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7.11 ぼんじゅん完走寸前企画「私の好きな町」BEST10(前編)~パリ

巡礼もあと3日。昨日パリに戻った。飛行機の外の景色は一変。38度で砂漠色のマラケシュから28度の見慣れたパリへ。ああ、なんてすごしやすいのか。なんて穏やかな気分でいられるのか。カオス度ゼロ、想定外など発生せず。「やっぱパリが一番じゃの~、パリは落ち着くのぉ~」とすっかりパリっ子ぶっているNOWである。

こっちマラケシュ
こっちパリ

しかし改めてパリはすごしやすい。NYにも通じる都会の風通しのよさと豊かな自然。私は旅をしているといつも「ここに住めるかな?」と妄想してしまうがパリは確実に住める。というか、もう住んでいる気分。ただポルトガル、モロッコではあれほどビンビン鳴っていた私の「ときめきセンサー」がパリに入った途端ぴたっと止まってしまったのはどうしてだろう? パリにはなぜか色気を感じないんだよな……。

それにしてもマラケシュからパリまでのフライトは奇妙な時間だった。これまで2か月半歩いたり、迷ったり、へばったりした大地を3時間ぽっちでひとっ飛び。時間が一気に逆回転して巻き戻された感覚だ。

私はモロッコで一応アルコールを控えていたが、パリのホテルに入って久々にビールを流し込んだらすべてが長い夢だったように思えてきた。アフリカのカオスもそうだし、ひと月以上のサンティアゴ巡礼もそう。部屋で静かな空調の音を聞いていると、そんなバカげたことするヤツなんて本当にいるのか?という気分になってくる。あまりにも異世界で、あまりにも激烈で、あまりにもクレイジーだった夢の記憶。あの溢れんばかりの日盛りの風景がこの現実と地続きであるとは、すでに信じられなくなっている。

飛行機に乗っている3時間の間、あまりにヒマなので(ロイヤル・エア・モロッコはヒマつぶしできるものが何もない……)、訪れた町でどこが好きだったか思い出してみた。私はこの空の下にあるたくさんの町を歩いた。素敵な風景や人物にたくさん会った。どこがよかっただろう……それはさっきまで見ていた夢を再生するようななかなか楽しいプレイになった。

改めて整理してみよう。私が今回辿ったのは上のルートだ。赤が徒歩、緑が飛行機、青はバスとか電車とかフェリーとか。ほぼ最初の計画通りだが、まさか本当に全部やるとは思わなかった。

4月19日にパリに着き、今日まで82日間。その行程の中で私が好きだった町、もう一回行ってみたい町を挙げていく。

10位 マラケシュ(モロッコ)

おとといまでいたとこじゃん! あんなに嫌がってたのに!!――と思うのだが、なんか嫌いになれない。確かに客引きとか面倒だが、その代わり彼らは安くてウマい飯屋を教えてくれた。不調なWiFiを必死で直してくれた。店がわからず迷っていると店の前までわざわざ案内してくれた――あまりに多くの違いはあれど、基本は情に厚すぎるナイスな人たちだと思いたい。

ちなみに最終日、モロッコの理髪店に入ってみた。何も聞かれずいきなり後頭部をバリカンで刈りはじめた……いま私はモロッコ的に一番ナウな髪型になっている。


9位 カリオン・デ・ロス・コンデス(スペイン)

サンティアゴ巡礼道中の山間の町。個人的に好きな町の傾向があって、こぢんまりしていて、歴史があって、だけどきれいに使われている――住人のすこやかで丁寧な暮らしぶりが見える町が好きである。

ここは親切なアルベルゲのおばさんに「ミサ行ってみんさい」と言われて行ったサンタ・クララ修道院のミサが忘れ難い。旅の間、ミサには何度か足を運んだが、ここはシスターがフォークギターを持って歌う独特のスタイル。その歌声、ハーモニーはもちろん、教会内に立ち昇る信仰の心が美しかった。この心が洗われるような空気感は、この町が長い年月をかけて培い、育んできたものだろう。


8位 サンタ・クルス(ポルトガル)

エセ文豪として「晩年の檀一雄がすごしたさびれた漁村」というフレコミに惹かれて行ってみた。個人的ポイントはMTBを借りてリスボンから往復120キロ走ったこと。サンティアゴ巡礼をしていると自転車で回っている人が結構いて、ヨーロッパの自転車熱を感じると共に「うーん、わしもやってみたい」と思っていたのだ。行程はアップダウンがあってめちゃくちゃキツかったけど、本当に気持ちよくて最高だった。

実際のサンタ・クルスはリゾート化が進んでいて、思っていたほどさびれてなかった。でもどこかしら寂しさがあった。檀はこの異国の地で毎日夕陽を見ながらすごしていたのか……。自転車に気を取られがちだったが、もっとゆっくり、もっとぼんやりこの村を感じたかった。


7位 オ・セブレイロ(スペイン)

サンティアゴ巡礼「フランスの道」のクライマックス、初日のピレネー越えに次ぐ1,300mの峠越えはめちゃくちゃハードで巡礼最後の難関と言われている。オ・セブレイロはその山頂にある人口30人程度の小集落だ。

巡礼中はキツイ瞬間も多々あったが、それを経験して思うのはキツイ局面をしのいだ後には必ずごほうびのような絶景が待っているということだ。オ・セブレイロは天国に一番近い村という趣で眼下の眺めはもちろん、早朝の雲海は圧巻だった。あれは今回の旅で一番息をのんだ風景かもしれない。


6位 サン・ジャン・ピエ・ド・ポー(フランス)

サン・ジャン・ピエ・ド・ポーはサンティアゴ巡礼「フランスの道」のメジャーな出発地点として知られる村。私もそれだけの理由で行ったのだが本当にきれいな村だった。実は「フランスのもっとも美しい村」のひとつとか。建っている家が白壁に赤い窓枠で統一され、そのデザインがかわいらしい。中世そのまま、まるでおとぎ話の世界にいるような感覚だ。

今回の滞在中はこれからはじまる巡礼旅のことで頭がいっぱいで、ゆっくり村を見る余裕がなかった。バスク文化の影響も大きいという。こうしたフランスの田舎村を辿る旅も楽しそうだ。

気づけば長くなったので後半は次の項で!


フレンチといえばロリータ、と付けたくなるが、街を歩いていてそんなエロ小娘は一人もいない。ヴァネッサみたいなフレンチロリータの系譜って今はないのだろうか? 確かにフランスは若さよりエイジングに重きを置く大人の国に思えるが。ちなみに私はレア・セドゥが好き!










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