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『君に贈る火星の』♯ショートショートnote杯

「火星に連れて行って」

美和は弱った身体をベッドの中でずらしながら、俺に懇願してきた。

「近場じゃダメかな?」

「火星がいいの。まだだれも住んでいないところに行ってみたいから」

生きているうちに美和の希望を全部叶えてあげたかったのに、火星じゃ無理じゃないか。

望遠鏡を買ってみたり、プラネタリウムに連れて行ったりしてみたが、美和はどれも違うと言った。

それから、半年が経った。

夜空を見上げると星が綺麗にまたたいていた。あの夜空に輝く星の一つに美和は移り住んだのだろうか。

今日も夜道を散歩しながら、小石に磁石を近づけた。小石と磁石がくっついたら、その石は隕石かもしれない。

それは、美和から僕への火星からの贈り物かもしれない。

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