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茶事の練習 -半東役してみたよ-

お茶友がこの度准教授の許状を賜り、記念の茶事を催すことになった。光栄にも自他ともに認める半人前茶人のワタクシに、半東役という白羽の矢があたった。当日は練習も兼ねた茶事なので、裏方をみていただける先生もいらしゃるという。もちろん二つ返事でお受けした。 前日にお掃除や道具出しなどの準備を行い、いざ当日を迎える。緊張はない。前日に下火を熾すためのカセットコンロで、まさかのカセットガスの装填のしかたがわからないという、茶人以前の問題にぶち当たってしまったワタクシとしては、緊張さえも

    • 亭主と正客、どっちが格上なの?

      正客ができるようになるために、勉強をするのです。 とあるお茶の先生が言っていた言葉に感動的に納得しました。実際にその先生は色んなことをご存知で、バッグには付箋が山のようにはられた古典書がはいっておりました。 一座建立という言葉通り、茶会においては主客がともにその会を作り上げるものですが、厳密に言うと、正客のほうが亭主より、一枚上手(言い方微妙💦)であるべきだそう。 というのも、正客は会話をまわし、空気を作るお役目があり、そのためには亭主の茶会のメッセージ、取り合わせに込め

      • 竹の花入れ:園城寺

        園城寺とは、滋賀県大津市園城寺町にある天台寺門宗の総本山。 天正18(1590)年、豊臣秀吉が行った小田原攻めに同行した千利休が、戦いの最中、静岡県・伊豆韮山(にらやま)の竹で作ったと伝わる花入。その竹は庭に切置かれたもので(青竹などではない)、3点作られた。園城寺以外に、尺八、夜長(よなが)がある。茶道といえば竹の花入れの印象があるが、その始まりがここにあったとは。 園城寺の特徴は花を入れる窓が一つ開けられていること。これを一重切(いちじゅうぎり)という。上部に壁に引っ

        • 和敬静寂

          お軸などにもよく書かれている茶道の精神「和敬静寂」。 なんとなくわかった気分だったけど、明確に教えていただく機会があったので備忘録として書いておく。 ”足利義政が村田珠光に「茶の精神とは?」に問うた。珠光が答えたのが、和敬静寂。(出典は大応国師が宋より持ち帰った『茶道清規』) 「和敬」は主客の心得、「静寂」は庭、茶室、道具の心得であるという。 和の禾(のぎへん)は稲や穀物を意味し、口のそばに穀物があるのは心が安らぎ、他人を敬うことができるということ。確かに「種」も意味が通

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          夏下冬上

          さて、なんと読むでしょう? 夏下冬上=かかとうじょう と読むそうです。 それくらい知ってますよ、と言われそうですが、私は「げか??」と、すんなり読めませんでした :D  どういう意味かというと、炭火をおこす時「夏は火種を炭の下に入れ、冬は炭の上に置くのがよい」と、グーグル先生は教えてくれますが、 茶道においては(裏千家です)、種火の火がついている方を、夏は下に向け、冬は上にむけるとよい、ということらしいのです。 が、私の狭い交友関係に限っての話ですが、多くの先生方は、実際の

          夏下冬上

          青く輝くモリゾーことレインボーファン

          私のiPhone SEでは美しくきらめく青い葉を捉えることができず、多少心残りだが、好きすぎて3株も買い増しをしてしまったのがこの、レインボーファン。 シダ科の植物で多湿を好む。このモジャモジャした造形と、フレッシュな緑、そして光の加減で青くきらめく葉っぱ💜 頬ずりしたくなります(実際にやってるし)。 目標はもりもりと育ててモリゾウのように仕立て、ハンギングにしてみたい。ハンギングをしたことがないから、手間とかいまいちわからないんだけど。 一番目に購入した子は結構のびの

          青く輝くモリゾーことレインボーファン

          頑張れ!ウンベラータ育成日記

          いくつかの危機に瀕してきたわがウンベラータ。 年明けに2枚ついていた葉が枯れ落ちたときには、もう終わったと、がくりと膝をついた。 この悲報を友人の植物博士にzoom越しで伝えたところ、もしかするとまだ生きているかもしれないから捨てるな、とのコメントをもらう。 土が乾いたら水を上げをすることや約二ヶ月。固く茶色だった木のてっぺんが芽のようなシェイプになってきた。幹もよぼよぼだったのが、ぱっつりとしてきた。 暖かくなった3月後半から急に様子がかわる。木のてっぺんが芽のようにむ

          頑張れ!ウンベラータ育成日記

          Blueberry育成日記 2023年

          3/18にブルーベリーの苗生を2本購入。 品種はティフブルーとフェスティバル。実の収穫という本番の前にネーミングだけで愉快な気分にさせてくれる。 3月18日 4月3日 ティフちゃんの花が咲き始める。ベルのような形の白い花、かわいいんですけどー💜

          Blueberry育成日記 2023年

          花見の季節の和菓子 - 花見団子(西陣・塩芳軒)

          3月にいただく茶菓子の代表格、花見団子。 この三色はピンク=花、緑=木や葉、黒=大地を表すと言われています。またお味もそれぞれで、緑はよもぎの香りがとても印象的です。 私は裏千家茶道のお稽古をしているのですが、このお団子の紅と緑の間に、隙間が作られてて供されることがよくあります。これは、花見団子は田楽箱に盛り付けられることが多いのですが、お家元の重箱には餡が直接木肌につかないようにと桟が渡してあり、それを避けるために隙間があるそうです。お茶の先生がお菓子屋さんに発注する際に

          花見の季節の和菓子 - 花見団子(西陣・塩芳軒)

          桜の時期の和菓子 - 花衣(赤坂・塩野)

          桜の季節を少しだけ先取りして、気分を盛り上げてくれる和菓子が「花衣」。3月のお茶のお稽古の恒例です。「花衣」といえば、東京赤坂にある塩野さん。ういろうで作られた、ひらひらと舞う桜の花びらがふんわりと寄り合っている様にその場の雰囲気も一気に春めきます。やわらかさ、形の美しさ、光が透けるようなその自然の姿は、着物をふわりと纏っている美しい女性のようでもあります。 そして楊枝で割ると、中には黄身餡が。なんて秀逸な茶席菓子なんでしょう。心が震えます。この黄身餡は、白餡に卵の黄身を加

          桜の時期の和菓子 - 花衣(赤坂・塩野)

          王維 漢詩 音にあふれる詩 お茶のお稽古より

          辛夷塢 木末芙蓉花, 山中發紅萼。 澗戸寂無人, 紛紛開且落。 木末(こずえの)芙蓉花(ふようくゎ*こぶしの花) 山中(さんちゅう)紅萼(こうがくを)發す。 澗戸(かんこ)寂(せきとして)人 無く 紛紛(ふんぷんとして)開(ひらき)且(かつ)落(おつ)。 (盛唐・王維) 早春の山中の風景を詠んだ詩。 ひっそりと静まり返った山の中で 木蓮の花が赤く開いては、その花をぽとんと落としていくよ。 現在の承認欲求系とは真逆の心情。 誰にみられることもなく、 燃えるように美しく

          王維 漢詩 音にあふれる詩 お茶のお稽古より

          利休の価値観 - 破壊

          忘備録 利休と言えば戦国の世において、茶の湯を通じて、既存の価値観や美意識を上書き保存していった人物。すべては利休が持つ美意識に集約されるのだと思うが面白い話を聞いたのでメモとして記録。 利休の価値観のひとつに「破壊」がある。文字通り、あるものを壊すことだけど、物質だけではなく精神にも及ぶ。弟子の山上宗二は「利休という人は、山を谷と言いなして、茶の湯の法度を破る」と残している。「茶の湯の法度を破りて自由にする」ことが利休の美学であり、生き方であり、戦国という時代だったとい

          利休の価値観 - 破壊

          睡眠も老化する。心配しすぎないこともひとつの方法

          先日「睡眠」について取材をしたとき、印象的だったことを忘備録としてとどめておこうと思う。 それは「睡眠も老化する」ということだ。よく聞くのは「中途覚醒が出始め、質の良い睡眠が取れていない。睡眠障害かも…」という不安。しかし健康な人は、40代から中途覚醒は確実に起きているという。数秒、数十秒のため覚えてないことも多いそうだが。60代を超えると中途覚醒は顕著に長くなり、一度起きると30分は眠れないことも稀ではないそうだ。話を聞いた先生のお母さまは、そういうときによく料理をしてい

          睡眠も老化する。心配しすぎないこともひとつの方法

          お茶のお家元、なぜたくさんの名前があるの?

          お茶のお稽古では、避けて通れない、お家元歴代の御名。淡々斎や玄々斎という名前で親しんでいた私は、本を開いてビックリ。めちゃくちゃ名前がありました。 たとえば、裏千家十四代淡々斎は、別名・無限斎であり、別名・碩叟宗室(せきそうそうしつ)であり、別名・玄句斎である。他にもいくつかの名や号を見ることが出来る。 半ば理解するのはやめて、淡々と一番親しまれている読みだけを記憶しよう…と思っていたところ、理解を助けてくれる一文を雑誌に発見したので記載しておく。多分婦人画報か太陽でした。

          お茶のお家元、なぜたくさんの名前があるの?

          利休道歌で教わった道具の扱い - あなたなら恋人の手をどのように離しますか?

          2月は28日しかなく、なんとも慌ただしい月となりました。そんな時にこそお茶のお稽古で心を落ち着かせたいものです。私にとってお稽古は瞑想ツールのひとつ。お茶のお稽古でなぜ心が落ち着かと言うと、指先にまで意識を行き渡らせる所作に瞑想的な作用があるんだと思います。 今日のお稽古のハイライトは(私の中で)、柄杓を置くときの、手の作法。 炉で釜に柄杓をかける時、釜の淵に合(水をすくうカップのところ)を掛け、節の端を指ではさみ畳に静かに置きます。 その所作のところで先生が一言。 「何

          利休道歌で教わった道具の扱い - あなたなら恋人の手をどのように離しますか?

          第68回日本伝統工芸展に行ってきた。人間国宝〜大谷早人さんの講演感想〜

          親が通っている木工クラブが香川県の香川県立ミュージアムで開催中の「日本伝統工芸展」に行くとのことで、一緒についていった。 木工クラブのメンバーは人生のベテランレベルに属する方々。みなさん、彫りや絵やそれぞれに精通していて、その歴も40年とかそういうレベル。なので展示を回っている時も、色々と教えてくれる。 例えば、木工芸に今年は珍しく楓の木が多く、これまでとトレンドが変わったこと。木工作品の味わい方。香川の漆芸の歴史や技法について。常連の作家さんについては、今年はどんな作品を

          第68回日本伝統工芸展に行ってきた。人間国宝〜大谷早人さんの講演感想〜