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2020.09.09 パスピエ「LIVE-X」

パスピエ、今年2月以来のライブはバーチャル空間から届けられた。スペースコロニーのライブコロニーであるという設定を説明するCGアニメのクオリティに驚いたが、ライブ自体は基本的に背景は変らず、少し拍子抜けではあった。最初の時点で「天才てれびくん」のスタジオ風景じゃん!って思って以降、ずっとそう思ってしまったのでファーストインプレッションは大事だ。

1曲目は「シネマ」。スタジオライブ、ライブ会場からの配信のどちらでもない、TVショー的な雰囲気に近いこの公演を軽やかに立ち上げ馴染ませていく。続くのは2020年第1弾シングル「まだら」で、こちらも緩やかで横揺れなグルーヴが心地よい。普段のライブであれば絶対にやらないようなオープニングの流れ。3曲目にしてアレンジを効かせまくった「とおりゃんせ」でぐっと熱量を上げていく。バンドを大映しするアングルが多いのも得点高い!

MCではバーチャル背景の壁をリアルタイムで上げ下げするなど、いつも以上にラフなノリだったが、演奏は実にタイト。昨年の傑作『more humor』の1曲目「グラフィティー」における規格外の突飛なプレイ、2020年第2弾シングル「真昼の夜」の緩急自在に展開していく予想外のリズムワーク。どんどん異様なバンドのフェイズに入りつつあるパスピエの今をしっかりと映し出していた。外枠は妙な配信企画だが、カメラはド直球で凄く良かった。

「トーキョーシティ・アンダーグラウンド」「つくり囃子」とライブ定番曲を重ねた後のMCで大胡田なつき(Vo)は「やっぱライブだなぁ」と呟いた。画面越しであることを忘れそれぞれがストイックに楽曲を奏でる様は、技巧派プレイヤー揃いのパスピエらしさに満ちていた。自主企画の告知を行った後、最新曲のポップなダンスナンバー「SYNTHESIZE」をプレイ。シンセとピアノのフレーズの同時弾き、成田ハネダ(Key)は涼しい顔でやってのける!

ライブ定番の初期曲「チャイナタウン」が終盤を予感させ、久々に名曲「最終電車」が歌われる。近年はアレンジ面でも大きくアップデートを果たしたパスピエだが、その原点に流れる温かみは未だに強い魅力を放ち今に至る。純朴な気持ちで綴られた8年前のリリックは色褪せず、その青さ自体が素敵な記憶のように響きグッときてしまった。しかしここで終えず『more humor』の終曲「始まりはいつも」でシメたのにも意思表示を感じる。どんどんアップデートされるパスピエの現在を存分に知れる60分だった。だからこそ、もうちょっと音響に力を入れた環境で配信して欲しかったなぁ、と!切に!

<setlist>
1.シネマ
2.まだら
3.とおりゃんせ
-MC-
4.グラフィティー
5.真昼の夜
6.トーキョーシティ・アンダーグラウンド
7.つくり囃子
-MC-
8.SYNTHESIZE
9.チャイナタウン
10.最終電車
11.始まりはいつも

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