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6.25 ポルトガルの食いしん坊~ザンブジェイラ・ド・マール

巡礼60日目――と書いているが実は残りの日数がだいぶ減ってきている。あと20日ばかりでこの旅も終わりだ。どうしよう。いや、どうしようもないが、あれほどジタバタ騒いだ旅もこうして終わろうとするのは意外な気がする。本当に終わっちゃうのか? 広島に帰るのか? 日常に戻るのか?……あ、リスボン以降、私はポルトガル西岸を南下中です。

さて、私はこっちに来て基本ひとりでいるがさびしいとかあまり思わない。それはこのネット時代、家族や友人とLINEしてるし、ヒマなので日本にいるときより頻繁にSNSを見たりしているからである。

しかしなんだあのSNSっていうのは? みんな何を食べただの何を食べただの何を食べただの。おまえら結局食うことしか興味ないんか! 欲望そのまま垂れ流しか! 快楽をむさぼるだけのケダモノか!――ということで、私もここでポルトガルで食べたうまいものを総ざらえすることにする。

ポルトガルはメシがうまい。正直もうスペインには戻れない。ポルトガル料理はもちろんだがリスボンには中華、インド、SUSHI、RAMENと多国籍料理が揃っていて、そこも魅力的だった。ポルトガル料理は「だしを駆使」「海産物多用」「ごはん普通にあり〼」といったところが日本と似ていて何を食べてもハズレがない。でもせっかくなのでいわゆるポルトガル料理と言われるものを片っ端から食べてみることにした。

まず、さっき食べた一品。漁師町ということで奮発した「アロシュ・ドゥ・マリシュコ」。ロブスター、でかいカニ、ムール貝、ブラックタイガーやらが入った海鮮鍋にごはんを入れた贅沢リゾット。こんなのマズくなりようがないだろバカヤロー! うますぎるに決まってるだろー! ポルトガルは結構パクチーを使っていてそれがスープのアクセントに。こういうところが粋なんだよな。

おととい食べたポルトガル名物「あさりと豚肉のかたまり炒め」。ナゾすぎる組み合わせだが、これが絶妙なのだとみんな言う。ポルトガルは肉に下味をつける風習があって、普通に食べても豚肉はGOOD。で、実際どうかというと、あさりの塩味が豚に染みている。個人的にはもっと染みてほしいと思うので別の店でも試してみたい。

これはよく食べている。ポルトガルのファストフード「ビファナ」。下味付けて焼いた豚肉をパンに挟んだだけだが、この豚がクセになるというか飽きない味というか。生姜焼き風で日本人なら嫌いになれない。あと300円程度と安価なので昼に小腹が空いたときは即ビファナである。

ポルトガルで食べて感動的にうまかったのが、魚の炭火焼シリーズ。店の前で炭火を起こして、魚や肉を焼いている店がいっぱいある。味付けはほぼ粗塩だけで、これも間違えようがない。一番はやっぱり「サルディーニャ(イワシ)」だけど、アジもスズキも全部うまかった。個人的にはイワシの身をほぐして、付け合わせのサラダの野菜、オリーブオイル、白米とあえた「イワシごはんオリーブ風味」が鼻血が出るくらいうまかった。俺、天才!!

スペインもそうだがポルトガルっ子も甘いものが好きだ。街中にいっぱい洋菓子屋(PASTATERIA:最初「パスタ屋?」と思ったが「ペイストリー」)がある。で、ポルトガルは「エッグタルト(パステル・デ・ナタ)」が有名と聞いて「そんなのうまいんか?」と疑心暗鬼だったが、これがめちゃくちゃうまかった。外はパリパリのパイ生地で中はプルプルのプリン。このミクスチャー、罪深きすぎだろ。もともと修道院で食べられていたというのも禁断くさい。これもしょっちゅう食べている。ミスドで売ってほしい。

私は旅先ではいつも外食しているわけではなく、むしろスーパーに行って地元の人と同じ商品を買ってみることが多い。その中でドハマりしたのがこの缶スープ。銘柄は大型チェーンCONTINENTEの「石のスープ(Sopa da Pedra)」。ポルトガルにはスープ文化もあって、野菜中心の優しい味でどれもおいしいのだけど、これは具沢山のごった煮スープ。ちょっとチリコンカン風。日本に買って帰れないかな。

あとポルトガル名物ではないが、サンティアゴ巡礼中に話を聞いた「レーザークラム」も初めて食べた。日本だとマテ貝というらしい。こんな細長い鞘みたいな貝、初めて見た。強い磯の味がした。

ほかにもバカリャウ(干しタラ)関係やタコメシ、ビーニョベルデやらまだまだある。私はひとり旅が苦ではないが、誰かと一緒ならよかったなと思うのは決まって食事のときだ。自分ひとりだと食べられる量に限りがあるし、「へぇ~」という意外な料理に巡り会うことがない。

もっとうまいものがあるかもしれない。まだ食べたことがない逸品がどこかに眠っているかもしれない――私は1ヶ月以上に及ぶストイックな巡礼生活でだいぶ身体を絞ったが、うますぎるポルトガルめしのおかげで着実にリバウンドを起こしている。せっかくのダイエット貯金、ほとんど吐き出したのではないか?

だから日本に帰っても「やせてないじゃん」とは言わないでください。これも全部、ポルトガルのせい。


今はポルトガル南部の小さなリゾート地を巡っているが、まわりは完全にバカンスだ。おじさんがすっぽんぽんで波とじゃれ合い、老若ガールズはばっくり開いた背中に日焼けの跡。セクシー・ユー!






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