コストコで、どうしても欲しいシールを3個だけ発見したけれど、1シート500個もあって買うのをためらっていたら、友人が背中を押してくれた話。
コストコに買い物に来た。
ちなみに、コストコのストアコンセプトは、入荷したままのパレットに乗っている商品を、大型の倉庫に並べて販売することにより、商品管理や陳列にかかるコスト(費用)や手間を、徹底的に抑える倉庫店スタイルである。
いつも購入する食品や生活雑貨を見て回ると、子ども用のおもちゃや文房具売り場である物が目に飛び込んできた。
色とりどりのたくさんのシールの中に、好きな鳥の絵柄が3つあったのだ。
しかし、どうしても欲しいイラストが3つあるけれど、その1シートには全部で500個のシールが貼られていた。
「欲しいシールは、これと、これと、これの3つなんだけど」
一緒にコストコに来ていた友人に、愚痴のようにボソッとつぶやいた。
「買えばいいじゃない?」
「へえ!?」
友人の予想外の提案に驚いて、思わず声が少し裏返った。
「どうしても欲しい3つのシールに、1,500円の価値があると思うなら、買えばいいじゃない」
確かに、それはそうだ。しかし、
「でも、残りのシールはいらないの。残りのシールは捨てるの? もったいなくない?」
「知り合いの人が保育所を経営してるって言ってなかった?」
「うん」
友人がなにを言いたいのか、まだわからなかった。
「その保育所にあげればいいじゃない?」
「えっ!? 迷惑じゃないの?」
ときどきニュースで流れている。発展途上国に良かれと思って送っている古着の何割かがゴミとなり、発展途上国をゴミ処分問題で苦しめていると。
「シールが嫌いな子どもなんていないよ!」
ああ、そうだ。忘れていた。子どもの頃、保育所の掃除当番の後に配られたシールは嬉しく誇らしかったし、工作の時間や行事で見たシールがたくさん貼られたシートには目を奪われた。
コストコで、500個のシールシートを購入し、その中から3つだけシールを剥がすと、そのシールシートを持って知り合いが経営する保育所に出掛けた。
「欲しいシールは3つしかなかったので、残りは、あの、もし、良かったら、貰ってくれない?」
知り合いの保育所の経営者は、497個のシールシートに視線を落とすと、しばらくじっと見つめていた。
「あの、いらなかったら、遠慮なく捨てていいから」
わたしは焦って付け加えた。
「まさか! 嬉しい! これは、子どもたち喜ぶよ!」
「はあ」
社交辞令かもしれない。
「ほんとう、捨ててくれていいから」
やっぱり、ありがた迷惑だったんじゃないのか。
2日後、保育所を経営する知り合いから、直接電話がかかってきた。
「ありがとう! 子どもたちがメチャクチャ喜んでいる。シールを見せたら、目が輝いちゃって。興奮しちゃって。正直、経営が楽じゃないから、なかなかそういった物にまで予算がまわせなかったの。ほんとうにありがとう」
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