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オンラインライブを観た⑩(7.28LIVE HOLIC/7.26アルカラ)

7.28 LIVE HOLIC extra vol.4 -another edition-(アーカイブ7/31迄)

スペシャが主催の対バンイベント。今年のZepp公演出演予定バンドの代表者によるアコースティックライブという形でオンライン開催。

1番手はandrop内澤崇仁。小さなランプが灯る中、1曲目「Hikari」から完璧な選曲だ。元より、闇から光へと向かっていくことを歌うことの多かったバンドだからこそ、その真摯なメッセージは今こそ輝く。原曲ではCreepy Nutsをフィーチャリングしていた「SOS」では、ラップパートをコロナ禍仕様に改変したバージョンで披露。享楽的だが切実な響きを備えていた。この季節を惜しむような「Hanabi」、ライブハウスという還る場所へ歌う「Home」など今鳴るべきバラードソングで締めくくられた穏やかな時間だった。「Home」演奏前に分かったのだけど、このライブは他の出演者たちが客席にいるという、その空気感もとても良い。内澤が出だしをとちって立て直す時に大木伸夫の名前を出し、「家帰れ!」とヤジる大木、とても良かった。


2組目はこの日唯一のバンドアクト・緑黄色社会。1曲目「Shout Baby」から剥き身でありながらしっかり成立しているニューアレンジが施されていて興奮。長屋晴子(Vo)は早速歌詞を飛ばしていて、緊張感も伝わってくるけど2曲目「Mela!」の力強さにつられどんどんバンドのグルーヴものっていく。高揚感たっぷりの「sabotage」では割れんばかりの声量で長屋が歌い上げる。アコースティック編成だと鍵盤の音がずっしりと響いて心地良い。一転、艶やかなベースラインとチルを誘うバッキングギターが映える「一歩」ではしっとりとした時間を提供。つくづく豊かな表現力を携えたバンドである。ラストは3日後に配信予定の新曲「夏を生きる」。清涼感と少しの切なさが心地よい。音の繊細な重なりを細やかに楽しめる見事なスペシャルセットだった。


3番手はACIDMANより大木伸夫。「FREE STAR」から幕を開ける。流星のようなアコギの清廉な調べ、<たった1秒で/世界は変わる>の響きに胸が熱い。印象的なリフをアウトロの1発に込めたアレンジも素敵だ。元よりバンドセットでもアコースティックライブを多く行っており、手練れた様子で「赤橙」を歌う。ナチュラルな装いで届けられたインディーズシングルの後、最新シングル「灰色の街」が届けられる。このコロナ禍を予想だにしない状態で作られていたにも関わらず、まさにこの徐々に色づいていきつつある音楽文化を反映したかのような歌詞だ。宇宙と生命に向き合い続けてきた大木だからこそ放てる言葉である。最後はたっぷりと聴かせる「ALMA」。このままバンドでフェスセトリに出来そうな美味しいとこばかりの25分だった。


トリはUNISON SQUARE GARDENより斎藤宏介。この日唯一のエレキギター弾き語り。1曲目から1人多重録音、異様に歪ませたギターで、アングラ臭たっぷりにヘヴィ&ブルージーにアレンジされた「meet the world time」をプレイ。いきなり変すぎる。変なバンドのボーカルであることは重々承知であったがボーカル単体でもよっぽど変なことを仕掛けてくるので参った。と思いきや「友達の歌を」と告げて、本来大阪で対バン予定だったsumikaの「Lovers」を。そして更に昨年解散となったNICO Touches the Walls「夏の大三角形」も!めちゃくちゃ熱い友情を見せる選曲を完璧に歌いこなす。最後はユニゾンの「黄昏インザスパイ」を1番をアカペラにして歌いきる。4曲ながら強い意志とユニークなアプローチがひしめく充実のアクトだった。


<setlist>
内澤崇仁(androp)
1.Hikari
2.SOS
3.Hanabi
4.Home

緑黄色社会
1.Shout Baby
2.Mela!
3.sabotage
4.一歩
5.夏を生きる

大木伸夫(ACIDMAN)
1.FREE STAR
2.赤橙
3.灰色の街
4.ALMA

斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)
1.meet the world time
2.Lovers(sumikaカバー)
3.夏の大三角形(NICO Touches the Walls)
4.黄昏インザスパイ


7.26 アルカラ18周年記念無観客配信ライブ「◯〜en〜」(アーカイブ7/29迄)

タイトル通り、結成18年を祝する、円形セッティングでのライブ。下北沢251のスタッフとアルカラチームのみでの配信で、7月13日の赤ブリでのライブとは一味違うDIY感。規模問わず、ライブハウスという現場を大事にしてきたアルカラなではのフットワークと言える。1曲目からいきなり超初期曲「メランコリア」だし、レアな選曲がひしめきあうアニバーサリー公演だった。

前半のサポートギタリストはfolca為川裕也、「チクショー」は赤ブリでも演奏されていたが円形のスタジオライブ仕様だとまた熱のぶつけ方が違う気がする。照明機材も少なめで暗がりの中で歌われる「深海魚」なんかは没入感もひとしお。また、「アブノーマルが足りない」から竹内亮太郎がギタリストで交代登板。こんなスイッチングも自在なのは現場主義の所以だろうか。

「振り返れば奴が蹴り上げる」ではMV通りにモノクロになる演出も。こういう切り替えもお手製というのだから、オンラインライブに必要なのは信頼できるチームなのかもしれないと強く思う。この日初披露の新曲もあった。タフでめげない願いの歌のように聴こえて堪らない気分になる。アルカラのバンドとしてに不屈さはいつ観ても前向きになれる。

稲村大祐(Vo/Gt)は何度となくアルカラへの愛を語っていた。「こんなにおもろいバンドやってる」ことへの喜び、「昨晩ワクワクして寝れなかった」というお子様のような高揚感、アルカラの頼もしさって何よりこういうとこ。「10年後と言わず、20、30年後も歌っていたい」と歌詞にちなんだ前口上から歌われた「ミ・ラ・イ・ノ・オ・ト」の熱情は至高。いつだって希望をくれる1曲。

アンコールでは必殺の「キャッチーを科学する」をまず披露。そして、この日のサポートギタリスト2名を迎えて5人編成で隠れシメ曲「シンガスマイル」で大団円。ともすれば内輪ノリになりそうなところをギリギリのユーモアで開け放つ、そんなイズムを感じるアルカラ18周年だった。もうあと2年で20年?!すこぶる若すぎなバンドだ。

<setlist>
1.メランコリア
2.終世紀
3.カキツバタ832
4.チクショー
5.深海魚
6.アブノーマルが足りない
7.振り返れば奴が蹴り上げる
8.涙腺
9.新曲
10.ミ・ラ・イ・ノ・オ・ト
-encore-
11.キャッチーを科学する
12.シンガスマイル

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