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瀬戸のせともの屋
2023年3月24日 23:21
note始めます 2006年からメールマガジンを続けてきました。せともののこと瀬戸のことなど、毎週1回土曜日配信「瀬戸だより」として、17年間で870回を超す配信を行ってきました。我ながらよく続いたものだと感心します。 ひとまず、当初書きたかったこと、やりたかったことは済んだんじゃないかと思い、そのメールマガジンは定期配信を終了することにしました。残された大量の過去の文章は何かの形で活かしな
2024年11月2日 11:42
「底に触れる 現代美術in瀬戸」開催中の瀬戸です。この展示の連携企画で瀬戸蔵ミュージアムで企画展「底・裏を愉しむ」が行われていると知ったので行ってまいりました(11月4日まで!急いで!)。連携企画と言ってもこちらは現代美術じゃありません。 この企画展ですが、普段企画展示を行っている展示室(新収蔵品展をやってます)ではなく、その奥の昔の映像作品が流されている一角での展示になっています(だから展
2024年9月10日 12:55
器の選び方のコツってあるんですか? なかなかシンプルながら核心をつく質問です。せともの屋さんですからね、こう聞かれたらという答えはいちおう用意しています。もちろん聞かれたことだってありますし。 色や柄、大きさについてはそれぞれに好みもあるし、今手持ちの器との組み合わせもあるでしょうからそこは「お好みで」「必要に応じて」でいいんです。ただ選ぶ時には必ず手に持ってね、とは言います。 和
2024年3月8日 11:05
釉薬について何度か書きました。 ふと、気がつきました。釉に色を着けるのを忘れていました。 染付の磁器に掛けられている透明な釉薬。釉薬の下に呉須で描かれた絵がきれいに見えます。でも多くの陶器に施されているのは何らかの「色」が着けられています。 古くから、赤津七釉と呼ばれる灰釉、鉄釉、織部、黄瀬戸、志野、御深井、古瀬戸(赤津地区は瀬戸でも作家や窯元が多い地区)などはもちろん、他にも瀬戸は釉薬
2023年10月27日 14:18
毎年この季節になると(つまりは年の暮れ)、干支置物と御題茶碗にいそがしくなります。 干支置物は文字通りの干支の置物。よく見かける小さなかわいいものから、作家さん手作りの迫力あるものまで、いろいろ取り揃えております。 来る年の干支は辰。龍ですね。 地元の中日ドラゴンズがもし今シーズンしっかりした成績を残してくれていたら、龍の置物も注目されて……ねぇ…(意外とあるんですよ、こういうの。トラ年
2023年8月29日 14:02
瀬戸市の最も大きなイベントと言えば「せともの祭」です。今回は2023年の「第92回せともの祭」の楽しみ方や注意点を書いてみます。 せともの祭は毎年9月の第2土曜日と日曜日です。ちなみに今年(令和5年)は9月9日土曜と10日日曜日となります。せともの祭の始まりについては以前に書きました。 昨年はまだコロナの影響が残っている中、その対策をしながらの3年ぶり(2回中止になった)のせともの祭復活
2023年8月15日 20:36
せともの祭は窯神神社の祭礼にあわせて廉売市を行なったのがはじまり。その窯神神社には磁祖・民吉が祀られています。 加藤民吉の誤解されがちな九州修行は前回書きました。 意外と瀬戸の人でも行くことがないかもしれないですが、やっぱりせともの祭前にはお参りしておかないとね、ということで、ちょっと窯神神社まで出掛けて来ました。 名鉄瀬戸線の終点、尾張瀬戸駅降りて駅裏手に進みます。北側の丘の上、こん
2023年7月23日 20:08
9月の瀬戸はせともの祭です。今は毎年9月の第2土曜と日曜です。 名鉄尾張瀬戸駅あたりから瀬戸川沿いに陶磁器を売るテントがずらーーーーっと並ぶのはせともの祭ならではの風景です。昨年はコロナによる2回の中止から3年ぶりの復活でした(もちろん様々な感染対策の上での開催でした)。150店ほどの出店(もちろん食べものの屋台抜きの陶磁器関係のね)でしたが、今回はいよいよコロナ前の規模に復活するようです!
2023年7月11日 21:55
せとものは土をこねて、形をつくり装飾をして、釉薬をかけて窯で焼成されて製品となります。普段、瀬戸では窯に入れて製品を焼成することを「窯を焼く」と言っています。 「窯で焼く」とか「製品を焼く」とはあまり言いません。窯元の人を(時には作家さんも)「窯やき」と呼んだりしています。「うちは代々窯やきの家だから…」なんてよく聞きます。 私はこの「窯を焼く」という響きが、とても好きです。 古い薪窯を
2023年7月9日 20:12
瀬戸は伝統的に灰をベースに釉薬を作ってきた土地です。という話を続けてきました。 ちょっと知れば普段の器がもっと楽しくという話をしたいのですが、釉の話は深いので難しくなりがちですいません。今回は近代的な釉調合の話。 昔は釉の調合は「〇〇灰1杯に、××石を×匁…」みたいな感じだったようです。調合していたメモ書きは暗号のようです。書いた本人以外にはよくわからない秘伝のレシピっぽい感じです。原料の
2023年6月18日 21:36
釉薬の話を続けます。普段、器を楽しんだり、ちょっと陶器に興味があるような方がもう少しだけ踏み込む手助けをしたい。そんな文章です。 前回は瀬戸の釉薬は伝統的に草木の灰をベースに作ると書きました。実際は水簸するなどの処理は必要ですが、草木の灰なら何でもひとまず釉薬の原料になります(たぶん大丈夫)。これから夏場にバーベキューやった後の炭の灰でも、キャンプファイアの残りの灰でも、(量はともかく、ひと
2023年6月9日 21:27
瀬戸焼は基本釉薬が施されています。先にも書きましたが、釉薬の種類が豊富なのが瀬戸焼の特徴です。 陶器好きの方たちがよく「織部の釉はいいね」とか「志野が好き」とか「黄瀬戸だよ、やっぱり」とか言っているのは主に釉薬の話です。織部も志野も黄瀬戸も(他にもいっぱいありますが)瀬戸で使われることの多い釉(釉薬)です。 釉の世界はとてつもなく広くて深いのですが、「釉薬に興味があるけどむずかしそうで」とい
2023年5月8日 12:21
最近は「抹茶!大好きです~!」という声はよく聞きますが、だいたいが抹茶スイーツだったりするようです。今回はシャカシャカ立てる飲む抹茶の話です。 こういう仕事をしていますが(あっ、瀬戸で陶器を商いしております)、実はちゃんとお茶のお稽古をしたことはありません。きちんと習ったことがないのです。正直、やっておけばよかった、今からでも機会があれば……という気持ちもあります(この年齢になっても~50半ば
2023年4月11日 23:05
陶祖と磁祖 瀬戸には中国から陶器の技法を伝えたとされる「陶祖」と九州から磁器の製法を伝えた「磁祖」がいます。先のnoteでも書きましたが、瀬戸は陶器と磁器の両方を生産してきためずらしい産地です。今は陶祖も磁祖も神社に祀られています。 そのお祭りが4月の陶祖まつりと9月のせともの祭(もともと磁祖のお祭りにあわせて大廉売市は始まりました)となります。 江戸時代に活躍した磁祖・加藤民吉については