見出し画像

8.2 そろそろ巡礼に出たいあなたへ(お金と体のはなし)~広島

帰国後半月、前回の投稿から10日以上すぎた。イヤホント暑イネNIPPON、コノ湿度ハチョットCRAZYスギルネ……と異国人ぶってる場合じゃなく、本来は今回の原稿で旅日記に「完」を付け、私も日本での日常生活に復帰したいのだがどうしても最終回が書けない。この旅にどう結末を付けていいかわからない。それで本来は最終回を書いて、その次にオマケとしてくっつける予定だったサンティアゴ巡礼旅のノウハウ情報を今回書いて、次に最終回を書くことにする。

ということで、ここまでこのシリーズを読んできてくださった方々なら、そろそろ巡礼に行きたくなってきたんじゃないだろうか? もう機は熟した、触れればすぐに成田に飛んでっちまいそうな旅したい気分パンパンのあなたに、ここでは具体的で使えそうな巡礼情報を発信していく。

◎お金のはなし

なんだかんだ言って一番気になるのはお金だろ? な、そうなんだろ?

はっきり書こう。今回の旅、全86日間で私が現地で使ったのは約80万円である。ここには旅前に日本で払ったパリとの往復飛行機代や保険料、数泊のパリホテル代、トレッキングシューズや寝袋などの装備代は含まれない。ただ現地での電車、バス、飛行機(マラケシュ~パリ)代などは全部含む。宿代、食事代、交通費、土産代……など実際向こうで使ったお金がトータル80万程度。当初「平均1日1万円くらいかな?」という想定で行ったので、それを少し下回ったことになる。

私は基本ぜいたくはしない人間だが、かといって今回はまったくのケチケチ旅でもなかった。美味しそうなごはんにはお金を払ったし、毎日ドミトリーは疲れるので普通のホテルに泊まることも多かった。なので予算をもっと抑えようと思えば抑えられると思う。あと、今がキッツイ円安の真っ最中ということも忘れてはならない。

この経費、前半の巡礼旅だけに絞るともっと安くなる。パリから入ってサンティアゴ・デ・コンポステーラ到着までの44日間で約34万円。巡礼は基本、歩いて、食べて、寝て、また歩いて……の繰り返しなのでお金を使うところが宿と食しかない。問題は宿だが、せっかくなんで豪華パラドールを愉しみたいという方は別にして、巡礼宿(アルベルゲ)に泊まるのなら1泊7~20ユーロ(1,000~3,000円)程度。ありがたいことにかの地ではお安く巡礼できる環境が整えられているのだ。巡礼旅だけで考えるなら、1日5,000円強くらいの想定で行っても行けなくないだろう。

今回フランス~スペイン~ポルトガル~モロッコと4ヶ国を回ったが、一番経費を圧迫したのはパリのホテル代である。巡礼に来ていた人もみんな口を揃えて「パリは高い~」「パリは高い~」と合唱していた。最安値でシングル1万は下らない。こういうのは友達と2~3人でシェアできると抑えられるんだろう。ごはんも軽い外食で2,000円以上は覚悟しておいた方がいいが、パリに限らずスーパーに行けば生活必需品は安い。パンにハムとチーズを挟んで、オレンジリンゴバナナを齧る晩飯で十分という人はそんなに物価高を感じないかもしれない。

物価は フランス > スペイン > ポルトガル >> モロッコ といった感じか。個人的感覚ではスペインが日本と同程度、ポルトガルはスペインの8掛け、モロッコはもっとお安く……と思っていたが、いま出納帳を確かめるとモロッコでもマクドのセットは1,000円超えてるし、パリでは2,000円超え。あれ? 旅って金銭感覚がバカになるから。冷静さと計算力は大事である。

ちなみに支払いはCASH or CARD、どちらでもよし。個人店はCASHオンリーなところも少なくないが、大半の店ではCARDが使えるので現金はあまり持ち歩かなくて大丈夫。CARDはVISAで使えないところはなかったけど、念のため2枚持ってた方が安心。チャーっと通して「んー? 反応しないですね……」となったときの気まずい不安感は万国共通相当なものだ。


◎体のはなし

800キロに及ぶサンティアゴ巡礼「フランスの道」。私はほぼ何のトレーニングもせず行ってしまったが、やっぱり「ならし」のような軽い準備はしといた方がいいと思う。現地ではガンガン歩く70代とかいっぱいいるけど、ああいう人は鍛えてるから!

「フランスの道」サン・ジャン・ピエ・ド・ポー発の一番のポイントは、全行程の中で出発初日が一番ハードということである。いきなりマキシマムザホルモン。地表200mから1400mまで一気に駆け上がるピレネー越え。これは本当にキツイ。私も何度も無理だと思ったし、放心した顔で道端に座り込んでいる人も何人も見た。

逆に言えば、初日を越えられればその先はそんなにキツくない。後半にもセブレイロ峠とかあるけど、ピレネーに比べたらなんのなんの。なのでポイントはとにかく初日。なるべく万全な体調と万全な天候で初日に臨みたい。帰りの便の予定とかあるだろうが、天候が悪そうなら出発を延期する勇気も持ちたい。あの急坂、強風下で雨とか嵐に襲われようものなら、まじで命を落としかねない。

巡礼序盤は足のマメに悩まされた。マメの悩みは全巡礼者共通で、お互いよく励まし合ったものだ。個人的には「足をムラさない=定期的に休憩をとって靴を脱ぎ、足の汗を乾かす」というアドバイスがかなり有効だった。しかしそれでもマメはでき、ひとつできるとそれをかばって別の箇所にマメができ、またそれをかばって……と連鎖が起こってしまった。

いくら体力や気力があっても、マメが足の裏のようなところにできてしまうと痛みで歩けなくなって旅が中断してしまう。ヘタしたら巡礼中止に追い込まれる。実際そういう人もいたし、それは本当につらいことだ。対処法としては自分に合った靴を選ぶ、靴下を二重にはく、インソールを入れる……などあるが、完璧に防ぐ方法はないのではないか。ただ私は2週間くらいマメに苦しんだ後、ピタリとマメができなくなった。足が歩行に順応したのか、巡礼後半はどれだけ歩いてもマメができなかった。

そういえば旅のド頭、私は硬水のせいかいきなり腹を壊したが、その後はモロッコやポルトガルの水道水をガンガン飲んでも腹を壊すことはなかった。無菌の平和状態に慣れた身体に一度ショックを与えると、案外タフな部分が引き出されるのかもしれない。うまくいけば自分の体のレジリエンス(回復力)を感じられるということか。

ああ、また書きすぎてしまっている! ということでこの巡礼ガイド、後半に続く。



さあ、気分が盛り上がったら出発しよう。行きたいと思ったときが出発のタイミングだ。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?