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『family is forever』とかいう最大の皮肉!ロブ・ゾンビ流“新解釈ハロウィン”第二弾「ハロウィンⅡ」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(484日目)

「ハロウィンⅡ」(2009)
ロブ・ゾンビ監督

◆あらすじ
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精神病院から脱走し、殺戮を繰り返した兄マイケルを自らの手で殺した女子高生ローリーだったが、事件をきっかけに精神のバランスを崩してしまう。そしてローリーはまだ、殺人鬼マイケルの死体が行方不明になっていることを知らなかった…。(公式より引用)
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前作のラストでローリーに拳銃で頭を撃ち抜かれたマイケル•マイヤーズ。ローリーは重症を負ったものの警察に保護された後にすぐ病院へ担ぎ込まれ、一命を取り留めた。そしてマイケルは死に、事件は終わったはずだった…

しかし!
マイケルは無敵です!

このシンプルな感じがいいですね。

拳銃で頭を撃ち抜かれたくらいでは死にません!
人間ではありますが…

自身を輸送していた警察を秒殺し、行方をくらませます。そして愛する母親•デボラの幻覚の言われるがままに再び殺戮を繰り返します。

前作ではロブ・ゾンビ監督らしさが薄くて少々物足りなかったのですが今作はゾンブ節が存分に炸裂しております。

まず母•デボラの幻覚が現れるシーンがこれです。

デボラ役はもちろんシェリ・ムーン・ゾンビです。
ロブ・ゾンビ監督の奥様です。

“白ドレスに白馬を従えての登場”という常人ならば一生かけても思いつくことがないであろうインパクト大の登場です。

母の幻覚を見る時のマイケルは少年に戻っているため、やはり心の中は少年と怪物が混在しているのでしょう。
事件後も諦めずにずっとマイケルに寄り添ってきたものの、ついには耐えきれず自ら命を絶った母親。そんな母親の死を受け入れることもできず、凶行を繰り返したマイケルにとって愛を注ぎ続けてくれた母親の深層心理のイメージはいつまでも聖母、清く美しい“白”なのではないでしょうか。

だからこその“白”なんだと思います。馬はよくわかりませんが。

この幻覚のシーンのように心に直接訴えかけ、見た人に自由に想像させるロブ・ゾンビ監督ならではのミュージシャンとしてのアプローチやサイケデリックな表現が非常に嬉しかったです。

↑この作品が一番“それ”を感じられました。

しかし他の方の感想を見ると、「幻覚のシーンがいらない」や「頭を撃たれたのに生きてるのはおかしい」という意見が圧倒的に多かったです。

前作はかなり万人向けに作られているように感じたため、今作のように賛否両論別れる方がロブ・ゾンビ監督らしくて私は好きでした。

現在U-NEXTでのみ配信中です。私はTSUTAYAのレンタルを利用させていただきました。

『実はまだ生きていたマイケルは殺人を繰り返す』

『ローリーは自身の出生を知ることになる』

という二つの軸で基本的に物語は進行するのですがどちらの軸にも大きく関わってくるのがサミュエル•ルーミス医師です。

「d!e!a!d!」を「死んだんだ」と訳すのめちゃくちゃセンス感じます。

前作ではマイケルを更生させることができず、結果的に多くの命が奪われたことに責任を感じて最後の最後までマイケルを追い続けた老練ルーミスでしたが、今作では人の不幸を食い物にするクズに成り下がります。

一年前のマイケルによって15人が死亡した事件をまとめた「悪魔がそこに」という書籍を出版したルーミスは一躍時の人となっています。講演にサイン会、本の宣伝のためにテレビ出演など多忙を極めますが、その一方で「そもそもお前がマイケルの更生に失敗したからこんなことになってるんだろ!」と被害者遺族や一部の人からは爆裂に恨まれています。

そんなルーミスの新刊にはなんとローリーのモザイク無しの顔写真、そしてマイケルの妹であるという真実、本名がエンジェル•マイヤーズであることがローリーの許可もなく掲載されており、これによってローリーは全てを知ることになってしまいます。

個人的にはルーミスが悪者になる展開は嫌いじゃないんですけど悪者というよりクズみたく描かれているのはなんだか寂しかったです。

マイケルはどこでも大暴れします。

非常に暴力的なグロ描写はクオリティが高く、原形が分からなくなるまで顔を踏み潰したり、骨が飛び出したりとシンプルながら過激で爽快でした。

あと、前作から少々気になっていたんですけども、ロブ・ゾンビ版のマイケルは速歩きだったり飛び付いたりとオリジナル版のマイケルには無いアクティブさがあり、それが賛否別れるところでもありました。しかし『心の中は怪物であり少年でもある』ということを考えると“若々しい動き”は必然なのかもしれません。2作とも見るとマイケルのそういった動作のひとつひとつも腑に落ちました。

そして入院中からローリーは無意識にマイケルの意識とシンクロできるようになっていますが(これもロブ・ゾンビらしいですね)、中盤まではこれを悪夢だと思っていました。この悪夢の正体に気づいた後半からはなんとかマイケルの凶行を食い止めようと奮闘し、殺人現場に駆けつけたりとめちゃくちゃ頑張ります。あんなにも辛い思いをしているのに立ち止まることなく行動し続けるその姿に胸が打たれました。

クライマックスではマイケルによって拉致された廃屋の中でローリーが少年マイケルの幻覚に取り押さえられるという演出も最高にキマっていました。

ローリー役のスカウト・テイラー=コンプトン
絶叫クイーンの異名を持ちます。

そしてマイケルに娘を殺されたブラケット保安官の指揮によって警察に包囲されたその廃屋に駆けつけたルーミスはブラケットに思いっきりぶん殴られます。この時の「罪のない少女が死にかけてる。お前の欲深い本のせいで」というブラケットのセリフが本当に素晴らしかったです。

交渉役を買って出たルーミスですが残念なことにマイケルによって惨殺されます。結局死なずに心を入れ替えて日常を送るみたいな生ぬるい感じにならないのもすごく良かったです。

その後のローリーの「兄さん、愛してるわ」というセリフからのあの行動、そしてラストの真っ白な部屋と青年マイケルと母親と白馬。視聴者にオチを委ねる絶妙に気持ち悪い終わり方も最高でした。

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