#特別支援学校
【ショートストーリー】24 或る母の遺言
この世に70億もヒトがいて、宇宙にはこの地球上のすべての砂粒よりも多くの星があるらしい。そんなことを私は考えていた。
だから自分は尊いのだろう。
だから君は尊いのだろう。
自分の最期を思った時、私は自分の息子のために書き記さなければならないと思った。私がいなくなっても、誰かがこのnoteを読んでくれれば、私の息子は生きていけるだろう。
人を信頼できるようになって欲しいと願い育ててきた。で
【ショートストーリー】6 重たいセーター
駅を発った東海道線はしばらくありふれた都市の景色の中を進み、徐々に都市的な景観から住宅地、すこしばかり田園風景を窓の外にみて長いトンネルに入る。
その日、瑛太は高校入試の帰りだった。
平日の15時台の電車はすいていて、お客はまばらだ。電車が小刻みに揺れ、走行音だけが車内に響く。ボックスシートの向かいには老婦人が座っていた。老婦人の抱えた紙袋から数個の毛玉と、フェルトのような生地が顔を出し