月刊『日本歯科評論』編集部(ヒョーロン・パブリッシャーズ)

月刊『日本歯科評論』は創刊100周年を迎えました! 歯科臨床医のニーズに応え続ける総合…

月刊『日本歯科評論』編集部(ヒョーロン・パブリッシャーズ)

月刊『日本歯科評論』は創刊100周年を迎えました! 歯科臨床医のニーズに応え続ける総合学術出版です。

マガジン

最近の記事

【書評】 『再石灰化と重症化予防を目指す 歯冠う蝕のマネジメント―検査に基づく診断と治療のフローチャート』

杉山精一/千葉県八千代市・杉山歯科医院 う蝕治療はカリエスマネジメントへ う窩に対する治療をう蝕治療としていた時代は,すでに過去のものとなりつつあります. う窩になる前のう蝕病変を早期に発見(Detection)して,病変の進行段階と活動性を見極めてカリエスリスク診査を行って治療していく,いわゆる「う蝕病変の早期発見・早期管理」により,健全歯質を保存していくことが可能な時代となりました. しかしながら,このような新しいう蝕治療による臨床を実践するための書籍はほとんどあり

    • 『再石灰化と重症化予防を目指す 歯冠う蝕のマネジメント―検査に基づく診断と治療のフローチャート』より―序文

      現在,う蝕は一方的に進行するのではなく,可逆的な病変であることがわかってきたが,数十年前むし歯の洪水といわれた時代は,う蝕の進行が速く,う窩になってから発見されることが多く,さらなる進行を防ぐため,すみやかに切削介入し修復しなければならなかった. 近年,フッ化物配合歯磨剤の普及などによりう蝕の進行は遅くなってきた.それに伴い,う蝕のマネジメントの1つである保存修復治療の必要性は減っているはずだが,今でも,う窩へのアプローチが主流であることに変わりはない. しかし,う窩では

      • 【書評】『日本歯科評論増刊 ハイエンドな Skill & Knowledge を活かしたワンランク上のコンポジットレジン修復』

        大谷一紀/東京都台東区・大谷歯科クリニック いまや日々の臨床で欠かせないCR 修復 コ ン ポ ジ ッ ト レ ジ ン 修 復( 以下,CR 修復)は,その物性と接着 技 法 の 大 き な 進 化,Minimal Intervention という治療概念,そして患者の低侵襲な治療へのニーズも相まって,2000 年以降,その適応範囲を広げ世界中で行われている治療法である. CR 修復は大きな導入コストもかからず,低侵襲で歯冠色材料による即日審美修復が可能であり,多くの歯

        • 【書評】 『歯科医師が知っておきたい 小児の閉塞性睡眠時無呼吸―健全な口腔顎顔面発育に必要な知識と対応のポイント』

          関崎和夫/新潟県見附市・関崎歯科医院 今,GPの間では,呼吸・睡眠障害を学ぶことが大ブームで歯科雑誌の特集,書籍の発刊,講習会も多い.これらのブームのオリジンは,本書の編著者である外木守雄先生および共同執筆者らが地道に長期に真摯に取り組んできたグループ研究に始まる. 2003年2月に起きた新幹線運転士の居眠り運転事故により,睡眠時無呼吸症候群が大々的にマスコミに報道され,その存在を知った人は多い. 歯科でも2003年に日本睡眠歯科医療研究会が発足し,歯科界や歯科雑誌に睡眠

        【書評】 『再石灰化と重症化予防を目指す 歯冠う蝕のマネジメント―検査に基づく診断と治療のフローチャート』

        マガジン

        • HYORON Book Review
          13本
        • 書評
          2本
        • HYORONブックレット
          4本
        • HYORON FORUM
          30本
        • 日本歯科評論増刊
          2本
        • 日本歯科評論 別冊
          1本

        記事

          【書評】『歯周治療・インプラント周囲治療のための Er:YAG レーザー パーフェクトガイドーベーシックから最新アドバンスまで』

          宮本泰和/京都市下京区・医療法人泰歯会 四条烏丸歯科クリニック 現在の歯科においての「三種の神器」は,歯科用 CT,マイクロスコープ,歯科用レーザーではないだろうか. 当院においても約 15 年前から使用しているが,今や歯周・インプラント治療には欠かせない治療器具 の1つになっている. 主に,歯周再生療法時における歯石除去,根面処理,不良肉芽の除去,さらにはインプラント周囲炎に対するインプラント表面のデブライドメントに対して不可欠なツールである.しかし,今回出版されたこの書

          【書評】『歯周治療・インプラント周囲治療のための Er:YAG レーザー パーフェクトガイドーベーシックから最新アドバンスまで』

          『日本歯科評論 増刊/ハイエンドなSkill&knowledgeを活かした ワンランク上のコンポジットレジン修復』より―序文

          多くの臨床歯科医が日常の臨床においてコンポジットレジン(CR)修復を行っています.修 復治療・補綴治療の低侵襲化・メタルフリー化が進む中,CR 修復は患者さんにとって選択肢の 1つとして重要な治療法となっています.しかしながら,より満足度の高い治療を提供するた めには,単に行うだけではなく,臨床の技術を向上させる必要があります.   本書では,「これを知っておくと CR 修復がより上達する」という臨床上の Skill と Technique について,CR 修復に熟達したオ

          『日本歯科評論 増刊/ハイエンドなSkill&knowledgeを活かした ワンランク上のコンポジットレジン修復』より―序文

          【書評】 『対話で学ぶ EBMはじめの一歩―論文を読み解き,臨床に活かすために』

          澤田則宏/東京都新宿区・澤田デンタルオフィス 対話形式で読みやすい 『対話で学ぶ EBMはじめの一歩』という本が上梓された.著者は蓮池聡先生と寺岡徳光先生である. 私は学会で診療ガイドライン委員会の一委員としてEBMを学んでいるが,かつて参加したワークショップにおいて,インストラクターとして基礎から教えてくれたのが蓮池先生である. 蓮池先生が月刊『日本歯科評論』に連載していた「EBM実践のためのイロハ」はいつも楽しみに拝読していた. その内容を書籍化したのが本書『EBM

          【書評】 『対話で学ぶ EBMはじめの一歩―論文を読み解き,臨床に活かすために』

          【書評】『3-stepと3-zoneで対応する サポーティブ・インプラント・セラピーーやさしいインプラント周囲疾患の予防と治療』

          中田光太郎/京都市西京区・中田歯科クリニック どの医院にもインプラント患者は訪れる時代インプラント周囲疾患は,その発現率の高さから今非常に注目を集めている.林丈一朗教授が著された序章の中に記されている「インプラント治療を行わない臨床医にもインプラント患者は訪れる時代」である.   また,インプラントクリニックにおいても自院のインプラント患者でないインプラント周囲疾患患者が来院することもあるし,評者の医院でもその対応に困ることもしばしばある.間口の広さと多様な患者を受け入れて

          【書評】『3-stepと3-zoneで対応する サポーティブ・インプラント・セラピーーやさしいインプラント周囲疾患の予防と治療』

          『対話で学ぶ EBMはじめの一歩―論文を読み解き,臨床に活かすために』より―はじめに

          大学卒業後,学術の世界とは無縁な道を選んだ私にとって,まさかEBMの本を書く日が来るとは,夢にも思いませんでした. 世の中には多くの情報が溢れかえっています. 臨床でも1つの疑問に対して,さまざまなところに多くの答えが転がっています. しかし,必ずしも同じ答えがそこに存在しているわけではありませんし,それっぽい「エビデンス」が引用されていると,さらに戸惑ってしまいがちです. 「講師の話は本当か?」 これが私がEBMを学ぶ,論文抄読を行うきっかけになったキーワードです.

          『対話で学ぶ EBMはじめの一歩―論文を読み解き,臨床に活かすために』より―はじめに

          【書評】『要介護高齢者の口腔病変アトラス-訪問歯科診療で遭遇する多様な口腔病変症例集』

          森田浩光/福岡歯科大学 成長発達歯学講座 障害者歯科学分野・教授,総合歯科学講座 訪問歯科センター・教授(兼任) 歯科訪問診療の現場で 本書のページをめくっていくと,歯科訪問診療を含めた高齢者歯科診療を行っている歯科医療従事者であれば,「この病変は見たことがある」という症例が多々あることに気付くであろう.超高齢社会の現在,2025年に完成を目指す地域包括ケアシステムの中で,歯科における重要な役割の一つとして歯科訪問診療の充実が挙げられる. 厚生労働省における平成29年の

          【書評】『要介護高齢者の口腔病変アトラス-訪問歯科診療で遭遇する多様な口腔病変症例集』

          【書評】『日本歯科評論別冊 CAD/CAM冠・CAD/CAMインレー―失敗しない保険治療のために押さえておきたいポイント』

          山本雄嗣/鶴見大学歯学部 保存修復学講座 教授 「CAD/CAM 冠・CAD/CAM インレー 失敗しない保険治療のために押さえておきたいポイント」が月刊『日本歯科評論』の別冊として刊行された.1990年代より報告されはじめたCAD/CAM システムは,その後のデジタル技術の目覚ましい進歩によって大きく発展した.      そしてわが国では,2014年に小臼歯に対するCAD/CAMレジン冠が保険収載となり,2022年にはほぼすべての単独歯補綴/ 修復が収載されるに至った.

          【書評】『日本歯科評論別冊 CAD/CAM冠・CAD/CAMインレー―失敗しない保険治療のために押さえておきたいポイント』

          序:公的医療保険下におけるCAD/CAM冠・CAD/CAMインレー

          CAD/CAM冠保険収載のインパクト 2009年9月に先進医療専門家会議(現:先進医療会議)で先進医療として認められ,4大学の病院で先進医療としてスタートしたCAD/CAM冠がその5年後,2014年4月の診療報酬改定時に公的医療保険に収載された. CAD/CAM冠は,高い機械的強度を有するCAD/CAM冠用レジンブロックの開発,ならびにデジタルデンティストリーであるCAD・CAM技術の進歩,さらにCAD/CAM冠を装着するための接着材料の研究と術式の確立によって臨床応用に繋

          序:公的医療保険下におけるCAD/CAM冠・CAD/CAMインレー

          【書評】『歯内療法Next Step 樋状根とRadix Entomolarisへの対応―日本人に多い解剖学的形態への臨床アプローチ』

          木ノ本喜史/大阪府吹田市・きのもと歯科 歯科医師なら「樋状根」と聞くと,「下顎第二大臼歯でたまに遭遇する,断面がC字型の根形態」と想像するかもしれない. 筆者(木ノ本)も根管解剖の書籍を執筆したにもかかわらず,そのように思っていたこともあった. しかし,本書の編者である日本大学松戸歯学部の辻本恭久先生らは,日本人の下顎第二大臼歯をCTにより観察し,女性では50%以上が樋状根であると2015年に報告した.これまで英文の論文で知られていた割合の「たまに遭遇」ではないのである.

          【書評】『歯内療法Next Step 樋状根とRadix Entomolarisへの対応―日本人に多い解剖学的形態への臨床アプローチ』

          『要介護高齢者の口腔病変アトラスー訪問歯科診療で遭遇する多様な口腔病変症例集』より―はじめに

          私が要介護高齢者を診るようになったのが,平成の初め頃である.当時は,歯科における高齢者診療は義歯が中心で,高齢者歯科学という講座を設置している歯学部もほとんどなかった. 先進的な開業医は訪問歯科診療に取り組んではいたものの,十分な症例報告や研究に基づいたエビデンスがあるわけでもなく,診療にあたっている歯科医師は手探りで行っているのが実情であった.当然のごとく,大学教育の中で要介護高齢者の口腔がどのような状態になるかという授業もなく,研修する場もないために,私も手探りで診療に

          『要介護高齢者の口腔病変アトラスー訪問歯科診療で遭遇する多様な口腔病変症例集』より―はじめに

          『歯内療法Next Step 樋状根とRadix Entomolarisへの対応―日本人に多い解剖学的形態への臨床アプローチ』より―はじめに

          根管治療の難しさは歯の形態,根管の形態にあるといっても過言ではない. 学生時代に口腔解剖学で学んだ歯の形態について,歯科医師ならば知識は持っている.しかし,その知識は基礎的な知識であって,専門的なものではない. 以前の研究は抜去歯からのデータがほとんどであり,資料の性別,年齢や既往歴等詳細なデータがないものもあった. 近年はCTを使用した検査が行えるようになり,デンタル写真ではわかりえなかった歯根形態,根管形態,病変の大きさ等がわかるようになった.そのため,医科用CT(MDC

          『歯内療法Next Step 樋状根とRadix Entomolarisへの対応―日本人に多い解剖学的形態への臨床アプローチ』より―はじめに

          【書評】『アドバンスドデンチャーテクニック―長期使用を目指した義歯の製作とメインテナンス』

          山下秀一郎/東京歯科大学 パーシャルデンチャー補綴学講座 教授 超高齢社会に突入したわが国 わが国は世界最速で超高齢社会に突入し,その後も高齢者の割合は増加の一途を辿っている. その結果,健康寿命の延伸と健康格差の縮小を基本的な方向として,口腔の健康と全身の健康の関わりがうたわれるようになってきた. 口腔の健康は,口から食べる喜び,話す楽しみを保つ上で重要であり,生活の質の向上にも大きく寄与している. このような時代背景の中で,本書は生まれるべくして生まれた一冊といえよ

          【書評】『アドバンスドデンチャーテクニック―長期使用を目指した義歯の製作とメインテナンス』