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2オタ友のために(Ⅰ)

捜査をしてくれなかったM警に対する井上君の怒りは、よおおおくわかります。私にとって、井上君は仮面ライダーや戦隊モノやガンダムの話ができる、希少な友達です。一緒に仮面ライダーごっこをしてくれる奇人変人なんて井上君くらいしかいません。この大事な友達のために、
 
私は、ある「手」を思いつきました。


特に意味はないです



「いのっち、今ノートPC持ってる?」
「いや、家。」
「じゃあ、それちょっと借りるゎ。」
「何すんの?」
「捜査してもらうの。」
「はぁああ?」
公共の場で大声出すな。
「もう夕方だから、車の中で話すから。とにかく急ごう。K-1始まっちゃ  う!今ならやってあげるよ?今すぐなら。」
私は大晦日は何を置いてもK-1でしたからね。まぁるい体の井上君は、事情がわからなくても転がるような速さで駐車場へ走りました。
そして車の中で作戦説明をしました。
「何やるかって言うとね、お手紙書くの。」
「あぁ?そんな事かよ!」
井上君は、あからさまにムッとした顔をしましたが、いつもの事です。すぐに感情が顔に出るので、ある意味わかりやすくていいかも知れませんねw

「いいから黙って安全運転!」
「へいへい…」
「あのね、Sさんは警察官のクセに自力救済を認めちゃったでしょ?
 これって問題だからね。」
「じりょくきゅうさい?何だ、そりゃ?」
「ご老人たちのやった事。」
「窃盗?」
「そう。例えば自分の自転車を盗まれたとするね、で、それを誰かが乗って たのを発見したとするじゃん?じゃあ、その人の庭とかから自分が直接取 り返したら、それもまた窃盗になるの。」
「えっ?自分のモノじゃないか。」
「占有権ってのがあってね、まぁいいや、とにかく取り戻すには警察にやっ てもらわないとNG。これって基本中の基本なんだけど、M署はNGな事を 認めちゃったよね。これ、アウトなの。」
「ほぉ!」
「それから、ジィさんバァさん、元の鍵を壊してまで別の鍵を付け替えたん だよね?」
「うん、ありゃマジでビックリしたゎ。」
「何故だと思う?」
「う~~~~~ん…」
「家の中に、見られたくないモノを置いたとしたら?」
「おおっ!!」
井上君、急にアクセル踏むな!!
「お年寄りだからと言って『善人』と言う訳じゃないじゃん。も~し~か~ し~た~ら~…」
「死体とか麻薬とか入れておいて」
「犯人はいのっち、という事になる。」
「ウソだろぉ~~~~~!!!」
「って心配をしない警察、おかしくない?」
「本当だ!!」
「まぁ、そんなドラマみたいな事はないと思うけどさw でも可能性がゼロ じゃないんだから、警察が手抜きをしたばかりに何か事件になって、報道 されたりしたら、S司法巡査の責任になるよ?って内容を…」

書きました。
井上君ちのPCで約30分で。だってK-1が待ってるんですから。本当なら、もっと早く終わらせたかったのですが、ちょっと時間がかかったのは、ある事をネットで調べたからでした。

「はい、これを送って!今日のうちに!!」
「何で今日?」
「今日中に、ビジネスパックでね。」
「ビジネスパック」とは、今は「レターパック」と呼ばれているものです。当時は主に仕事で使われていたので、「ビジネスパック」と名付けたのでしょうね。
「あのね、今日は大晦日でしょ?刑事さんは『お役人』なんだから、お正月 休み取るよね。で、年明け初出勤の朝、机の上にビジネスパックが置いて あったら?」
「開けるわな。一応でも。」
「そゆこと。正月明けに何事だ!って、読むよね、とりあえず。」
「そ~ゆ~ことかぁ!!無視って事はないよな、うん。」
「だからと言って捜査してくれるとは限らないけどね。でも、やれる事は
 やり尽くして置かないと、後で後悔しても遅いじゃん?じゃ、郵便局へ  GO!」
普段は私の言うことなど一切耳に入れない井上君が、知り合ってから初めて素直に言うことを聞いた日でした。
 
私は井上君が郵便局へ行くついでに、アパートに送り返してもらいました。良かったぁ~!K-1に間に合いました。
思えばこの頃、山本KID徳郁も元気に活躍していました。これは頂き物ですが、山本KIDのお葬式で配られたハガキです。
裏面がKIDの写真になっています。

KID~~!!帰って来て~~!!!


ちなみに、これがS司法巡査に送った手紙の内容です。

刑事科強行犯係 S様
 
平成22年12月31日
M市波手名3-7-5
井上 准一
 
先日は夜間、お忙しい中の対応感謝致しております。
当日はS様より、西村様及び南村様他、親族数名の方々が弁護士を立てたので、今後は民事として解決するようにとのご指示をいただきました。
 
しかしながら、西村様及び南村様他、親族数名の方々は、私が使用中の家屋に、私に無断で侵入し、さらに私に無断で当該家屋内の私の所有物を処分した旨を、S様他、数名の警察官の方々の面前で自白しております。
 
当然私は被害届けを提出する権利がございます。
 
先日通報致しました通り、西村様及び南村様他、親族数名の方々は当該家屋に侵入し、私の所有物を処分した後、当該家屋の鍵を交換しました。私は交換後の鍵を渡されておりませんので、被害の実態を確認できない状況に置かれております。
 
西村様及び南村様他、親族数名の方々が他人の占有する家屋に不法侵入した事実、また他人の所有物を窃盗した事実は、西村様及び南村様他、親族数名の方々自らの自白により明白です。
 
この二件については刑事事件である事もまた明白です。
 
西村様及び南村様他、親族数名の方々の話によって、S様他、数名の警察官の方々は、当該家屋内に存在した、私の所有物の価額が2万円以下程度という印象をお持ちになり、「微罪」に相当するものとお考えになったかも知れません。この刑事事件が「微罪処分」に相当するものであるかの判断基準は、被害金額(おおむね2万円以下)によるものかと思いますが、加害者が犯罪現場の鍵を交換し、被害状況の確認を不可能にしたため、被害金額の特定もまた不可能です。これは証拠隠匿あり、悪質です。警察官の方々が被害の状況を現場検証することなく、加害者の主張のみにより加害者の処分について判断されるのは異例ではないでしょうか。
 
S様にご留意いただきたいのが、加害者である西村様及び南村様他、親族数名の方々の、この「証拠隠匿」行為が「証拠隠滅」を意図したものと思われる、という点です。
 
もう一点ご留意いただきたいのが、加害者が当該家屋の鍵を所有しているため、加害者が犯罪実行現場に自由に立ち入ることが可能な状況にあり、一方、被害者はそれが不可能であるという事です。
 
つまり加害者は、証拠隠滅が可能であるばかりか、加害者自身の所有物を犯罪実行現場に搬入する事が可能であるという事です。
 
警察官による現場検証がなされないままの現在の状況下で、西村様及び南村様他、親族数名の方々が、あくまでも仮定としてですが、仮に違法な「物体」、あるいは「生体であった物体」を当該家屋に搬入した場合、西村様及び南村様他、親族数名の方々がそれを井上の所有物であると主張した場合には、その主張が認められてしまうのでしょうか。犬猫であれ、それを殺した者には「器物損壊罪」が適用される事と記憶しております。また、高齢者の行方不明事件も社会問題になっております。加害者側は当該家屋を取り壊す予定とのことですが、取り壊されてしまえば、何もかも廃棄され、例え他の刑事事件がなされたとしても一切の証拠が残らない事になります。
 
ちなみに、宅地建物取引主任者の資格を持ち、賃貸の営業に関わってきた知人に相談したところ、この程度の低額な物件の明け渡しに関して、賃貸人が、賃借人に何らかの連絡をする前に、高額な費用をかけて弁護士を立てるというのは極めて稀であるとの事です。私自身、西村様及び南村様他、親族数名の方々が不法侵入および窃盗という刑事事件さえ実行しなかったならば、連絡があれば、穏便に明け渡す事が可能でした。
 
何の連絡もせず、不法侵入、窃盗、鍵交換による証拠隠匿という刑事事件を実行し、なおかつあまりにも早い段階で弁護士を立てるという加害者側の一連の迅速な行動に強い違和感を抱いております。
 
S様より、民事にて解決するようにとのご指示がありましたが、明文化されていないとは言え、民事不介入の原則に則れば、失礼ながらそのようなご指導は不適切かと存じます。家賃の滞納について、係争となれば、それは民事事件ですので、それを以って警察官が現場検証を拒むのは刑事事件と民事事件を混同するものと危惧いたします。
 
昨今、菅谷さんの冤罪事件(足利事件)を始め、様々な冤罪事件がマスコミによって報道されております。警察官の方々の日々の激務、過重な仕事量による疲労については私も理解致しておりますが、G県において、冤罪事件を生じさせないためにも何卒、速やかに現場検証を実行してくださいますよう、お願い申し上げます。


ネットで調べた「ある事」とは、窃盗が微罪になるときの金額の事でした。
この日、ネットには2万円以下は微罪扱いになると書いてあったので
その件もつけ足してみました。

そして、私はK-1が終わったら、恒例のピッタリ0時に終わる東急ジルベスターコンサートのカウントダウンを見て、恒例のNHKの「行く年来る年」で除夜の鐘の音を聞きながら、恒例の元旦寝落ちをいたしました。新年くらいはいいことがありますように…


※足利事件とは、菅谷さんという方が、幼女を殺害したとして無期懲役の刑に服する事になった冤罪事件です。逮捕時は考えられなかったDNA鑑定が科学の発達によって可能になったため、菅谷さんの弁護団が冤罪を晴らすために尽力し、2009年に東京高検が刑の執行を停止して、同年東京高裁が再審開始を決定したので大きく報道されました。

※「宅地建物取引士」は、当時は「宅地建物取引主任者」でした。