ~」とすっかりパリっ子ぶっているNOWである。 しかし改めてパリはすごしやすい。NYにも通じる都会の風通しのよさと豊かな自然。私は旅をしているといつも「ここに住めるかな?」と妄想してしまうがパリは確実に住める。というか、も

          7.11 ぼんじゅん完走寸前企画「私の好きな町」BEST10(前編)~パリ

          7.9 旅の終わりのピースサイン~マラケシュ

          巡礼残りあと5日、異国で迎える日曜日も最後になる。 おとといマラケシュに着いた。モロッコに入ってからはタンジェ⇒シェフシャウエン⇒フェズ⇒カサブランカ⇒マラケシュというルートを辿った。明日はマラケッシュ空港からパリに発つ。つまり私にとってここがモロッコ最後の町であり、実質的な旅の終わりの場所になる。あとはもう帰るだけだ。 マラケシュに着き宿に向かったが、今回またしても宿があるのが旧市街(メディナ)であることに閉口した。今日も猥雑でぐちゃぐちゃなエリアか、私はどれだけ旧市街

          7.9 旅の終わりのピースサイン~マラケシュ

          7.6 異邦人~フェズ

          巡礼も残り8日――というところで、こんなことになろうとは。やはり旅は予測不能。だから面白いと言ってみる。 旅の開始から3ヶ月弱、このタイミングで「やってしまった」というか「やられてしまった」。 場所はフェズ。迷宮都市と呼ばれるこの街の旧市街はメディナの中でも特に広大で、めちゃくちゃ複雑に入り組んでいる。東西南北見境なく張り巡らされた路地、そこにひしめく土産物屋、露店、地元民のための野菜市、スパイス市、集う商人、顧客、野次馬、遊ぶ子供の笑い声……。道は前後左右だけでなくアッ

          7.6 異邦人~フェズ

          7.3 モロッコ、混沌と熱風~タンジェ

          巡礼もあと11日――そう書くと本当に旅の終わりが近づいていることを感じる。長かったこの生活もまもなく終わる。広島に戻って日常がはじまる。 だが今はそんな感慨に浸っている余裕がない。わからない。わからないのだモロッコが。今だってそうだ。いま私はタンジェの郊外にあるバスターミナルのカフェ(という名の売店横スペース)でこれを書いている。 本当はここでnoteなんて書いてるはずではなかった。私は予約しているバスに乗り、青い街・シェフシャウエンに向かっているはずだった。 しかし旅

          7.3 モロッコ、混沌と熱風~タンジェ

          6.30 ジブラルタルなう~アルへシラス

          巡礼残り15日。昨日ポルトガルから再びスペインに入った。 正直、まったくテンションが上がらない。1ヶ月前まであれほど好きだったスペインなのに、ポルトガルを経由した今となってはここにいることに空々しさを感じてしまう。まさに「あんた他に好きな子ができちゃったのね」状態。嬉し恥ずかし、なつかしのアノ気分である。 スペイン自体は何も変わらない。アンダルシアということでヤシの木なんか生えているが、長距離バスに乗れば時計がなぜかキッチリ12時間半遅れていたり、隙あらば街中に巨大なフシ

          6.30 ジブラルタルなう~アルへシラス

          6.28 五十一歳の審判~サグレシュ

          巡礼63日目。今はポルトガル南部の古都・ファロの宿の屋上でこれを書いている。この宿、公園に面しているのはいいのだが、公園で放し飼いになっているクジャクが横の道路にもしゃしゃり出てきて、昨日は夜じゅうクワッ! クワーーーーッ!とさかったように吠えていた。犬猫と同様にクジャクが歩く国・ポルトガル。さすが私が愛する国だけのことはある。 ちょうどリスボンを離れて1週間になる。リスボン以降、私が何をしていたかといえば「漁師の道(Fishermen's Trail)」呼ばれる道をフラフ

          6.28 五十一歳の審判~サグレシュ

          6.25 ポルトガルの食いしん坊~ザンブジェイラ・ド・マール

          巡礼60日目――と書いているが実は残りの日数がだいぶ減ってきている。あと20日ばかりでこの旅も終わりだ。どうしよう。いや、どうしようもないが、あれほどジタバタ騒いだ旅もこうして終わろうとするのは意外な気がする。本当に終わっちゃうのか? 広島に帰るのか? 日常に戻るのか?……あ、リスボン以降、私はポルトガル西岸を南下中です。 さて、私はこっちに来て基本ひとりでいるがさびしいとかあまり思わない。それはこのネット時代、家族や友人とLINEしてるし、ヒマなので日本にいるときより頻繁

          6.25 ポルトガルの食いしん坊~ザンブジェイラ・ド・マール

          6.22 美しさ~リスボン

          巡礼57日目。いまリスボンの中心地・BAIXA CHIADOのマクドにいる。あと4時間でリスボンを発つ。本当は離れたくない、まだここにいたいのが本音だが、だけどジェニー、あばよジェニー、俺は行かなくちゃいけないのだよルルル~♪ いま窓の下をトラムが走り抜けていった。この街を歩きながらリスボンの素晴らしさをどう言葉にすればいいか考えていたが、ひとまずは「人の好いカオス」ということにしておこう。 昨日は半日トラムに乗って遊んでいた。観光客御用達、名所名跡を縫うように走るルート

          6.22 美しさ~リスボン

          6.20 いとしのリスボン~リスボン

          巡礼55日目。リスボンにいる。 別に頼まれていないのに宣言してしまうが、私はリスボンが好きになった。好きだリスボン。どうした急に? へんなものでも食ったのか? だって好きになっちゃったんだモン。 まだ旅は続いているが、帰国後きっとあちこちで聞かれるだろう「どこが一番よかったですか?」という質問には「リスボンです」と答えることに決めている。いろいろわかりやすい気もするし、この街はいいなぁと心の底から感じるのだ。 リスボンには4日前、ポルトから電車に乗って来た。1ヶ月以上続

          6.20 いとしのリスボン~リスボン

          6.15 1,000kmの散歩~ポルト

          巡礼はちょうど50日目になる。おとといからポルトにいる。ポルトガル第2の都市。別に深い思い入れがあるわけではないが「ポルトまで来たかぁ」という気持ちになる。 旅に出ていろんな町を見てきたが、「どうしてこんな住みにくいところに町を作ったんだ?」と思うことが多々ある。平地に作ればラクなはずなのにガケの途中とか急斜面の谷間とか、とんでもないところに町を作って人々が暮らしている。 きっと外敵から守るためとかいろいろ理由はあるのだろうが、ポルトはその最たるものだった。とにかくめちゃ

          6.15 1,000kmの散歩~ポルト