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1月のいだてん

↑「男塾名物!直行進軍」的なことを天狗倶楽部はやっていたのだという(第3話のいだてん紀行より)。バンカラだね!!

口を開けば低視聴率だの、歴史モノじゃないだの(まだ言っとんのか)、周囲のノイズがやかましすぎるのだけがキツい。それ以外は最高、「いだてん~東京オリムピック噺~」である。1月分の感想をまとめて。マンスリーリリースを何とか目指したい。

第2話「坊っちゃん」
金栗四三の少年期が描かれた回。出演シーンの半分ほどは病床に臥せっていた田口トモロヲ演じる四三の父・信彦はこの回を持って出演終了、何という贅沢さよ。信彦の「嘉納治五郎先生に抱っこしてもらえれば四三も強い子になる」という思い、それは結果として叶わなかったにも関わらず、「嘉納先生に抱っこしてもらった」と周囲についた嘘が、1月のいだてんを牽引するファクターとなる。1話目のラストシーン、嘉納治五郎がストックホルム五輪の予選会を勝ち上がった四三を抱き締めた場面が余韻を残し続けている感じ、めちゃくちゃ好きだ。

四三が小学校までの12キロの道のりを楽に走る方法を、母親のラマーズ法を見て編み出したという嘘みたいなマジっぽい話を経て、その"走りへの開眼"の瞬間に光に向かってトンネルを走り抜けるシーンが登場したのにもグッときた。トンネルは「あまちゃん」における重要シチュエーション。最終回で、主人公のアキ(能年玲奈)とユイ(橋本愛)が、復興しつつある北三陸鉄道のトンネルの前で、「来年は、こっから先にも行けるんだ」「行ってみよっか」と言葉を交わし、走り出していく。明るい未来への象徴。いだてんにおいても近いニュアンスで繰り返されたこと、とても感慨深い(演出はともに井上剛)。

第3話「冒険世界」
1960年の世界。古今亭志ん生宅で、ビートたけし、神木隆之介、小泉今日子、川栄李奈、そしてこの回より初登場の池波志乃(志ん生の孫娘が志ん生の妻を演じるというね!)、荒川良々(ジャンプ亭ジャンプではない)がひしめきあって盛り上がるシーン、この座組だけでホームドラマ作れるようなほっこり感。てか、毎週最初の5分はそういう枠にしてみて欲しい。

四三が、海軍兵学校の受験に落ち、嘉納治五郎が校長を務める東京高等師範学校への進学を決めて上京し、マラソンに出会う、というのがこの回の大筋。四三の親友としてともに上京する美川秀信(勝地涼)、どことなく報われなさそうな気配が漂いまくっている。彼は、この物語のユイちゃんなのだろうか、、遊女の橋本愛と恋仲になる役というのも、何かの予兆かな。

上京と帰省が同じ回に描かれるテンポ感も相変わらず。熊本パートでは四三の後の妻・春野スヤ(綾瀬はるか)の存在が眩しい。僕のこれまでの歴代ベスト綾瀬はるかは「鹿男あをによし」の藤原先生なのだけど、そこに匹敵してる。あと、いきなり団子ってくまもんと同時に出てきた最近の名産品だと思っていたら、この回でスヤさんが四三にいきなり差し出してて驚き。明治時代からあるお菓子なんだな。

第4話「小便小僧」
四三の出来事と、1960年の志ん生周辺の出来事がオーバーラップする形で進行し、最後に「芝浜」っぽい導入で次回の予選会の話へ繋げていくという、いつになく「タイガー&ドラゴン」みの溢れる回だった。落語セクションと本筋の絡め方が毎週異なるのもとても楽しい。定番を作り固めるのがこれまでのクドカンの形だったので新鮮でもある、1年間あるから色々試してるのかな。

峯田和伸演じる人力車夫とウルトラの瀧(2019年限定)演じる足袋職人が顔見知りであるという、界隈のテンションが上がる絡みもありつつも、メインは四三と足袋の出会い。マラソン足袋に敵対心を燃やしていた瀧がここで足袋職人とは因果な話。走法にしても練習法(水抜き脂抜き)にしても、手探りで何かを掴みにいこうとする過程で生まれるおかしみというのは愛おしさがある。過去の文献や歴史資料の中からそういったものをキャッチして大きな笑いに昇華していく、というのがクドカン流の大河ドラマなんだな、と。

金栗四三の、すっとぼけた感じだけど夢中になれるものにアツくなっていけるキャラクター、どうしても天野アキを重ねてしまう。やってみなきゃ分からないことを楽しくやれてる姿はまさしく今の時代に必要な主人公像だな。あ、あと4話で1番笑ったのは永井先生(杉本哲太)が肋木でスウェーデン体操しながらマラソンコースの説明するシーンだった。あの人、肋木を愛しすぎている。出オチだと思っていた肋木がここまで引っ張られてたの、あの人のせいだ。

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