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読書記録

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ジャンル問わず。読んだ本の記録、紹介。
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#五木寛之先生

大河の一滴 五木寛之~読書記録384~

大河の一滴 五木寛之~読書記録384~

大河の一滴 五木寛之 1999年

なんとか前向きに生きたいと思う。しかし、プラス思考はそう続かない。頑張ることにはもう疲れてしまった―。そういう人々へむけて、著者は静かに語ろうとする。「いまこそ、人生は苦しみと絶望の連続だと、あきらめることからはじめよう」「傷みや苦痛を敵視して闘うのはよそう。ブッダも親鸞も、究極のマイナス思考から出発したのだ」と。この一冊をひもとくことで、すべての読者の心に真の

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新老人の思想 五木寛之~読書記録381~

新老人の思想 五木寛之~読書記録381~

新老人の思想 五木寛之 2013年

日本は今、とんでもない超・老人大国に突入しようとしている。長寿がお荷物にすらなるこの世の中で、かつての老人像とまったく違う“新老人”の思想が必要なのだ。それは未来に不安と絶望を抱きながらも、体力、気力、能力は衰えず、アナーキーな思想を持った新しいタイプの老人たちである。彼らに牽引され、日本人は老後の生き方の大転換を迫られている―。「若年層に頼らない」「相互扶助

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養生の実技~読書記録379~

養生の実技~読書記録379~

養生の実技 五木寛之 2004年

無数の病をかかえつつ、50年病院に行かない作家が徹底的に研究し実践しつくした、常識破りの最強カラダ活用法、満載。
自分の養生スタイルを見つければ人生80歳は最低ライン。
私は多忙で不規則な生活の上に検診、治療で病院に行くこともない。自分の養生スタイルを全うしているからだろう。名著『養生訓』をひもときながら、私自身の長年にわたる実践をすべてここに明らかにしようと思

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白山信仰の謎と被差別部落~読書記録240~

白山信仰の謎と被差別部落~読書記録240~

著者は、前田速夫氏。北陸、福井県の出身だ。

北陸の白山信仰については、かなりの本を書かれておられる。
ご自身が福井県出身ということで、ルーツというか、1つの事に真剣に突き詰める姿勢に感服した。

白山信仰は白の神秘を宿している。一般には虫歯治しの神様、疱瘡治しの神様、縁結びの神様、子供好きの神様、お産の神様として崇められている白山神だが、熊の信仰が「黒い宗教」なら、白山信仰は「白い宗教」であろう

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生きるヒント~読書記録197~

生きるヒント~読書記録197~

作家の五木寛之先生が1993年に書かれたエッセイだ。

五木寛之先生なりの「人生論」であるが、重く堅苦しいものではなく、気軽なアドバイスのようなものである。

12章に分かれて構成されている。
歓ぶ(よろこぶ)
惑う
悲しむ
買う
喋る
飾る
知る
占う
働く
歌う
笑う
想う

「人生に希望はあるのか」
「人生に価値はあるのか」
若い時から先生が考えて来られた事。

自分たちがどこから生まれ、ど

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旅のヒント~読書記録169~

旅のヒント~読書記録169~

2004年 五木寛之先生のエッセイ。

五木寛之先生は大好きな先生だが、更に好きになった。
外国、並びに国内を旅した時の現地の風景が情景として観えるのだ。
さすがだ、と言わざるを得ない。

そもそも私が、日本各地、或いは、県内の寺院を廻り、「自分なりの百寺巡礼」などと適当な事を言っているのは、五木寛之先生に感化されてだ。
旅は健康であること!その通りだ。膝が痛い、お腹が弱い、などと言っていたら、ど

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運命の足音~読書記録126~

運命の足音~読書記録126~

五木寛之先生が、それまでに各紙に執筆されたものを2002年にまとめられたエッセイ集。

五木寛之先生は、敗戦を今の北朝鮮、平壌で迎えられた。
当時は、日本国の領地でもあった朝鮮半島で仕事をするという父親の希望からであったが、敗戦後のあまりの厳しさに、五木寛之先生のお母様は病に伏し、やがてその地で亡くなられた。

敗戦直後、ソ連兵が家に押し入り、まだ10代のソ連兵士が寝ているお母様の胸を靴で踏む。す

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こころの相続~読書記録104~

こころの相続~読書記録104~

2020年に発行された五木寛之先生のエッセイ。

初めに、若い女性編集者の魚の食べ方の話が出て来る。実に綺麗に、食べ終わった後は標本の骨のようになっていると。なんでも、その女性は祖母、母から躾けられたらしい。
五木寛之先生は魚の食べ方が下手であると言われていたが、私もそうである。
山の中にあった農家で、店などなく、小さい頃は冷蔵庫もなかった(私が生まれてから電気が通った)為、たまに川の魚を食べるく

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無力(むりき)~読書記録45~

無力(むりき)~読書記録45~

2013年発刊。五木寛之先生によるエッセイ本。
「むりょく」と書いて、「むりき」と読む。
「他力」「自力」と言う生き方を超えた考えへの到達である。
「他力」「自力」共に仏教用語だそうだ。

首相に返り咲いた安倍晋三氏の所信表明を「強い国」と言う言葉で溢れていたとあるが、こちらの本が発行されたのが2013年。2012年12月に安倍晋三氏が内閣総理大臣に返り咲いているから、世相を反映している。

この

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深い漢字~読書記録51~

深い漢字~読書記録51~

現在、ツイキャスにて色々な作品を紹介している。
声だけの世界の難しさを感じるのだった。

昭和7年生まれ、仏教用語に詳しい五木寛之先生のエッセイは漢字をその場で書き表す必要も感じるのだ。

著書に出てきた漢字、並びに仏教用語を記しておきたい。

慈悲:御仏の心。京都で外国人に寺を案内しているガイドさんが、慈悲を「Love」と訳すことも少なくない。慈悲は、「慈」と「悲」。
「慈」は、サンスクリットの

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遊行の門~読書記録52~

遊行の門~読書記録52~

「遊行の門」は、2008年に発刊された五木寛之先生のエッセイである。

自分には何もない、と感じる時が、人には必ずあるものだ。自分は誰にも必要とされていない。生きる値打ちがない、と私もかつて考えたことがあった。
しかし、今私はそういうふうには思わない。人間は、生きている。ただそのことだけでも価値がある。成功しようと不遇のまま過ごそうと、とりあえず今日まで生きてきた。そこに意味があるのだ。
10ねん

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命ある限り歩き続ける~読書記録54~

命ある限り歩き続ける~読書記録54~

作家・五木寛之先生と、鎌倉円覚寺住職(管長)横田南嶺氏の対談集。
画像は、鎌倉ではなく、横浜市の円覚寺です。すみません。。。

五木寛之先生が言われるように、お顔から、仏の心がわかるような方だ。
昭和39年生まれということで、100歳寿命の現代では、まだまだ若いのだろう。。。

お2人とも、故・松原泰道先生を尊敬されている。

臨済宗の僧侶であったが、寺にこもりきりよりも、街に出て喫茶店で辻説法を

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白秋期~読書記録59~

白秋期~読書記録59~

2019年発行。五木寛之先生へのインタビュー記事をもとに再編集されたものである。

人生100年時代。人生50年と言われていた頃と、定年後の生き方を変えねばならないのだな、とつくづく実感するのだ。
先生は、今の100歳まで生きる時代は、50代から70代からを白秋期。人生の収穫期、黄金期と書かれていた。

白秋期は自分本位に生きる季節だが、単なるエゴイズムとは違う。縁あってこの世に生まれた生命を、何

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余命~読書記録67~

余命~読書記録67~

2015年に発行された五木寛之先生のエッセイである。

余命とは、自分に残された時間の事。
現在の未曽有の高齢化社会において、どう考えたらよいのか。
この書は、それを考えさせてくれる。
100歳まで寿命が伸びたとしても、老化は訪れるし、死はやはり訪れるのだ。
人にはそれぞれの生き方がある。

今の日本人には宗教観というものがなく、来世とか浄土とかいう感覚はない。ただ、死んだら、物質的な肉体がなくな

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