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14書証について

さて、今度は「書証」つまり、証拠となる書類についてのお話です。
書記官が言うには、裁判の証拠書類は、最初に全部出すのが理想なのだそうですが、何が証拠として出せるか素人にはわかりませんよね。ですので、私は考えられる限り、「紙」として提出できるものは何でも出してみようと思いました。

書証を提出する際には、「証拠説明書」を最初に添付します。書くべき事は
1,書証の番号:第~号証
2,標目(原本・写しの別):書証が何であるかと、原本なのかコピーなの              か
3,作成年月日及び作成者:作成者は例えば「盗難等被害届出証明書」なら             警察署長ですね。
4,立証趣旨:何を証明したくて提出したかという説明


証拠説明書


※提出する書類は、必ず左側に3cmの余白を入れます。上下と右側の余白は 何cm開けてもOKです。

私たちが最初に提出した書証は、甲第23号証までありました。この時点では西村一郎さん・南村二江さんを提訴した平成23年(ピ)第666号損害賠償事件と、北村三郎さんを提訴した平成23年(プ)第999号損害賠償事件は併合されていなかったので、双方に同じ書証と証拠説明書を提出しました。

その後、2つの事件は併合されましたが、追加で書証を提出する際は、同じように「証拠説明書」を添付しました。証拠説明書の書き方も以下のようになりました。

併合後の証拠説明書



さて、証拠の話に戻りましょう。
まずは、とにもかくにもご老人達が、井上君の借りている昭和A棟に勝手に入って、A棟の中にあった様々な物品を盗んで行ったことは、絶対に証拠を出さなければ、と思いました。
私も井上君も、盗難被害に遭った経験がなかったので、被害届を出したら、後日「窃盗等被害届出証明書」という書類を発行される事を知りませんでした。

M署に「裁判をやるので、何か証拠となるものは頂けますか?」と電話した所、この書類を発行してもらえると教えて頂いたのです。「窃盗等被害届出証明書」というのは、被害届を出して受理されたら、被害届に番号がつくので、その番号を伝えて発行してもらえるものです。

そこで、井上君は、2月17日、しんしんと雪の降る、まさに冬の真っ只中、M警察署に「盗難証明」をもらいに行きました。G県は雪の多い所ですから、スタッドレスタイヤなし、などありえない県です。そしてM署内でS司法巡査に行き会ったそうです。
「あ、Sさん、そのせつはお世話になりました。」
お世話になっていませんけれどね。
「あ、井上さん。どうしたんですか、今日は。」
井上君がご老人達を提訴した話をしたら、S司法巡査さん怪訝そうな顔をしたそうです。何でしょうね。こちらが被害者なのに、やはり理解できなかったのでしょうか。Sさんは、あれから「刑事さん」に昇進できたかな?


この証明書を発行してもらうには、「証明書を必要とする理由」と「証明書提出先」も必要なので、井上君はM警察署で西村さんと南村さんを訴えた裁判の番号平成23年(ピ)第999号、北村さんを訴えた裁判の番号平成23年(プ)666号も伝えました。証明書提出先は横浜地方裁判所です。
それぞれ違う番号で証明書が発行されます。

以下が「窃盗等被害届出証明書」です。


西村さん南村さんを訴えた裁判用1枚目


北村さんを訴えた裁判用1枚目



2枚目は、どちらも同じです


 
ついでに、井上君は、またM市の法務局へ行きました。昭和A棟の登記簿は既に取ってありますので、今回は公図をとってきました。(公図とは国が作った地図ですが、土地は家が建てられたり取り壊されたり、山が崩されたり常に変わっていますので、更新作業が追いつかず、正確でない事もありますから、あまりあてにはできない所はあります。)
公図はA3サイズ(A4サイズの2倍)なので、2枚(AとB)に分けて提出しました。

2枚に分けたので甲第28号証Aとしました


こちらが甲第28号証Bです



ちなみに、現代ではネットでも登記簿や公図を取れるようになっています。ご老人達が、最初に雇った長井弁護士先生が、内容証明郵便と、昭和A棟では「ない」建物についての登記簿を井上君の住所と昭和A棟に、別々に送って来た時の登記簿も、ネットで取ったものでした。

 
私は井上君に、昭和A棟の周囲のブルーマップもコピーを取って来てくれるように頼みました。ブルーマップというのは、ブルーマップ作成会社の従業員が歩き回って、家屋の表札やお店の看板などを見て、家屋に番地や名前を書いて作る詳細な住宅地図です。(表札が出ていない家やマンションには個人名は載っていません。)膨大な作業量ですから、新版が発行されるのはたいてい数年に一度です。
ブルーマップは多くの事業者が使います。不動産屋だけではなく、例えばデリバリーのピザ屋さん、宅配業者さんなど、個人の住所を知らなければならない業者は、ブルーマップを使っていました。ナビが使われるようになった今の時代は、配達業ではあまり使わなくなっているようです。
 
そして、どの法務局にも、担当地域のブルーマップが置いてあり、当時はコピーを取らせてもらえました。
(現在はコピー禁止の法務局もありますので、ブルーマップのコピーを取りたい方は図書館に行くといいと思います。)
ブルーマップは市販されていますが、一冊数万円もしますので、必要な部分だけ数十円でコピーした方が良いですものね。ただ、住所地の法務局には最新版はあっても古いものはない場合が多いとのことです。


ブルーマップ


薄い青い文字が、役所が決めた「地番」で、

地番


「住所」は、以下の赤い線を見て下さい。

住所

昭和A棟の住所は、波手名三丁目7番5号です。


 
この後に受け取った白根弁護士の答弁書には、ご老人衆は、昭和A棟を「原告(井上君が)の姿はほとんどみかけなかった。廃屋のような状態になっていると思っていた」と書かれていました。確かに空き家になってはいましたが、だからと言って鍵を壊して家屋内のものを好き勝手に処分していい訳はありません。


井上君が確認した所、M市の法務局に置いてあった最新のブルーマップには、ちゃ~んと「井上准一」の名前が、昭和A棟の上に書かれていました。良かった良かった。あの凍りつくような寒さの1月11日に、S司法巡査と現場検証をした時も、昭和A棟のポストに井上君の住所・氏名は書かれていましたから、ブルーマップ業者がちゃんと表札を見て書き写していたのですね。この写真も書証として提出しましたが、写真だけなら過去に撮ったものだろう、と主張される可能性もありますから、客観的な「最新版のブルーマップ」が必要だと思ったのです。

現場検証の日、昭和A棟のポストに井上君の名前が書いてありました



 
次に、私達は国会図書館に行きました。何故かと言うと、国会図書館には日本中の全ての本や新聞が(雑誌や漫画も含めて)保管されているからです。

井上君が昭和A棟を借り始めて以降は、井上君がポストに自分の名前を書いておいたので、井上君の名前がブルーマップ上にかかれているはずです。地方の法務局では、最新版のブルーマップしか置いていないので、私は過去のブルーマップのコピーも全て書証として提出したかったのです。ブルーマップは公文書ではありませんが、少なくともブルーマップ作成業者という「第三者」が井上君の表札を認識していたという証拠にはなりますから。
 
国会図書館が、どういう図書館かは知っていましたが、私も実際に行ったのは、この時が初めてでした。場所は永田町です。広い広い道路の反対側に国会議事堂があります。神奈川県の官公庁街など比較にならないくらい、広大な「お役所通り」の中にある国会図書館は、門から入ると都内と言うのに緑あふれる公園があり、とても静かでした。
国会図書館は巨大な建物で、中に入ったらホールの天井が、とても高い!!美しい青いタイルで装飾された壁、広々とした空間、まさに上級国民のための建物!

国会図書館


…と、思ったら当時は誰でも入館できたようで、通路の長椅子の上で、暇そうな(体臭がキツく、お洋服も洗濯していないように見える)お爺さんが数人、お昼寝をしていました。それから、食堂のカレーがなかなか美味しかったです。食堂のメニューは、ごく庶民的でした。ちなみに喫茶店もありますよ。まったり休憩するのに、ちょうどいいですね。
 
国会図書館には、昭和A棟のあるエリアのブルーマップは、古いものから全部で10冊ありました。コピーする枚数が多いので、台車を借りて、2度コピーセンターとの間を行き来しました。国会図書館ではコピーセンターがあって、カラーでもモノクロでもコピーしてくれます。(有料です)。10冊のうち、見開きと奥付(何年版、などと巻末に書いてある部分を奥付と言うそうです)ですから、一冊につき3枚。合計30枚もコピーを有料で!とってきました。横浜からですから車で1時間ほどでいける距離ですが、こんな作業を弁護士さんにやってもらったら、いくら取られるでしょうね。丸1日がかりですから、交通費抜きでも大変な金額になる事でしょう。
 
そして、私の仕事はブルーマップをコピーしただけでは終わりません。ブルーマップというのは、非常に小さい字で書いてありますし、黒い地図に水色の字で番地が書かれているので、字や線が重なると見づらいものです。
ですから、私は、ただでさえお忙しい裁判官に見ていただくには、「はい、これ見てください」では通用しないと思いました。
そこで、昭和A棟の周囲など、必要な部分を最大限拡大コピーしたものもつけ加えました。神奈川簡易裁判所の暴走裁判官にやったようなイヤミなくらいの色分けなどはしませんでしたがw

この程度までは拡大しました


このような形で、井上君が昭和A棟を借り始めた頃の分から最新版までのブルーマップのコピー(原版コピー、拡大コピー、奥付コピー)を書証として提出しました。

※このnoteでは、ブルーマップのコピーをそのままアップすると著作権侵害になる恐れがありますので、自作しています。
 

  
 
そして、井上君が昭和A棟を使っていた(賃借人であった)、もうひとつの証明が電気料金の支払い書です。これは電力会社から証明がもらえますから、いつから契約したかも確実にわかります。井上君は、神奈川県に異動になっても、時々登山に行くだろうから、その時は昭和A棟に泊まろうと思って、電気は解約しなかったのです。
これは電力会社に「個人情報開示請求」をすると「回答」として出してくれました。

電力会社から貰えます


毎月の基本料金は契約時から口座引き落としで、裁判中も引き落とされていましたので銀行口座でも良かったかも知れませんが、銀行口座を証拠として提出すると、電気料金引き落とし部分以外を黒塗りにしなければならないので膨大な作業量になってしまいます。ただ、基本料金だけ約10年分でしたから、「住んでいた」という証拠にするには苦しいので、私はどう主張するか、かなり悩みました。これは、後に「しまった!出さなければ良かった。」と後悔する羽目になりましたけれどw。



それから、証拠写真には説明書きを入れてもOKでした。

写真に説明文を入れてもOKでした


陳述書も提出しました。陳述書はA4用紙でなくても良かったです。井上君のお母さんに普通の便箋に西村一郎さんから電話がかかって来た時の事などを書いて頂きました。堅苦しい文章ではなくて良く「ひどいと思います。」などで大丈夫でした。
私はA4用紙でwordで打ち込みました。



それから「証拠申出書」。これはプロの白根先生のお書きになったものを参考にするのが良いでしょうね。「誰に」「何分間」「どんな事を」証人尋問して下さい、という裁判所へのお願い、という事だと思います。

証拠申出書1ページ目


証拠申出書に記載されている別紙「尋問事項書」

尋問事項書


この証拠申出書は、後に私達も提出しました。昭和A棟内にあった物品は、まさか盗まれるなど考えもしなかったので写真を撮ったりしていません。そこで、たまに昭和A棟内の安全確認をしていた井上君のお父さんに証言してもらう事になったためです。

 

私達は、他にも証拠写真など、出せる証拠は何でも出しました。
一方、白根先生のほうからはなかなか証拠が出て来ませんでした。6月10日付けの「準備書面1」に、ご老人衆の家系図が1枚だけ、しかも「書証」としてではなく「別紙」として、準備書面の最後につけて来ました。

手書きの家系図


この裁判は相続争いではないのですから、他人の家の親族関係なんてどうでもいいんです。しかも、wordで書いた氏名に、手書きで線を引いたらしい、とても簡単なものでした。これは白根先生が書いたのでしょうか?だとしたら、ご老人衆は、いくら払ったのでしょうね?


目次
1大家が泥棒(Ⅰ)
1大家が泥棒(Ⅱ)
1大家が泥棒(Ⅲ)
2オタ友のために(Ⅰ)
2オタ友のために(Ⅱ)
2オタ友のために(Ⅲ)
3現場検証したら(Ⅰ)
3現場検証したら(Ⅱ)
3現場検証したら(Ⅲ)
4仕事しろよ(Ⅰ)
4仕事しろよ(Ⅱ)
5本もない(Ⅰ)
5本もない(Ⅱ)
5本もない(Ⅲ)
5本もない(Ⅳ)
6お宝20号
7普通が一番
8下準備(Ⅰ)
8下準備(Ⅱ)
9暴走簡裁(Ⅰ)
9暴走簡裁(Ⅱ)
9暴走簡裁(Ⅲ)
9暴走簡裁(Ⅳ)
10私のメンタル大震災(Ⅰ)
10私のメンタル大震災(Ⅱ)
10私のメンタル大震災(Ⅲ)
11民事訴訟法17条うぇ~い
12第一回口頭弁論
13準備書面というもの(Ⅰ)
13準備書面というもの(Ⅱ)
13準備書面というもの(Ⅲ)