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ここ最近の東京カランコロンとSAKANAMON

東京カランコロンとSAKANAMON、なんかずっと好きな2組。マネージャーが共通していたり、メジャーデビュー時期が近くてスプリットツアーもやったり、同じ時期にメジャーレーベルから離れて同じ事務所/レーベルに移籍したり、なんとなくセットで認識している2組。音楽性はだいぶ違うけど、2組に共通するのはメインストリームからずっと浮きっぱなしな存在感。メジャーデビューした2012,13年頃はフェス向けのロックの台頭が著しく、その場で映える曲も作っていたけれど、どこか居心地悪げであったような気がする。ところが、レーベルをTALTOに移ってからというものの、2組ともすこぶる良い調子な気がする。気がするだけなので確証はないけれど、2組のその"浮き方"がそのまま生き生きとした音楽になっている気がするのだ。

東京カランコロンは9月リリースのミニアルバム『Melodrive』が素晴らしかった。素っ頓狂なギタープレイとキャラクターの強い歌唱が持ち味のバンドだったが、今作の仕上がりはとてもシンプル。ループ感の強いビートと、抑えた歌声、流れるようなメロディとさらりとした編曲。何もかもがこれまでのカランコロンから逸脱したものなのに、リラックスムードが伝わってくる。実験的とも言えるアプローチをしながら、これ程自然体で普遍的なものに聴かせられるというバンドのポテンシャルを思い知った。とりわけ、「リトルミスサンシャイン」が素晴らしかった。元ネタの映画も最高ゆえ、そのイメージが乗っかっているのも大きいが、突き抜けるような晴天の下で、そぐわない切なさを抱えながら、感傷に浸ってしまえる心地よさがある。

こんな傑作を聴いたからにはライブで聴かねばなるまい、と10月5日の福岡Queblick公演に足を運んだ。1曲目からワンフレーズを循環させる「見えるHorizon」だし、タイトなグルーヴできゅっとまとめあげた「もっとLucky」も序盤に披露するし、完全に新モード。「ALL OVER」なんて、最高潮のポイントでいちろー&せんせいが踊り狂うドロップが訪れるクラブ仕立てだった(そこからノンストップで「ロンリーナイト・フォーリンラブ」に繋ぐ流れもナイスですね)。そして「リトルミスサンシャイン」も、肉体的なビートで再現されるとより鮮明で立体的に聴こえて感動しきってしまった。本編ラストに奏でられた、壮大なシューゲイザー「Blues Driver」の無常観も含め、彼らのライブでこういう気分にさせられるとは、、としみじみしてしまった。

SAKANAMONは昨年10周年を迎え、次の一手を迷っていたと語っていたけれど、結果として投下されたのは、これまでのSAKANAMON像と、新機軸なもののバランスが取れた、安心と新鮮が混ざり合った通常運転、そして最高なSAKANAMONの新作であった。これがなんと偉大なことだろう。1作品丸ごと新しいものを提示するバンドも良いが、彼らはこれが1番なのだ。重箱の隅をつつく題材でギターロックを奏でる、という基本フォーマットを磨き続け、同期音との混ぜ方も含めて今や唯一無二の立ち位置。サウンド面は王道だが、どうしたって滲み出るボーカルギター藤森元生の天然性が、そこからズレたものになっている、というこの愛しさを重ねて遂に11年目である。歌う事象へのシンパシーも相まって、ツアーにも継続的に行き続けている。

そういうわけで10月13日、福岡INSA公演に行った。この日は、ベースの森野光晴がプロデュースしたセットリスト。「歌詞の内容を重視した」と語る通り、未確認生命体にちなんだ流れ(「BANBAN ALIEN」~「鬼」)があったり、SAKANAMONのマイノリティ像に言及する並び(「スティッキーフィンガー」~「アリカナシカ」)があったりと、森野さん、藤森くんの書く歌詞がめっちゃ好きなんだな、、と思ってほっこりしてしまった。自分の書いた曲もいっぱいあるのに、やはりバンドへと目が向いてるというのがとても森野さんらしい(ベースのかっこいい曲は多かった気がするけど笑)。藤森くんの失敗しまくるフリースタイルラップも優しく見つめる森野さんとキムさんの視点、これこそがSAKANAMONを支えているものだな、とつくづく思った。

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