渋谷

書く練習。だいたい週に1本ペースで書ければいいほう。

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令和6年5月6日現在。 最近、更新をずっとおサボりしてまして、愛想つかれてしまったかもしれませんが。 かろうじて生きております。 渋谷です。 創作大賞のためにも再び頑張ろうと思ってますのでどうぞ引き続きよろしくお願いします。 以下に目次です。そちらから見てください。 スキが多い順第1位『会社員はダサいから、就活をしなかった。』 夢を諦めることが、大人になるということなの? 学生と社会人の境目で、ひどく葛藤する話。 第2位『マッチングアプリの奴隷。』 僕が女遊

    • 尿検査こそ、人生の最難関である。

      序章 順調だった人生 これまでの人生、比較的うまくいっている方だと思う。 勉強は地元でいちばん賢い高校に行く程度にはできたし、運動も体育レベルであれば苦労はしなかった。容姿も平均以上だと思うし、身長は180cmだ。 強いてあげるとしたら、幼稚園の頃に女の子に二股かけられてたぐらい。 でもそれを含めたとしてもやっぱり、僕は人生うまくいってるんじゃないかなって思う。 そんな中、僕は、ほぼはじめてといっても過言じゃないほどに、大きな試練にぶち当たった。 それは浪人の時、予

      • 6畳一間、夢追う男と二人暮らし。

        「来月からお前んち、住むわ。」 久々に会った友人に、突然そう言われた。 彼は、元同じ大学の、元同じ研究室の、友人。 僕は大学を卒業してそのまま大学院に進学。彼は大学院には進学せず、どうやら小説家を目指してフリーターをしているらしかった。 大学を卒業してから三ヶ月ぶりに彼から飲もうぜ、と誘われて、ひょいひょいと顔を出してみれば、そんな話だった。 「家賃何ヶ月間か滞納してたらさ、ついにアパート追い出されそうで。」 彼は、はははと笑って照れくさそうに頭をポリポリとかいた。

        • 「私、結婚するの。」3年ぶりの大雪だった。

          無知とは。 とても残酷で。 無慈悲で。 暴力的で。 そして冷たい。 無知であることは、 無知であるが故の強さを誇るが、その強さ故に、時にはとてつもない攻撃性を帯びて、心臓を直で殴ることが容易である。 やっかいなのは、その獰猛さだけではないということ。 やり場がないのである。 やるせないのである。  無知とは、そういうものなのだ。 「お久しぶり。結婚式、くるよね。」 インスタのDMに一件のメッセージが届いた。 その日は、3年ぶりの大雪のようで、普段なら

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          会社員はダサいから、就活をしなかった。

          会社員ってダサい。 ずっとそう思っていた。もしかしたら今でも思っているのかもしれない。 小さい頃からずっと、父親の様になりたくないって思っていた。 朝早くに母親に叩き起こされる。ワイシャツと下着だけの格好で朝食をもそもそと食べる。歯を磨いて、デカい声でえずく。眠そうな目を擦って、早朝に家を出ていく。 父親は、会社からよく電話がかかってくることがあった。その時だけは明るい声でハキハキ喋って、相手から見えるはずもないのにペコペコお辞儀をしていた。 ダサいなって、思った。

          会社員はダサいから、就活をしなかった。

          恋愛小説|初デートは、怪獣映画をみよう。

          「はじめて」というのは、それだけで特別なものになるからよい。 それそのもの自体はあまりにも恥辱で、目も当てられないほどに粗末であったとしても、それが「はじめて」であるだけで途端になぜだか、それそのものの全てを特別に、そしてさらには愛おしくも感じてしまう。 人生における初デートというのは、そういう類のものだと思う。 僕にとっての「はじめて」のデートは映画館。中学二年生の時だった。 一緒に行ったのは、当時好きだったクラスの女の子。ショートカットで背が低くて、周りから「こけ

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          5年ぶりの友人はどこか変わってしまっていた。

           友達とは、増えては消えていくものだというように最近感じます。  先日、数年ぶりに高校時代の部活の友人に会う機会がありました。  僕は高校3年間の大半を彼らと一緒に過ごしました。僕らはバスケ部に所属していて、バスケ部には小さな部室が一部屋、割り当てられていました。僕らは朝練のあるなしに関わらず一旦その小さな部室に集まっては、朝のクラスルームが始まるギリギリまでをそこで暇潰ししていました。放課後も、部活のあるなしに関わらず一旦部室に寄っては、誰かしらは絶対に部室にいたのでそ

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          小説|1000文字のラブレター

           お元気ですか。これは僕からあなたに向けて書くラブレターです。もしよければ最後まで読んでくれると嬉しいです。  僕はあなたのことがずっと好きでした。  あなたと最初に出会ったのは、高1の春。たしか4時間目の体育の前。僕が家にジャージを忘れてきてしまって、友達のを借りようとした時。その友達の隣に座っていたのが、あなたでした。  その時、僕は一目惚れをしてしまいました。誰かを好きになる経験はこれまでにも何回かあったのですが、一目惚れはこの時がはじめてでした。友達の教室に入っ

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          ちょっと爪を伸ばせば届いていたのかな

          「今週末、東京行くことになったからさ、空いてたら飲みに行こうよ。」 その通知がスマホの上部にひょいと顔をのぞかせたのは、ちょうど12時ごろ。 僕が午前中の仕事をひと段落を終えて、春に向けて少しずつ暖かくなってきた街中を休憩がてら散歩している時だった。 3年ぶりに見るそのアイコンは、僕の心臓を雑巾で絞るかの如くキューっと締め付けた。 僕が大学時代にずっと片想いをしていた先輩だった。 彼女と僕は、同じ学科の先輩後輩の間柄。 たまたま僕の所属していた学部は、部室が用意さ

          ちょっと爪を伸ばせば届いていたのかな

          サウナでおっさんにナンパされた話

           これは今から3年前の夏。近所のスーパー銭湯で、おっさんにナンパされた時の話である。  当時、僕は大学3年生。就活をはじめるという理由で3年間所属していたヨット部を引退したころだった。その日は一日中、冬インターンに向けてのエントリーシートを書いては、エントリーシートに書かれた自分がまるで自分でないような違和感に頭を悩ませ、悶えていた。そんな自分を労わろうという口実でスーパー銭湯に来たのである。僕がよく通っていたスーパー銭湯は、阪急オアシスに併設されたごく普通のスーパー銭湯で

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          ポケモンと父親の背中

          それは、まだ消費税が5%だった時。 それは、小島よしおが「そんなの関係ねぇ」と叫んでいた時。 それは、コブクロの蕾が車のラジオから流れていた時。 それは、ポケモンのダイヤモンド・パールというゲームが小学生のハートを鷲掴みにしていた時。 小学生だった当時の僕は、周りの小学生と同じようにポケモン沼にどっぷりつかり、そして、ポケモンのダイヤモンド・パールをプレイしていました。 そのゲームの序盤に、テンガン山という山を通ることになります。そこで遭遇したコダックがあまりにも僕の弟に

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          自己紹介という名の茶番劇

          自己紹介。 それは、初対面の人間たちが、初対面なばかりに共通の話題がなく、何を話したらいいかが分からずに流れる特有の気まずさを、その場しのぎで乗り切る際に使われる有効打。その時間において得られる情報のその大半は、一定期間を過ぎると忘れ去られる。各々が、いかに自分は普通で、害のない人間かを証明するために、奇のてらわないことを話す。 それが自己紹介。 最近、自己紹介にて「好きな食べ物は、パンです。」と言う女性が増えてきたような気がしています。 僕にはどうもその女性が、「パ

          自己紹介という名の茶番劇

          マッチングアプリの奴隷。

          大学2年の春。 重たいコートを脱ぎ捨てて、なんだか心も軽くなるような気がする春。 大学内では桜が咲き、新入生をねらった新歓ビラ配りでにぎわう春。 僕は失恋をしました。 半年間の片思いでした。 憧れの先輩。彼女は、背が高くすらっとしていて、とても綺麗な女性でした。それなのに、しょうもない小ボケを言ってはニヤニヤ笑う。そんな彼女のギャップが好きだった。 僕はそれ以降、人を好きになったことがありません。 もしかしたら、まだ彼女のことが好きなのかもしれないし、そうではない

          マッチングアプリの奴隷。

          【笑いのカイブツ】笑いの才能ってなんだろう。

          僕は映画館が好きです。それも、ちょっと早めに館内に入るのが。ひとりで絶対に食べきれない量のポップコーンとペプシコーラを買って入るのが。 しんとした館内。歩くたびに、カップの中のペプシコーラがゆれて、氷がカラカラとなるあの感じ。真っ暗の中、微かな光を頼りに自分の席まで歩いて行って。ようやく席に座ると思ったよりも椅子が深く沈むあの感じ。普段の生活だと鼓膜がしんどいくらいの音が、映画館の中だけでは、興奮を掻き立てる。ギラギラと動く大画面から放たれる光を浴びて、ノールックでポップコ

          【笑いのカイブツ】笑いの才能ってなんだろう。

          胃と大腸は、摘出してしまっても死なないらしい。

          土曜日。 狭すぎるワンルームに響き渡る、隣に住む外人の奇声で目を覚ます。 まだ完全に視界が戻らない中、スマホを探す。「モテそう」という理由だけで買った、使い道のない間接照明が手に当たって、床に落ちる。 若干の苛立ちを原動力に、重たい身体を起こす。床に転がる2Lのペットボトルを拾い上げ、いつ汲んだか分からない水を喉に流し込む。暖房のつけっぱなしで乾いた喉に水が流れるのを鮮明に感じる。 少し臭う口内を不快に思いながら、ベッドと壁の隙間に潜り込んでいたスマホを掘りおこして、

          胃と大腸は、摘出してしまっても死なないらしい。