マガジンのカバー画像

茶道

20
運営しているクリエイター

記事一覧

茶事の練習 -半東役してみたよ-

茶事の練習 -半東役してみたよ-

お茶友がこの度准教授の許状を賜り、記念の茶事を催すことになった。光栄にも自他ともに認める半人前茶人のワタクシに、半東役という白羽の矢があたった。当日は練習も兼ねた茶事なので、裏方をみていただける先生もいらしゃるという。もちろん二つ返事でお受けした。

前日にお掃除や道具出しなどの準備を行い、いざ当日を迎える。緊張はない。前日に下火を熾すためのカセットコンロで、まさかのカセットガスの装填のしかたがわ

もっとみる
亭主と正客、どっちが格上なの?

亭主と正客、どっちが格上なの?

正客ができるようになるために、勉強をするのです。
とあるお茶の先生が言っていた言葉に感動的に納得しました。実際にその先生は色んなことをご存知で、バッグには付箋が山のようにはられた古典書がはいっておりました。

一座建立という言葉通り、茶会においては主客がともにその会を作り上げるものですが、厳密に言うと、正客のほうが亭主より、一枚上手(言い方微妙💦)であるべきだそう。

というのも、正客は会話をま

もっとみる
竹の花入れ:園城寺

竹の花入れ:園城寺

園城寺とは、滋賀県大津市園城寺町にある天台寺門宗の総本山。

天正18(1590)年、豊臣秀吉が行った小田原攻めに同行した千利休が、戦いの最中、静岡県・伊豆韮山(にらやま)の竹で作ったと伝わる花入。その竹は庭に切置かれたもので(青竹などではない)、3点作られた。園城寺以外に、尺八、夜長(よなが)がある。茶道といえば竹の花入れの印象があるが、その始まりがここにあったとは。

園城寺の特徴は花を入れる

もっとみる
和敬静寂

和敬静寂

お軸などにもよく書かれている茶道の精神「和敬静寂」。
なんとなくわかった気分だったけど、明確に教えていただく機会があったので備忘録として書いておく。

”足利義政が村田珠光に「茶の精神とは?」に問うた。珠光が答えたのが、和敬静寂。(出典は大応国師が宋より持ち帰った『茶道清規』)
「和敬」は主客の心得、「静寂」は庭、茶室、道具の心得であるという。

和の禾(のぎへん)は稲や穀物を意味し、口のそばに穀

もっとみる
夏下冬上

夏下冬上

さて、なんと読むでしょう?
夏下冬上=かかとうじょう と読むそうです。
それくらい知ってますよ、と言われそうですが、私は「げか??」と、すんなり読めませんでした :D 

どういう意味かというと、炭火をおこす時「夏は火種を炭の下に入れ、冬は炭の上に置くのがよい」と、グーグル先生は教えてくれますが、
茶道においては(裏千家です)、種火の火がついている方を、夏は下に向け、冬は上にむけるとよい、というこ

もっとみる
花見の季節の和菓子 - 花見団子(西陣・塩芳軒)

花見の季節の和菓子 - 花見団子(西陣・塩芳軒)

3月にいただく茶菓子の代表格、花見団子。
この三色はピンク=花、緑=木や葉、黒=大地を表すと言われています。またお味もそれぞれで、緑はよもぎの香りがとても印象的です。

私は裏千家茶道のお稽古をしているのですが、このお団子の紅と緑の間に、隙間が作られてて供されることがよくあります。これは、花見団子は田楽箱に盛り付けられることが多いのですが、お家元の重箱には餡が直接木肌につかないようにと桟が渡してあ

もっとみる
桜の時期の和菓子 - 花衣(赤坂・塩野)

桜の時期の和菓子 - 花衣(赤坂・塩野)

桜の季節を少しだけ先取りして、気分を盛り上げてくれる和菓子が「花衣」。3月のお茶のお稽古の恒例です。「花衣」といえば、東京赤坂にある塩野さん。ういろうで作られた、ひらひらと舞う桜の花びらがふんわりと寄り合っている様にその場の雰囲気も一気に春めきます。やわらかさ、形の美しさ、光が透けるようなその自然の姿は、着物をふわりと纏っている美しい女性のようでもあります。

そして楊枝で割ると、中には黄身餡が。

もっとみる
王維 漢詩 音にあふれる詩 お茶のお稽古より

王維 漢詩 音にあふれる詩 お茶のお稽古より

辛夷塢

木末芙蓉花,
山中發紅萼。
澗戸寂無人,
紛紛開且落。

木末(こずえの)芙蓉花(ふようくゎ*こぶしの花)
山中(さんちゅう)紅萼(こうがくを)發す。
澗戸(かんこ)寂(せきとして)人 無く
紛紛(ふんぷんとして)開(ひらき)且(かつ)落(おつ)。

(盛唐・王維)

早春の山中の風景を詠んだ詩。
ひっそりと静まり返った山の中で
木蓮の花が赤く開いては、その花をぽとんと落としていくよ。

もっとみる
利休の価値観 - 破壊

利休の価値観 - 破壊

忘備録

利休と言えば戦国の世において、茶の湯を通じて、既存の価値観や美意識を上書き保存していった人物。すべては利休が持つ美意識に集約されるのだと思うが面白い話を聞いたのでメモとして記録。

利休の価値観のひとつに「破壊」がある。文字通り、あるものを壊すことだけど、物質だけではなく精神にも及ぶ。弟子の山上宗二は「利休という人は、山を谷と言いなして、茶の湯の法度を破る」と残している。「茶の湯の法度を

もっとみる
お茶のお家元、なぜたくさんの名前があるの?

お茶のお家元、なぜたくさんの名前があるの?

お茶のお稽古では、避けて通れない、お家元歴代の御名。淡々斎や玄々斎という名前で親しんでいた私は、本を開いてビックリ。めちゃくちゃ名前がありました。
たとえば、裏千家十四代淡々斎は、別名・無限斎であり、別名・碩叟宗室(せきそうそうしつ)であり、別名・玄句斎である。他にもいくつかの名や号を見ることが出来る。

半ば理解するのはやめて、淡々と一番親しまれている読みだけを記憶しよう…と思っていたところ、理

もっとみる
利休道歌で教わった道具の扱い - あなたなら恋人の手をどのように離しますか?

利休道歌で教わった道具の扱い - あなたなら恋人の手をどのように離しますか?

2月は28日しかなく、なんとも慌ただしい月となりました。そんな時にこそお茶のお稽古で心を落ち着かせたいものです。私にとってお稽古は瞑想ツールのひとつ。お茶のお稽古でなぜ心が落ち着かと言うと、指先にまで意識を行き渡らせる所作に瞑想的な作用があるんだと思います。

今日のお稽古のハイライトは(私の中で)、柄杓を置くときの、手の作法。
炉で釜に柄杓をかける時、釜の淵に合(水をすくうカップのところ)を掛け

もっとみる
結界カルチャー 日本人

結界カルチャー 日本人

日本人がDNAレベルでもっている思想って、特有だなって思います。
しかも、なにげない日常の生活の中に見いだせる面白さがあります。
その中でも「結界カルチャー」は強力なひとつだと思います。

結界をつくるジャパニーズカルチャー
きっかけは土井善晴先生の講演で「お箸をなぜ横に置くか」というトークでした。

お箸で結界
ご飯を食べる時、料理と自分の間に横にお箸を置きますね。
でもコレって、アジア圏でも珍

もっとみる
2021年の抱負 - 自分の練習をする

2021年の抱負 - 自分の練習をする

年末年始の恒例──今年の抱負。
実行されている方も多いと思います。
昨年に引き続きこともかな〜り不透明な年になりそうですね。
ロンドンに住む友人曰く、現実、2021年も引き続きStay Homeな状態が続く見通しだそうです。計画を立てる行為さえ怯んでしまいそう。

そんな状況なので、2021年のnoteで、抱負を綴ろうとは決めていたのですが
何を書くかはその時に決めることにしました。
出たこと勝負

もっとみる
さようなら夏。さようなら水ようかん

さようなら夏。さようなら水ようかん

今年の夏のミッション。それは私にとって、楽しい旅行の思い出つくりでも、水着の似合うボディメイクでもありませんでした。そもそもコロナでかなり制限されたチョイスしかない2020年の夏でしたね。それでもしぶとく立てた目標が”東京の美味しい水ようかんを制覇する”ということでした。

言っておきますが、今回目指す水ようかんは、かなりのVIPぶりです。
予約電話を事前にして、保冷剤のバッグを持参して、一切れに

もっとみる