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壁に当たるとすぐ方向を変えるルンバのようなぼくが、あきらめのなかに自信をみつけた話。


「ショウヘイくんってさ、常に自分をおいしく使えるところを探し求めてきたんだね」


コーチとして活躍している坂口佳世(ぐっち)さんとお話しする中で、そう言われて、なんだか妙に腑に落ちたんです。


自分をおいしく使えるところ。


それは、自分の能力が無意識のうちにパッと花ひらいて、それがだれかの役に立つような場所。たしかに、そんな夢みたいな場所を、ぼくはずっと探し求めてきた。

坂口さんはぼくを高速で動くルンバ(お掃除ロボ)に例えてくれたんですが、それがとてもしっくりきました。

そうそう、なんか違うなという違和感の壁にぶち当たったら、すぐに路線変更するタイプなんです。

ただ、悪く言えばそれは中途半端ということで。

高校時代は、サッカー、ギター、映画撮影など色々やりました。しかし、ぜんぶ中途半端でやめてしまいました。


だから、中途半端であきらめる自分が、なんか好きになれなかった。


大学時代。

4年生というタイミングで、ぼくは特別支援学校の先生になることを決めました。この仕事に、なんだかものすごい使命感を感じたんです。

大げさだけど、天からのお告げのような。

それで就活を放り投げ、教員になるための勉強をする方向にシフトチェンジ。ちょっと時間はかかったけど、特別支援学校の先生になることができました。


しかし、働いていくうちに、いろいろと自分が無理しているところが目立つようになってきました。

というのも、大人数の前で話せない。全体をリードしていくことができない。他にもいろいろ苦手な部分がありますが、担任の先生に求められるような、このような資質能力が欠けていました。

先生として経験を積むうちに、ある程度これらはできるようになりましたが、無理してやっている感じはどうしても消えませんでした。


ただ、教員をしていた頃にも転機があって。


3年間だけ、担任の先生ではなく、1対1で学習支援や、悩みに寄り添って話を聞く役職を任されました。

あの時ぼくを襲った、自分の中に眠っていた能力がぶわっと湧き出てくる感覚。そう、ぼくは1対1で生徒の悩みに向き合う時間が、心から好きだと感じたのです。



「こんなこと、誰にも言ったことなかった」

生徒からそんな言葉をもらったことがあります。「誰にも言えなかった気持ちを打ち明けてくれたんだ」と、うれしく感じました。

ぼくとしては「うんうん」とただ話を聞いているだけのつもりが、目の前でポロポロ泣きだしてしまう生徒もいて。

自分のどの能力が、目の前の人を動かしているんだろう。これはまだ自分でも言語化できていない部分です。

ただ、先ほどの坂口さんの言葉を借りると、個別の相談に乗る仕事はまさに自分をおいしく使えている感覚がありました。やっと自分の能力が発揮されるような場所を見つけたと思いました。


3年間個別の相談の役職をしたあと、また担任の先生に戻りましたが、やはり1対1で人と関わる仕事がしたと思い、この春、教員を退職しました。


結局中途半端だったな、と少しだけ自分を責めました。



noteの発信も近いものがあって。


ぼくは教員という立場を隠しながら、もちろん顔も明かさず5年間やってきました。

思ったことをそのまま書く日記のような使い方をしていたこともありましたが、「なにかに特化した人になりたい」という思いがあって、いろいろなジャンルに挑戦してきました。

詩も書いた。

ガジェットのレビューも書いた。

旅行記も書いた。

でも、自分が無理しているなとか、誰からも読まれないなと思ったものはすぐにやめて、どんどん試行錯誤を繰り返しました。

ルンバのような、すぐにあきらめる、じつに自分らしいやり方です。


でも、坂口さんに

「noteを見ててもさ、ショウヘイくんって、ほんとPDCAの人だよね」

「最初の方と全然違うじゃん」

「トライアンドエラーの量がすごいんだよ」

と言われたとき、


自分の口から


「試行錯誤の量は、誰にも負けないと思います」


そんな言葉が、ぽろりと飛び出てきました。


(誰にも負けないなんて、人生ではじめて言ったかもしれない。)

びっくりでした。

高速ルンバの自分がちょっと好きになれました。

思えば、noteはいろいろあきらめながらもちょっとずつ前進しつづけてきた。それ自体が、今は少しだけほこらしいのです。

あきらめの中に、ちいさな自信を見つけました。



6月から元noteディレクターのみずのけいすけさんにお誘いいただいて、パーソナル編集者として個人の情報発信の伴走をしています。


その仕事の中で

「背中を押してもらえました」
「やる気が出ました」

そんな言葉をもらえるのが、何よりうれしい。


読まれなかった経験、試行錯誤してきた経験があるぼくだからこそ、押せる背中があると思っています。

ずっとさがし求めていた「自分をおいしく使える」仕事。
それが、パーソナル編集者というお仕事です。

だれかの書くことのお手伝いをできている毎日が、とても楽しく、ありがたい。


自分をおいしく使ってくれる方、お待ちしてます。




坂口佳世さん「あきらめラジオ」




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