13準備正面というもの(Ⅰ)
ここで、裁判書類の構成や、中身のお話を書きますね。
素人の私は、答弁書が送られてきた後、どうするかわかりませんでした。
裁判所でもらったパンフレットには、訴状の作り方しか書いていなかったのです。
そこで難解な専門書を一所懸命読んでみたら、何とな~く「準備書面」というもので反論するらしい、と言う事まではわかりました。
答弁書に対する反論を私達が「第1準備書面」で出す。その反論には相手方は「準備書面1」でも「第1準備書面」でもいいのですが、とにかく「1」で出す。それに対するこちらの反論は、今度は「第2準備書面」、それに相手方が反論するなら「準備書面2」あるいは「第2準備書面」などと続いていく。
こうやって互いの言い分である「準備書面」を出し合いながら、「争点整理」を行っていくようです。そして、証拠となる書類(書証)も付け足します。
私が傍聴した限りでは、民事事件で出す証拠は『紙』だけでした。写真なども、現物は出さないようです。この点に関しては、弁護士さんに聞いて下さい。
裁判官が、互いの言い分が出尽くしたと判断するまでこの準備書面のやり取りが続く。大体、こんな感じなのかな、と読み取れました。
答弁書が送られてきたのが、第一回口頭弁論予定日3月17日の一週間前の、平成23年3月10日付で、裁判所にFAXで送られて来ました。第一回口頭弁論の7日前です。第一回口頭弁論の当日に持ってくるのもアリだそうですが、それにしても7日前とはギリギリですね。
これは、私達を大慌てさせた「移送申し立て」と同時に出してきたものでした。提訴したのが2月9日でしたから、訴状が届いたのが1週間後だとしても、3週間もあったのに…。
そして、末尾に「後日詳細に反論する。」と書かれていました。つまり反論するのは後回しでもいい、という事ですね。これは知らなかったので勉強になりました。
但し、プロの弁護士がお作りになったものですから、書式は次回から真似させていただく事にしましたw
その上、弁護士先生がお書きになった答弁書ですから、さぞやカッコイイものが来ると思っていたら、まさかの自爆答弁書が来てしまいました。
全文を書き写すのは後回しにして、以下、答弁書の中の自爆ポイントを3点ピックアップします。
☆「被告南村が原告に謝罪しなかった事は、謝罪すべき行為がないので当然 である。」
刑事事件になった証拠はガッツリ撮ってあるけど?
☆「被告らは鍵をつけ換えた(破壊してはいない)。
前の鍵を引き剥がした後がくっきりついてる写真があるんですけど?
☆「鍵をつけ換えておけば原告が気づいて被告に連絡をしてくると思い、替 えたものである。」
思い切り嫌がらせで鍵を換えたこと認めてるじゃんwww。
「あのさ、いのっち知ってる?最近弁護士の報酬って自由化されたよね。連 中、とにかく安くやってくれる弁護士探し回ったんじゃないの?」
「うん。それでこんなに答弁書遅くなったか。ギリギリで、とにかく何でも いいから書いておくしかなかった、ってところかな。」
「いや~、法律用語1コもないよぉ。バイトが書いたかもよ?」
「バイトも雇えない先生だったりしてなぁ。ワハハ!!」
答弁書だけで、こんなに笑わせて頂くなんて予想外でしたw
※余談ですが、弁護士先生と言えど所詮は自営業者です。どんなに法的知識があっても経営能力が欠けているとお客さんはつかないそうです。しかも、弁護士試験のレベルを下げた結果、弁護士余りの状況に陥ったのだとか。
弁護士会に支払う会費が高額なので食べて行けず、(都内など人口の多い地域は年間60万円くらい、北海道のような過疎地では年間100万円くらいだと聞きました。)弁護士免許を返上する弁護士もいるそうなのです。
答弁書の書き方についてもツッコミどころ満載です。
第1 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
との判決を求める。
ここまではテンプレートでしょうから、いいとして
第2 請求の原因に対する答弁の書き方が問題です。
私も素人ですので、訴状の段落に番号を振るべきとは知りませんでした。
そこで白根先生は、段落を指定して反論しているのですが、その段落の指定の仕方が、常識外なのです。「第2 請求の原因に対する答弁」の内容は、
1から19まであり、その後に「被告らの主張」が1から6ありますが、1から3の冒頭だけ書き写します。
1 第一段落(「被告らは」以下「あります。」まで)
内容省略
2 第2段落(「被告の」以下「返しました」まで)
内容省略
3 第3段落(「なお」以下「なっています」まで)
これじゃあ、こんな答弁書を読む裁判官は大変です。おそらく書記官が『』をつけたりしてくれるのでしょうけど、書記官も大変でしょうね…。
せめて「何ページ何行目から何ページ何行目まで」と指定しないと、一般社会では読んでもらえませんよね。ナメているのか、仕事が出来ないのか、少なくとも普通の会社だったら、こんなテキトーな仕事は通用しないと思いますが…。
裁判を傍聴すると、裁判官は皆、おそらく販売されている中で一番分厚いファイルを何冊も手元においています。そして、裁判中は、数冊のファイルを開いて、見比べながら続けます。
おそらく、訴状、答弁書、書証、原告準備書面1、被告準備書面1、原告準備書面2、被告準備書面2、原告準備書面3、被告準備書面3、原告準備書面4、被告準備書面4、追加の書証、以後どれだけ続いているかわかりませんが、膨大な書類を見比べながら進めるのでしょう。
何という複雑で、非効率的で、煩雑な作業なのでしょう。これを1件につき1年以上やるのです。そして、裁判は同時進行で何件抱えているかわかりません。
何この無間地獄!!!
裁判官のお仕事はブラックなんてものではありませんね。これが刑事事件なら、刑罰を言い渡す裁判官の方が、裁判官だと言うだけで懲役を受けているようなものです。いくら公務員には労働基準法が適用されないとは言え、あまりにムゴイ…。
以前、ご母堂の裁判を傍聴に行った時、時々ウトウトなさっていましたが、これじゃあ裁判官が法廷でウトウトするのも当たり前です。
白根弁護士の答弁書を読んで、私は全国の裁判官(神奈川簡裁の暴走裁判官を除く)に心から同情しました。
そして、裁判官にとって徹底的に読みやすい準備書面にしよう、つまりユーザビリティ(準備書面のユーザーは裁判官ですから)第一に準備書面を作ろうと、思いました。
そして、高く昇った陽の白さが、透き通る青が宙いっぱいに満ち誇る空の一点、天へ抜ける道を示すかのようにぎらりと光る五月の真昼ごろー
柴田錬三郎っぽく書けたかなw
とりあえず「答弁書に対する反論」を第24民事部(ん)係に持っていった所、書証を添付する場所などが間違っているとの事で、書記官さんが書証の作り方を教えてくれました。書証とは、「証拠」となる写真や登記簿など、色々な書類の、現物のコピーです。
書証は準備書面の最後に添付するとの事です。それぞれ番号をつけますが、訴える方(原告)は「甲~号証」と、赤い字で書きます。訴えられた方(被告)は「乙~号証」です。
この字は印刷してもいいし、赤いマジックで書いてもOKでしたが、私は最初の横浜簡裁に訴状を提出した時に、受付の方が証拠書類の上に「甲~号証」というゴム印を押して、「~」のところに番号を書き入れてくださったので、文房具屋さんに行って、全く同じゴム印を作ってもらいました。やはりこのゴム印があると便利ですね。
そして「証拠説明書」(この書証が、何を証明するために提出したかという説明文)を、表にして書証の前につけるように、とのことです。なぁんだ、簡単、簡単。
そして一度持ち帰り、試行錯誤の結果、裁判官にとって、とても読みやすい反論文、自称「桃丸三部式」も確立しました。
(私のペンネームは桃丸剣士ですからw)
目次
1大家が泥棒(Ⅰ)
1大家が泥棒(Ⅱ)
1大家が泥棒(Ⅲ)
2オタ友のために(Ⅰ)
2オタ友のために(Ⅱ)
2オタ友のために(Ⅲ)
3現場検証したら(Ⅰ)
3現場検証したら(Ⅱ)
3現場検証したら(Ⅲ)
4仕事しろよ(Ⅰ)
4仕事しろよ(Ⅱ)
5本もない(Ⅰ)
5本もない(Ⅱ)
5本もない(Ⅲ)
5本もない(Ⅳ)
6お宝20号
7普通が一番
8下準備(Ⅰ)
8下準備(Ⅱ)
9暴走簡裁(Ⅰ)
9暴走簡裁(Ⅱ)
9暴走簡裁(Ⅲ)
9暴走簡裁(Ⅳ)
10私のメンタル大震災(Ⅰ)
10私のメンタル大震災(Ⅱ)
10私のメンタル大震災(Ⅲ)
11民事訴訟法17条うぇ~い
12第一回口頭弁論