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東京は暑い日が増えたのか?(No.14)


何回かに分けて断続的に、気候ネタを書こうと思います。
探索的にデータ分析しながら書くつもりです。
最後は明るめの話ができると想定しています。



日本が「暑くなっている」ってホント?


今年は猛暑と、今年も言われています。
日本が「暑くなっている」「温暖化している」とか言われたりします。
平成の米騒動を経験した私は、
暑い年もあれば暑くない年もあるのが気候でしょう!と思ったりもします。
長期的にどうなんだ?の検証をしてみます。


東京は暑い日が増えたのか?

分析観点はたくさんありそうですが、初手としてこのテーマを置きます。
「暑くなっている=暑い日が増えている」と読み替えてデータ分析します。

地点は東京としました。
メディアの「暑くなっている」は東京目線だと思うためです。

結論:東京の暑い日は増えていた!


100年超の観測データを時系列分析した結果、近年、暑い日が増えている傾向が顕著でした

以下、検証過程(データ入手・分析方法・分析結果)を書きます。



検証過程1:気象庁サイトからデータをDL


政府統計の多くはe-statから参照できますが、気象庁データは参照できませんでした。
そこで気象庁のウェブサイトで公開データを探索。
ありました!

気象庁ウェブサイト「過去の気象データ・ダウンロード」(2024年9月10日閲覧)


上掲のページで
「(観測)地点」
「(観測)項目」
「期間」
「表示オプション」
の順に選択してcsvをダウンロード。
今回は下記条件でデータを入手しました。

  • 観測地点:東京・東京
    (東京都内のいくつかの観測地点のうち「東京」を選択)

  • 観測項目:最高気温30℃以上を観測した日数(月ごと)

  • 期間:観測開始年月から直近月まで

  • 表示オプション:指定なし

気象庁によると、月ごとの観測値は各地点の観測開始時点まで遡れます。
東京・東京の観測値は、1875年6月まで遡ることがことができました!
今回は年別の累積日数の時系列分析をするので、分析対象は1876年~2023年としました(年次累計できる年に絞り込み)。



検証過程2:CSVを読み込み年次集計


入手したデータを集計・可視化します。
時系列csvを入手したときに不可避な、データ表記の統一とか欠損値除外とかは省略します(今回はそんなに手間掛かっていません)。

入手したデータは月ごとの累計なので、そのまま可視化するとこんな感じです。
※時点が多すぎて、日数0の月が潰れちゃっています。

30℃以上観測日数(集計単位:月ごと、観測地点:東京・東京、対象期間:1876年~2023年)


冬は少なく夏に多い、当然の傾向です。
これを年次の累計として可視化すると、こんな感じです。

30℃以上観測日数(集計単位:年次、観測地点:東京・東京、対象期間:1876年~2023年)


周期性を持ちながら緩やかに増加してきた、と見えなくもないグラフです。
そして、2023年に最高気温30℃以上だった日数は90日。1年の24.7%、1/4が真夏日💦

暑い!と思って当然の年だったようです。



検証過程3:真夏日の増加は、たまたまか、顕著な増加か?


近年の最高気温30℃以上だった日数、とりわけ昨年(2023年)の日数の多さが、
100年以上の超長期で見てちょっとしたブレ程度のものなのか、顕著な増加なのかを見極めます。

XmRチャート(XmR管理図)という手法で分析します。
※XmRについて詳しく知りたい場合はこちら


先ほどのグラフにXmRチャートを重ね合わせると、こんな感じ。
折れ線グラフの真ん中あたりを突っ切る実線は、1876年〜2023年の年次累計の平均線です。
平均線の上下、グレー範囲の上限・下限の実線は、管理限界線というものです。

管理限界線は、平均線±3σ(標準偏差3つ分)に引かれています。
理論上、±3σの範囲に997/1000の確率で数値が収まるはずです。

この線を超える範囲の増減は、たまたまじゃなく、何かが起こっていると推測されます。

30℃以上観測日数(集計単位:年次、観測地点:東京・東京、対象期間:1876年~2023年)によるXmRチャート


2023年の真夏日(最高気温30℃以上だった日)の日数は、管理限界線の上限を突破しています。
つまり時系列推移のちょっとしたブレなんかではなく、顕著な増加だったといえます。

XmRチャートでは、顕著な増減であると判断する基準が複数あります。
今回のデータでは下記が該当します。

  • 管理限界線の上下を突破する値がある(2023年が上限突破、上述)

  • 連続した8つの値が平均線の上下どちらかに偏っている(2010年以降13年連続で平均線を上回っている)

時系列分析から、東京では近年、最高気温30℃以上の真夏日が顕著に増加している。
東京の暑い日は増えていました!

ちなみに、2024年はまだ途中ですが、9月10日までの最高気温30℃以上の真夏日の累計は70日。


2023年と2024年の30℃以上観測日数累計(観測地点:東京・東京)


このまま暑い日が続けば、昨年よりちょっと少ないくらいの日数になりそうです。
とはいえ、既に平均線は大きく超えています。今年も暑い日は増えていた!


なぜ暑い日が増えた?

XmRチャートでわかることは、何かしらの原因があって顕著な変化が起きたということです。

なぜ暑い日が増えたのか?
次回「人工的な原因」について触れたいと思います。
※温暖化ではありません。
2024/9/25追記:原因に触れる前に、もう少し他都市の変化も確認したいと思います。

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