2020.09.05 ストレイテナー「TITLE COME BACK SHOW」
ストレイテナー、初の有料配信ライブは2005年9月にリリースされたメジャー2ndアルバム『TITLE』の15周年を記念した再現ライブ。ライブ定番曲を多く擁する代表作を4人体制で曲順通りに完全披露する、意義深いお祭りだ。
最新SE「STNR Rock and Roll」をバックにスタジオインする4人。ホリエアツシ(Vo/Gt/Key)の奏でる鍵盤の音色からオープニングナンバー「SAD AND BEAUTIFUL WORLD」。人気投票では常に上位、2017年には再録もされているが更なる肉体性を持ってアップデートしてある。ひと呼吸置いての「PLAY THE STAR GUITAR」も2011年のセルフカバー盤『STOUT』に収録されており馴染み深いサウンドではあるが、つくづく隙のないリアレンジだと思う・
「俺たちストレイテナーって言います！」というお馴染みの挨拶の裏ではナカヤマシンペイ(Dr)が猛烈なビートを叩く。そして日向秀和(Ba)の図太いベースラインが入れば「泳ぐ鳥」だ。ライブ盤『Behind The Tokyo』で音源化もされているこのアレンジ、会場の熱狂が目に浮かぶ1曲だが向き合って演奏する4人の姿は実に新鮮。そしてクールダウンさせるように名曲「TENDER」が鳴る。近年はポップで開けた楽曲も持ち味にし始めたテナーが2004年当時のヒリついた楽曲を演奏する様は意外でもあるのだが、この曲を思えば現在にまで続く普遍的なメロディというのは初期から一貫しているように思える。
まだ見ぬ誰かに届けたいと思って書いた『TITLE』の曲たちが今別の意味を持って遠くの僕らに届く、、実にメッセージ性の高いホリエのMCを経て以降の楽曲群は映像がモノクロに変わりより劇的に。そして、大山純(Gt)によって加えられたもう1本のギターが耳に残る。「REBIRTH」ではサビ裏で軽やかに奏でるアルペジオ、「STILLNESS IN TIME」のロングトーンなど、楽曲を立体的の浮かび上がらせてゆく。そして歌われる内容もずっしりと胸に残る。2018年のフジロックでも演奏された「AGAINST THE WALL」にもまた感極まる。＜超えなくては前に進めない壁＞がある2020年にこの曲は鳴る意味よ。
ホリエがキーボードに座って歌った「LOVE RECORD」はあまりにも美しい。当時は音源のアレンジを再現できなかったがこの体制では可能だし、その上で柔らかさを磨き上げているホリエの歌声が抜群の相性だ。そしてベストアルバム投票1位だった「REMINDER」とライブではほぼ未披露の「AMAZING STORIES」が並ぶ再現ライブらしい曲順も楽しい。「AMAZING STORIES」に関してはアフタートークで「この時期にこんな曲あった？」や「ライブでどうやってたんだろう」と存在そのものを不可解に思っているのが面白かったが、軽妙に跳ねるリズムは心地よく対面ライブで是非とも聴きたいものだ。
アルバム再現も終盤。ホリエとナカヤマの出身地である長崎の風景が滲む「EVERGREEN」でもホリエは鍵盤を弾きながら歌唱。この楽器の切り替えも今はごく自然なスタイルになっているのだから15年の年月を感じざるを得ない。トドメはライブでもその名の通り必殺の盛り上がりを確約する「KILLER TUNE[Natural Born Killer Tune Mix]」。アフタートークでは、観客がいない中でこの曲を演奏することの違和感を語っていたが、いつもよりじっくりとそのグルーヴを味わうことができた。リアルタイムでは行くことが叶わなかった『TITLE』のレコ発ライブ、オンラインながらこの機会に立ち会えた喜び！
楽屋でのアフタートークの後、最後には新曲「叫ぶ星」がプレイ。コロナ禍の中、悔しい気持ちを制作にぶつけていると語っていたが、その熱情が迸るつんのめった疾走感を持つロックナンバーであった。それこそ『TITLE』収録曲としても馴染みそうだが、言葉選びの明確さなどは完全に今のテナーだ。過去を再構築し、未来を産む。これだからこのバンドはずっと信頼できる。
-setlist-
01. SAD AND BEAUTIFUL WORLD
02. PLAY THE STAR GUITAR
03. 泳ぐ鳥
04. TENDER
05. REBIRTH
06. STILLNESS IN TIME
07. AGAINST THE WALL
08. LOVE RECORD
09. REMINDER
10. AMAZING STORIES
11. EVERGREEN
12. KILLER TUNE [Natural Born Killer Tune Mix]
13. 叫ぶ星（新曲）
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