#05 茶道はきちんと習ってみたいとは思うけど、楽しんではいます。
最近は「抹茶!大好きです~!」という声はよく聞きますが、だいたいが抹茶スイーツだったりするようです。今回はシャカシャカ立てる飲む抹茶の話です。
こういう仕事をしていますが(あっ、瀬戸で陶器を商いしております)、実はちゃんとお茶のお稽古をしたことはありません。きちんと習ったことがないのです。正直、やっておけばよかった、今からでも機会があれば……という気持ちもあります(この年齢になっても~50半ばを過ぎても~です)。
お茶を(抹茶ね)いただく機会は普通の方よりずっと多いはずです。作家さんを訪ねたりするとその仕事場の隅で奥さまにお茶を立てていただいたり、作家さんによっては茶室に通されたりもします。とは言っても、それはオフィスで飲むコーヒーに近い感覚で堅苦しさや作法もない気楽なものです。そういうところでいただくお茶はとても好きだったりします。
尾張地方ではかつては「野良茶」というお茶の楽しみ方があったと聞きます。農家の皆さんが作業の休憩時間に畑や田んぼの畦に集まり抹茶を楽しんだ習慣です。野良仕事の休憩時間のちょっと楽しい抹茶タイム(しかもアウトドアだ)。作家さんの仕事場のお茶にも通じるものがありそうです。私にとって理想的なお茶の楽しみ方かもしれません。
大叔母(祖父の妹)はお茶の先生をしていました。自分が高校生くらいの頃からか、父は届け物などで私を大叔母の家に時々ひとり使いに行かせることがありました。
いつもお稽古に使っている和室に通され、お茶をいただきました。当時の私はどうにもその空間が苦手でした。作法など知ることもないわけで、緊張する上に「こういう時はせめてこうしなさい」「もう大人なんだから普段から懐紙くらいは持ち歩きなさい」などいろいろ注意されるのです。それでも不思議とそこで教えられたことは今もしっかり憶えています(役にたってます!感謝!)。
父は自分以上に堅苦しいのが苦手な人だったので、「ひとを代理に使って、もう!」とも当時は感じていましたが、今思えばお茶の体験を多少でもさせたかったのだろう思います。あの時が(きちんと)習うチャンスでした。残念。
数年前、お客さまとの雑談で「最近は抹茶茶碗があまり売れなくなっている」などと話していたら、「じゃあ、あなたは普段から抹茶飲んでるか?」と言われてしまいました。その方は着物を販売されていて「最近は着物を楽しむ人が少なくなったと嘆いていたが、考えると自分もネクタイして店に立っていた」と気付かれて、それからはずっと着物で仕事をされていると。「茶碗売ってるならまずは自分でもお茶を楽しめ」……そりゃあそうだ。ということで、最近は自己流ながら抹茶を楽しんでいます。
瀬戸の街にはお茶の専門店もありますから、抹茶など簡単に入手できます。倉庫の奥から古い茶碗を探して来て(こういう点は実に恵まれてる)お茶を立てています。自分ひとり、キッチンのテーブルで。
古い茶碗。それを作った作家さんはもう他界されていることも多く、お茶をいただきつつ子どもの頃に遊んでもらった思い出やお世話になったことなど、いろいろなことが心に浮かびます。「おい!俺の作った茶碗なんだからもっと上手く使え!」と声が聞こえるようです(ああ、未熟ですいません)。茶碗を通じて作り手と会話する、これもお茶の楽しみかもしれません。
朝起きて、お湯を沸かしながら、さあ今朝は背筋を伸ばしてお茶を立てるか、ゆっくり丁寧に1杯の珈琲をドリップするか、どちらにするか?その選択が私の最近の楽しみです。
抹茶、大好きです
まとめ
抹茶。ひとまず、キッチンで始めてみませんか?
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