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2021.09.08 Base Ball Bear TOUR LIVE IN LIVE (夏)【Streaming+(配信)】

ベボベ、夏をコンセプトとした公演のツアー、梅田CLUB QUATTROでの千穐楽の中継。ゼロ年代バンドの中ではこれでもかと夏めいた曲を生み出し続けてきたベボベゆえ、何を今更と思われるかもしれないが意外にも夏ソングのみを披露する企画はこれが初。一曲目から8年前にSCHOOL OF LOCK!とコラボレートした「senkou_hanabi」という王道すぎる選曲で始まるし、2曲目は13年前、勝負シングル「changes」のカップリングに収められた恥ずかしくなるほど真っ直ぐでキラッキラで爽快なあの「SUMMER ANTHEM」を13年ぶりに披露したのだからこのライブの網羅っぷりと楽曲の耐久性を実感する。

「BREEEEZE GIRL」のように幾度も夏フェスに吹き荒んだ曲もあったが変化球も飛んでくる。メジャー1stシングル「ELECTRIC SUMMER」のカップリング「Good Bye」もそういえば<冴え渡る初夏の日 早送りで過ぎていく>とあった。この頃のベボベは夏がプリセットされ過ぎているし、中にはこの曲のような真夜中の追憶から夏を醸し出すような曲もある。「Fragile Baby」も10年前のシングル「yoakemae」のカップリングでどこから引っ張り出してきたんだというレア感。"予約された君"に思いを馳せるギラギラとした1曲で、どこか熱帯夜っぽい。現実と非現実、時間や気温、湿度まで振れ幅は自在だ。

「Transfer Girl」と「short hair」で切なさに浸した後、爆裂カッティングな「転校生」も飛び出し、夏曲で縛ろうともライブの構成美は変わらない。そんな変わらないベボベを見せつけた後、ここ2年続く"例年と異なる夏"への言及が。丁寧に言葉を選びながら、考え方や方法論に関する分断に対してのステートメントを述べる小出祐介の姿は、冷静だが音楽を守り続けたい強い意志が滲んでいた。その今を切り取るフレーズも交えた「プールサイダー」は胸が熱いし、その後で慈愛と優しさが押し寄せる「海になりたい part.2」がくると包み込まれるような安心感。これが結成20周年を前にした包容力だ。

「CRAZY FOR YOUの季節」が鋭く盛り上げた後、夏の代表曲たる「ドラマチック」へ。曲前の口上でも語っていた通り、この夏に聴くと意味の変容を強く感じる1曲だ。<いつの日か 思い出すのだろう 今年の夏のこと>がきっとポジティブに響くことを願いたいし、<ゆずれないものがある>の一節に今鳴らすべき「ドラマチック」が詰まっていた。アンコールは放映されなかったが、その後数分で9thアルバム『DIARY KEY』のリリース告知があった。結成20周年、そして『新呼吸』から10年、コロナ禍の日々を刻み付けたアルバムになっているのだろう。いつもセットのツアー告知がないことはとても寂しいが、きっと、来年の夏には絶対に、と思わせてくれるライブの後だったから少しほっとする。もう少しだと思う。その少しをどうか生き延びたい。

<setlist>
1.senkou_hanabi
2.SUMMER ANTHEM
-MC-
3.BREEEEZE GIRL
4.Good Bye
5.Fragile Baby
6.Transfer Girl
-MC-
7.short hair
8.転校生
-MC-
9.プールサイダー
10.海になりたい part.2
11.CRAZY FOR YOUの季節
12.ドラマチック


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