【FE8問】線形計画法(基本情報技術者試験・応用情報技術者試験)
IPA国家試験の計算には3つの難易度があります。
公式で解ける問題
方程式で解ける問題
連立方程式で解ける問題
どれも中学校までの数学で解けるのですが、使われている用語や図表の解釈が難しいので、なかなか得点できませんよね。
今回の線形計画法は、一番難しい連立方程式を解く問題です。基本情報技術者だけでなく、応用情報技術者試験にも流用されています。
正直捨て問にしても合格はできますが、少しでも解けるようになっておきたい方は、ぜひ読んで行ってくださいね。
資格に必須ではありませんが、アドバンテージにもなりますし、今後の仕事でも役に立つことがありますよ。「必要ない」「使わない」ではなく、「使えたら、より高度な仕事ができる」という意識が大事かなと私は思います。
それでは始めましょう!
1問:用語問題
正答はウ。
ア:移動平均法は、時系列データを一定区間で平均していく処理を繰り返します。グラフの線をなだらかにすると思ってください。
イ:最小二乗法は、数式モデルをデータの当てはまるようなパラメータを探す計算方法です。例えば一次式は直線ですが、データに合うような傾きやy切片(ゲタ)を推定する時に使います。
ウ:線形計画法は、1次式を満たす変数のうち、式を最大or最小にする値を求める手法です。
エ:定量発注法は、商品を補充する手法で、一定の数量を発注します。似た言葉に定期発注法もあります。
2問:時間を全部使う
正答はエ。かなりの回数出題されてますね。もっと探せば出てきそう。
最大利益を目指すので、少ない時間で多くの利益が出る製品を上限いっぱい作っていくと計算方針を立てます。
各製品で利益/所要時間を計算してみます。
製品X:1,800 ÷ 6=300[円/分]
製品Y:2,500 ÷ 10=250[円/分]
製品Z:3,000 ÷ 15=200[円/分]
1分当たりの利益が高いのは、X>Y>Zでした。
では製品Xを上限の1,000個作ってみます。1個6分なので、6×1,000 = 6000分 = 100時間。工場は200時間まで使えるので、製品X作りに100時間かけて良いですね。利益は1,800×1,000 = 1,800,000円。
では製品Yを上限900個作るには、10×900=9000分=150時間。工場は残り100時間しか使えません。900個は作れませんね。
製品Yは100時間で何個作れるか、100[時間] × 60[分]÷ 10[分/個] = 600個。利益は2,500×600=1,500,000円。
合計して、1,800,000+1,500,000=3,300,000円。
正答はエ。
時間が限られているので、時間当たりに利益が高い製品を優先する計算方針とします。
製品X:1,800÷ 6=300円/分
製品Y:2,500÷10=250円/分
製品Z:3,000÷15=200円/分
製品Xを月間上限の1,000個まで作ると、6分×1,000個=6,000分=100時間。工場は残り100時間使えます。
次に製品Yを900個作ると、10分×900個=9,000分=150時間。100時間しか使えないので、900個ではなく何個作れるか考え直します。
100[時間]×60[分]÷10[分/個]=600個。
これで工場の200時間全てを使い切れました。
利益は、1,800円×1,000個+2,500円×600個=1,800,000+1,500,000=3,300,000円。正答はエ。
掛けるか割るか分からなくなったら、単位に注目すると良いですよ。>単位に注目した立式の解説Note
2問:原材料をなるべく使う(連立不等式・連立方程式)
正答はイ。
計算問題ではなく、式の確認問題です。式の意味を考えます。
まず条件の不等式はア~エは数値は全て同じですね。不等号が「≧」か「≦」が違います。数値から予想がつくと思いますが、製品XとYを作った時、原料Pが40トンまで、原料Qが54トンまで、使える条件式であるべきです。よって「≦」であるイとエに絞ります。
xに掛け算するのは、原料Pのときは4、原料Qの時は9なので、4xと9xを使っているエが正答。
なお2x+3yは、xとyを生産したときの利益の式ですね。
解くこともできますが必要ないです。どうしても解きたい方は、解説は過去問道場さんで。
正答はウ。
最大利益を目指すので、単価の高い製品Yをなるべく多く生産して販売する計算方針とします。
製品Yを最大で何個生産できるか考えます。
原料Aが1個必要:100 ÷ 1 = 100個
原料Bが2個必要: 80 ÷ 2 = 40個
原料Bの制約によって、製品Yは40個までなら生産できます。利益は、150円×40個=6000円。
残りの原材料で製品Xが何個作れるか考えます。製品Yで使った原料はAが40、Bが80です。Bの残りがないので製品Yは作れません。
ここで慎重になります「製品Yに全振りしたら原料Bの半分が無駄になる」と。製品Xに全振り、製品XとYをあるバランスで生産の2パターンは考えないとちょっと安心できません。
試しに製品Xに全振りしてみます。
原料Aが2個必要:100 ÷ 2 = 50個
原料Bが1個必要: 80 ÷ 1 = 80個
製品Xは50個までなら生産できます。利益は、100円×50個=5000円。製品Xで使った原料はAが100、Bが50です。Aの残りがないので製品Yは作れません。
最後に面倒ですが、両方を生産する解を探して見ます。連立方程式ですね。
2X+1Y=100:①式
1X+2Y= 80:②式
どんな解き方でも良いです。
②より「X=80-2Y」。これを①に代入して「2(80-2Y)+1Y=100」。
$$
2(80-2Y)+1Y=100\\
160 - 4Y + 1Y = 100\\
-3Y = -60\\
Y=20\\
$$
Yが決まったので、①か②に代入します。例えば②に代入してみると。
$$
1X+2Y= 80\\
1X+2\times20= 80\\
1X+40=80\\
1X = 40
$$
これで、製品Xを40個、製品Yを20個作ると、材料を全部使えます。利益は100円×40個+150円×20個 = 4,000+3,000 = 7,000円
Yだけで6,000円、Xだけで5,000円、XとYで7,000円でした。よって最大になるのは7,000円。
2問:バランスの問題
正答はエ。
「機会損失」は、儲け損なうことです。例えば通販サイトのWebサーバが障害で停止したら、停止した時間は注文を受けられないですよね。停止してなかったら儲けられたのに、もう損なったので機会損失です。
表を見ると、需要と仕入れのバランスがテーマです。需要が多いのに仕入れが少なければ、買いたい人がいるのに売る商品在庫がないので機会損失です。
商品A~Eで、需要>仕入数なのは、A, D, E。仕入れが足りなかった分が機会損失です。
商品A:100個×1千円=100千円
商品D:200個×4千円=800千円
商品E:300個×5千円=1,500千円
合計すると、2,400千円。
正答はウ。
製品1,000個を作る時間と、稼働できる時間(台数×1台当たりの時間)のバランスを見る計算方針とします。
工程Aで1,000個作るのに必要な時間は、0.4×1,000=400時間。機械の稼働時間は、3台×150[時間/台]=450時間。機械を動かす時間は足りているのでOK。
工程Bは、0.3×1,000=300時間。2台×160=320時間。足りているのでOK。
工程Cは、0.7×1,000=700時間。4台×170=680時間。20時間足りていません。これが正答。
念のため工程Dもしておきます。1.2×1,000=1,200時間。7台×180=1,260時間。60時間足りているのでOK。
正答はウ。
1問:推測する問題
正答はエ。
アについて。商品Aの購入者10,000名のうち、新商品Qを購入するのは10,000×0.3=3,000名。誤り。
イについて。商品Bの購入者がP~Qを購入する割合の合計は、0.1+0.6+0.1+0.1=0.9。0.1(10%)はどれも購入しません。誤り。
ウについて。新商品Pの購入者を数えます。商品Aの購入者のうち10,000×0.5=5,000名。表から既存顧客15,000名と新規顧客5,000名が新商品Pを購入します。従って5,000/20,000=0.25(25%)。5割(50%)ではないので誤り。難しかったですね。
エについて。新商品Sの新規顧客数は、表から23,000名。商品Cの購入者のうちSを購入するのは、80,000×0.3=24,000名。1,000名少ないので正しい。
ウが分からなくても、エで一発正解を引くか、アとイを削ってウとエで勘にしましょう。
まとめ
お疲れ様でした!
他にも計算問題のNoteはたくさん公開していますので、興味があったら覗いていってくださいね。
それでは!
\力試しは修了試験で!4回分の解説です/
p.s. 普段は >> 専門学校とIT就職のブログ << をやってます。
でわでわ(・ω・▼)ノシ
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