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neutral016 辿り来て、未だ山麓手前



 初めに補足を。巨大な「自己同一性」を天皇陛下と限定して書いていたが、現実には他のものに求めても良いと云うところが日本的なのである。モラトリアム(ニュートラル)の精神が生きている。抽象的に「日本」が一番多いだろう。困っている外国人旅行者を助けるときに「日本」「日本人」を代表して行っているという意識は潜在的にでもあろうと思っている。「空気」に従って生きる、というと批判の対象になって来たのであるが、日本の職人は木に従って(大工)や、食材を最大限に活かす包丁人など、自分以外を優先させて生きている生き方こそネイティブな日本人の特徴だ。頼りなさそうに見えて素材との共同作業は人間以外とのコミュニケーションを作り出している(人間を特別としないが、人を軽んじている訳ではない)。
 もう一つ、人狼は表の大義として市民社会におけるデータ分析、判断の正しさ等、理性の必要性、必然性、重要性を担っている。他者の受け入れを判断せざるを得ない状況の必要な条件を、自身が置かれる状況下で観察し確実なものにしてゆく。理性は何処にでも顔を出す。ディスプレイの中のTVゲームとは趣が違う。画面の仮想現実とは違うリアルさが身体をそのまま駒とするゲームの特徴なのだ。
 モラトリアム(ニュートラル)を代表し芸能人の末席にいるアイドルが欧米では認められない理由もこの辺から発生しているのだが、そのアイドル(やオタク・ファン)が喜ぶ「人狼」をTV画面で何回か観た。皮肉な光景を見せて貰っていた。欧米の市民社会では居場所さえ与えられない人狼(ムルソー)と、エンターテイメント界では席さえ与えられないアイドル、日本では大手を振って画面に登場している。BBCは深読みすれば、セクハラ(トップに君臨する者の持つ権力の絶対性の暴挙・暴走)という事件がきっかけではなく、黄禍論に似てアイドルの存在自体が気に食わなかったと見て間違いではないだろう。数%はある筈だが読みすぎか。日本のTV局が報道として取り上げなかった理由に利権、番組に食い込みすぎた男性アイドルを今更外せないというスポンサーも絡んだ判断、そういう薄っぺらい利害関係、つまり知性の欠如はずっと続いていて、コメントや言論でも希薄なことが文化・芸能の現状として続いている。
 女性アイドルが居ればいいと私見では思っている、女性は中年までには必ず引退(卒業)してくれる。節操(美学)がある。対して男性アイドルはなし崩し的に中年まで、いや老年まで居座るのはどうかと思う。勿論事務所を退所し普通の芸能人として自力で生きているタレントもいるが、退所後も中居正広の未だに「僕って、可愛いでしょ」的な匂いには閉口するしかない。
 女性の応援はチアリーダーという伝統があった…スポーツ選手の本音では男性アイドルの顔見せを嫌がっていた。
 女性も男性も十代がモラトリアムのピークだろう。モラトリアムやニュートラルを享受するならやはり年齢は十代が旬で一番いい、やや緩くしたとしても一般人が大学を卒業する22歳がリミットであろう。
 何時までという時間制限が解除され使いやすくなる二十歳を目処に男性アイドルグループがデビューするのが恒例になっているようだが、既に旬を越えた謂わば出涸らしの状態。ジュニア時代をファンクラブのみで享受している構図は囲い込み運動みたいでいただけない。事務所の事情から年齢が中年までズレ込んでいるとしたら最悪だ。

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 ここまでどう旋回してきたのか、書いてみよう。最初は大谷翔平の二刀流をニュートラルや場の空気を読む日本人の特徴から、日本人であるから二刀流が可能であったことを証明しようとしていた。
 またそのことに付随して、観光立国となった日本で、外国人観光客の日本への好意的な感想をYouTubeで多数観てきた。
 治安が良い、ゴミが街や公共の建物、交通機関で落ちていない。日本人が親切で困っていると助けてくれる。特に道案内で目的地まで着いて来てくれる。本場の日本食の別次元の美味しさと、目の前で披露される職人技の見事な動作と料理の盛り付けの芸術的な美しさ。料理に現れる隅々まで行き届いた「おもてなし」のこころ。料理人と客が対面するスリリングなコミュニケーションのツールにもなっている料理店での繊細な交感の娯しみ。店内という「場」の空気が日本的、いや日本そのもの。ノートPCやスマホをテーブルに置いたまま席を外せるのが必須条件の、そのコンセプトは自宅と同様に安心出来るニュートラルという場の拡大に行き着く。
 そして最新のインフラと神社仏閣・日本庭園など伝統が全国いたるところで見られる事。結界は寺社奉行が無くなっても日本人の心の中では廃止されていなかったのだ。最新のテクノロジーが普及していながら伝統が失われていない。スクラップアンドビルドではない。n+1 の多様体としての日本が息づいている。重層な文化に最新のモノがプラスされ続けている国、などなど。
 日本の特徴と比べることで、ニュートラルを無かったことにして来た欧米市民社会の輪郭もまた浮き彫りにされるだろう。
 などから新渡戸稲造が著した『武士道』日本人の道徳観の源泉を、既に実社会では絶滅している武士道を解除し、21世紀に照らし合わせて別の観点から描いてみる必然性が生じている。
 探求を進める過程でテーマが大きく広がってしまった。問題は手に負えるかどうか。
(続く)
 2024/04/12

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