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映画館で他人の飲食の音が気になるあなたへ、小さな予防法を

 先日、下の記事を書いた。

 よろしければぜひお読みいただきたいが、少し冗長に過ぎる文章なので、簡単にまとめておくと以下のようのなことを述べている。

  • 映画とは、当たり前だがその「音」までを含めたものであるはずだ。

  • しかし、現状の映画館では、飲食の「音」による阻害妨害を許容する環境がスタンダードとして存続している。それに対して不満がある。

  • そこにさまざまな事情があろうことは勘案できるが、こちらは映画の「音」にも代金を支払っているのだから、これはあってしかるべき不満ではないだろうか。

  • 映画館には、チケット代を多少高くしても構わないので、飲食禁止の回を設けてもらえないだろうか

 といっても、さしあたってはそんな希望を業界や世間様が叶えてくれるとも思えない。
 そこで今回は私のように神経質気味で飲食の音への不快感を常日頃感じられているあなたへ、普段劇場の「客ガチャ」に対して私がとっている対処法というか予防法のようなものをご紹介いたしたい。


映画館での飲食の音への予防法

予防法①:土日を避ける

 可能な限り土日祝日は避けること。
 理由はすでに思い当たっていらっしゃるかもしれないが、普段映画を観ない層、より丁寧に言うならば普段「ちゃんと」映画を観ようとしていない層の客が来る可能性が段違いに高いからだ。
 当然、自分の飲食の音が「映画の音」を阻害している可能性など思い当たらず、むしろ「映画館で食べるポップコーン」の方を楽しみにしているような輩が「暇な休日」にわらわらとやってくる(むろんそれを非難したいわけではないが、私にとっては不幸である)。

 おすすめは平日の夜の回(18:00〜20:00くらい)。金曜日も可。
 理由は単純で、土日と比べ客が少なく、かつ腹が減っている時間帯にわざわざ映画館へ足を運び、2時間を捧げても構わないという特異な客層がメインになるからだ。当然「ちゃんと」観ようという人間の比率が高まる。 
 ちなみに、平日の昼間はリタイア後のお年寄りが多いので、”食べる”爺さん婆さんか、”静かな”婆さん爺さんか、ガチャ要素が強いのであまりおすすめしない。

 また、平日休日問わず一般的な食事の時間の前後は必ず避けること。私たちには信じられないことだが、映画を食事の添え物としか考えていない層というものも存在しているようだ。


予防法②:(基本的には)ミニシアターを選ぶ

 大手シネコンの大劇場が避けられるのであれば避けよう。
 まずは客数が違う。その分だけリスクの絶対量を減らすことができる。
 飲食以前の話だがシネコンは上映中に喋っているバカがいることすらある。そういった輩は殴ってしまってよろしい(責任はとりません)。

 あえてこんな偉そうな言い方をさせてもらうが、そもそも世間というのは、それらを”知っている”人間が想像するよりもずっと、ミニシアターや名画座というものの存在を”知らない”。知っているのは映画好きのみだと言ってよい。
 したがって、ミニシアターには「ちゃんと」映画を観ようという人たちが集まりやすい。
 またミニシアターを積極的に利用することは、芸術としての映画の未来にわずかながらも資する行為であると思う。

 ただ、のちにも述べるが、そこが「飲食持ち込み可」の場合はこの限りではない。その場合、一見どれだけ映画文化を大切にしてそうなミニシアターであろうが、私たちのような神経質な人間は避けた方が無難である。


予防法③:2種類のミニシアターがあることに気をつける

 基本的にはミニシアターを選ぼうと言ったが、一口にミニシアターといっても、実は以下の2種類の劇場に分けられるように思う。

  1. 「映画好き」にターゲットを定めた上映ラインナップで、客もその映画館を目指して遠方からはるばる足を運ぶ映画館(比較的都市中心部に近い傾向が多い)

  2. その地域に根差し、その地域の人たちが徒歩、自転車などでやってくる映画館(上映ラインナップとして、メジャーなものもマイナーなものも、どちらも扱っていることが多い)

 2ではなく1のミニシアターを選ぶようにしよう。

 映画館とは、映画のためだけにわざわざ足を運ぶところであって、近くにあるからといって暇つぶしに行くところではない、というつもりであなた自身はいること(もちろんこの考えを万人に押し付けるつもりは毛頭ない)。
 2の方はどうしても「なんとなく」来た客の割合が多くなる。特に名の知れた俳優が出演している映画の場合などは、それが顕著であるため要注意。

 ちなみに冒頭に紹介した前回の記事に出てくる、私が苦い思いをした映画館は案の定2にピッタリと当てはまる。


予防法④:その映画館の所在地の地域性を考慮に入れる

 使うべきでない言葉をあえて鉤括弧つきで使わせていただくと、やはり地域の「民度」というものが存在しないと言ってしまうのは嘘になる。
 大規模上映されており、どこで観るかこちらが選ぶことのできるような映画の場合は、地域(性)も考慮に入れて映画館を選ぼう。

 具体的には大学生が集まりやすい街や郊外のベッドタウンなどは避けた方がよいように思う。


予防法⑤:飲食物持ち込み可の映画館を避ける

 私たちのような人間は、ミニシアターであっても、飲食持ち込み可の映画館を選ぶ理由はない
 飲食が持ち込み可というだけで、以下のようなリスクが一気に増える。

  • ペットボトルの炭酸飲料を開ける「プシュ」

  • レジ袋からお菓子を取り出す「カシャカシャ」

  • そのお菓子の包装を開ける「ガサガサ」

  • スナック菓子の「バリバリ・ボリボリ」

  • いくらでも持ち込めるのだから、上記が上映中絶え間なく続く可能性

 どれだけいい映画をかけいい特集を組んでいようと、別にそれによって利益が生じるわけでもないのに(まさか、何かを食べながらでないと映画を観られないような信じがたい人たちへの配慮なのだろうか!)、上記の音を許している映画館を応援する気には、私はどうしてもならない。


予防法⑥:チケットは前日の夜〜当日にとる

 いまやほとんどの映画館がインターネットから座席を指定しチケットを購入することができる。
 重要なのは買うタイミング。よほど早期に全席が埋まってしまう可能性の高い映画・特集でない場合は、チケットは前日の夜〜当日に購入しよう。
 
 理由は至極単純で、すぐ隣に誰も座らない席を選ぶためである。

  飲食の音を間近で耳にするリスクを減らすことができるのはもちろんのこと、隣席に知らない人間が座っているのとそうでないのとでは、映画体験の快適度が段違いであるという当たり前すぎる事実を再確認することのできた、コロナ禍開始直後の「ひと席空け・飲食禁止」の楽園のごとき映画館を思い出せばよくわかるように思う。

 席にこだわりがなければ、当日受付で隣に誰もいない席をスタッフの方から教えてもらうのもよいだろう。


予防法⑦:座席は最後列の端を選ぶ

 予防法⑥に付随して言えば、映画館の座席に関しては各人一家言あろうかと思うが私はいつも最後列かつ端っこの席をとるようにしていえる。

 まず、後ろからの音をなくすことができる
 あたりまえだが映画館は全ての席が前を向いているため、観客を発生源とするあらゆる音は前方に向かって生じる。
 したがって、最後列の席が最も他の客の発する音の届きにくい場所、というわけだ。

 その上でさらに端の席をとることで、左右どちらかからの音は100%防ぐことができる

 ただ、後方の席は人気が高くもあるので、場合によってはそれが裏目に出ることもあるので気をつけよう。

 

予防法⑧:飲食の音への事前注意喚起をしない映画館を避ける

 こればかりは実際に一度は足を運んでみないとわからないことだが、上映前に注意事項を伝達するための映像(「映画泥棒」や「NO KICKING!」みたいなアレのこと)で、飲食の音による他の客への迷惑に関して、一才事前の注意喚起を行わない映画館がある
 こうなると映画館飲食家たちはやりたい放題なので、よほどのことがない限りは二度とその映画館には行かないようにしよう。

 この点、やはりクレームも多いのだろうか、大手シネコンの方がちゃんと注意喚起を行なっているように感じる。

 この注意喚起がない場合、飲食の音で迷惑をかけられたこちらが泣き寝入りをしなくてはならなくなるので、初めて行く映画館ではぜひとも忘れずにチェックしよう。


予防法⑨:上映開始前に飲食の音があまりにも目立つ客がいた場合、スタッフへ注意か席の変更をお願いする

 上映開始前に”あまりにも”な客が近くに座っていたら、面倒くさがらず、あるいは自分が「面倒な客」になることを恐れず、事前にスタッフにそのことを告げよう。
 座席の変更に関しては対応していただけることが多い。席の変更で解決できそうな音であれば、上映が始まる前に面倒くさがらず対処してしまおう。

 映画が始まってから後悔しては遅い。また、飲食でやかましい人間のために、こちらが一度出場し、1つでもショットを見逃すことは理不尽だから。


予防法?:映画は「みんなで観るもの」と腹を括る

 冒頭でご紹介した以前の記事でも少し触れたが、映画のそもそもを辿れば、静かに観るものではなかったかもしれない
 襟を正して神妙に傾聴するクラシック音楽への姿勢が、主にロマン主義時代のドイツでつくられたのと同様に、映画の起源も、ざわつく観衆や物音と共にあものなのかもしれない(だからこそ野外での上映が現在も行われたりするのかもしれない?)。

 飲食の音が聞こえるか聴こえないかにばかり神経を擦り減らし、結果静かな環境であるにもかかわらず映画に集中できないという滑稽な本末転倒は笑い話にすらならない。
 だから上映が始まってしまったら、飲食の音は「あるもの」として腹を括ることも忘れないように。


予防法?:有名俳優が主演を務めるものは配信される可能性が高いので、それで済ましてしまう。

 映画の消費者としてはありがたいことに、いまや大配信時代、膨大な数の映画が月数千円で見放題である。
 有名な俳優(名俳優、というわけではなく、世間的に有名な俳優、ということ)が出ている映画は、製作陣にそれだけの資本があるということなので、数ヶ月待てば何かしらの媒体で配信される可能性が高い
 無理に映画館へ足を運ばなくていいと思う作品であれば、いっそ配信で済ませてしまおう。

 また、「有名俳優」が出演している映画は、「映画好き」ではなく普段映画を全く観ない「その俳優(≒タレント)のファン」がやってくる可能性が高い
 必然的に飲食の音のリスクが大きいことをあらためて確認しておこう。

 大きい画面と最低限の音響設備をご自宅に準備するのを忘れずに。


悩みどころ

 いろいろと予防法をご紹介してきたが、言うまでもなく私自身もこれらを全てクリアして毎回映画館に足を運んでいるわけではない。
 予防法のどれか1つでも、映画”館”選びの際に少しでもお役に立てれば幸いだ。

 最後に、飲食の音の回避のために、どうしたらよいか悩みというか、問題を2つお伝えして終わりとする。何かよいご意見があれば是非ともうかがいたい。

大規模公開作品を観に行くタイミング

 全国の映画館で長期間上映されるような作品を観るタイミングに悩む。
 公開直後に足を運ぶべきか、それとも公開からしばらく経過したのちにすべきか。どちらの方が、より飲食の音のリスクを減らすことができるだろうか。

 前者の場合、その作品を心待ちにしていた人たちが集うため、皆真剣に鑑賞するのだろうか。それとも、宣伝(CM、広告、テレビのバラエティ番組での演者による「番宣」)で少し気になっただけの、普段映画を観ない人たちが集まるのだろうか。

 後者の場合、世間の話題に左右されない「映画好き」がぽつぽつと集まるのだろうか。それとも、その映画自体には興味がない人間が、「暇つぶし」にやってくるのだろうか。

 いずれも考えられるケースだと思う。
 いまのところは、そもそもの客の絶対数が減る後者の時期に観にいくようにはしている。

単館上映や、シアター独自の特集

 単館上映や、シアター独自の特集といった「その映画館でしか観られない」というケースの場合は、映画館を選べない以上日程を最大限考慮するほか、対策のしようがない。
 そこは「観に行くべきかどうか」というレベルで一度悩む必要が出てきてしまう。


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