【Iパス5問】数式は「単位」に注目すると立て易い
計算式を立てるときに「勘」や「公式」に頼ってませんか?
このNoteでは、「単位」に注目して、計算式を立てる解法を解説します。
ITパスポートの計算問題は、データ伝送や会計のような「公式」がある問題だけでなく、工数・経費など「その場で立式する問題」も多く出題されます。
問題文で与えられた量の「単位」と、問われている量の「単位」に注目することで、少しでも正解が導ける式を立てられますよ。
なお、このNoteは私が専門学校で教えてきた指導経験と970点合格をした実績に基づいていますので、是非参考にしてくださいね。
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単位どうしの計算
「みはじ」の法則って覚えてますか?
道のり、速さ、時間の関係です。
単位も覚えてますか?
道のりは、 [km]
速さは、自動車だと「時速何km」「何km毎時」「km/h」と3種類ありますがすべて同じ意味
時間は「時間, h」
他にも速い物体だと「毎秒何m」「何m毎秒」「km/s」。コンピュータのハードディスクやエンジンの回転数は「分, min」単位にするのが一般的です。
さて、「みはじ」の式に単位をつけてみましょう
道のり[km] = 速さ [km/h] × 時間 [h]
「km = km/h × h」と単位の割り算掛け算になっているのが分かります。
ITパスポートの問題で「公式が分からない」って時は、問題文で与えられた量の「単位」と、求めた量の「単位」を考えると、式を立て易くなります。
なお、km, hなどの「mks単位系」にこだわらず、「回」「人」なども単位として使うのがポイントです。
データ伝送の問題
IT系の計算問題は、データ伝送やCPU処理・稼働率などあります。
その中でも、データ伝送の問題は、「みはじ」と同じような式で計算でできる良い例です。
道のりを、データ量
速さを、回線速度
時間を、伝送時間
と読み替えれば、公式をそのまま使えます。
ただし、2点に注意。ひっかけてきますよ。
データ量と伝送速度の単位の違い
伝送効率による伝送速度の現実値
問題を見てみましょう。
求めたいのは時間[秒, s]です。
与えられた「データ量5Mバイト」「通信速度100Mビット/秒」から時間を求める式を作れば良いのです。
みはじを書きかえた式だと、
データ量 = 伝送速度 × 伝送時間
なので、
5 [Mバイト]=100 [Mビット/秒] × 伝送時間 [秒]
しかし右辺は、
[Mビット/秒] × 伝送時間[秒] = [Mビット]
で、左辺 [Mバイト]とは違います。
よって、ビットかバイトに統一する必要があります。よくあるヒッカケなので注意しましょう。
1バイト=8ビットなので、
(8 × 5) [Mビット] =100 [Mビット/秒] × 伝送時間 [秒]
でうまくいきそうです。
なお、1/8×100[Mバイト/秒]のようにビットに変換しなかった理由は、割り切れない場合もあるため、掛け算を心がけているから。
さらにヒッカケ。「伝送効率は20%」なので、実際の伝送速度は、
0.2×100[Mビット/秒]
となります。
以上より、
(8×5) [Mビット] = 0.2×100 [Mビット/秒] × 伝送時間[秒]
と式を立てて、
40[Mビット] = 20 [Mビット/秒] × 伝送時間[秒]
伝送時間[秒] = 40 [Mビット] / ( 20 [Mビット/秒] ) = 2 [秒]
となります。
右辺の単位が、
[Mビット] / [Mビット/秒] = [Mビット] × [秒/Mビット]
になることは分かるでしょうか。
分母の中の分数は、逆転して外に出せるんです。
工数の計算「人月」
ITパスポートでも基本情報技術者でも「工数」や「人数」の計算はよく出題されます。
[人月]とは、「1人で作業すると何か月かかるか」を表す単位です。最初は慣れないかもですが、よく出題されるので、演習を続ければ大丈夫ですよ。
問題文より120kステップの開発にかかる、設計工数[人月]と製造工数[人月]の合計を問われています。
与えらた生産性の単位は[kステップ/人月]、求める工数の単位は[人月]なので、120[kステップ]を生産性[kステップ/人月]で割り算して、
[kステップ] / [kステップ/人月] = [人月]
で計算できそうです。ここで、分子分母にある[kステップ]が打ち消し合い、分母の[/人月]は分子に[人月]として現れる点に注意してください。
設計の工数[人月] = 120 [kステップ] / 6.0 [kステップ/人月] = 20 [人月]
120作業を、1人が1か月に6作業できるので、20か月かかるって実感できますよね。
製造も同様に、120 / 4.0 = 30 [人月]
よって、20 + 30 = 50[人月] つまり正答はエ。
工数の計算2「開発期間の見積もり」
次は、開発期間・コストを計算してみましょう。
開発期間の計算
「計算しなくても、A社が短いに決まってるじゃん」は、その通りですが、次に使うので計算しましょう。
A社のプログラム50本の開発期間を計算します。
開発期間の単位は[日]でよさそうですね。
A社の生産性は2[日/本]と書けそうです。
求めたい[日]を、[日/本]から作り出すには、[本]を掛け算すれば良いですね。
よって、
開発期間 [日] = 生産性 [日/本] × プログラム本数 [本]
なので、
A社での開発期間 [日] = 2 [日/本] × 50 [本] = 100 [日]
となります。
同様にB社での開発期間は150[日]。
したがって、開発期間はA社の方が短いです。
コストの計算
A社のプログラム50本の開発コストを計算してみます。
コストの情報は4[万円/日]、計算したい開発コストは[万円]でよさそうですね。
よって、[万円/日]に、開発期間[日]を掛け算すれば[万円]になるので、良い感じ。開発期間は、さっき計算した100[日]が使えそうです。
A社の開発コスト [万円] = 4 [万円/日] × 100 [日] = 400[万円]
同様にして、
B社の開発コスト [万円] = 3 [万円/日] × 150 [日] = 450 [万円]
よって、A社の方が開発コストが低いと分かります。
工数の計算3「進捗状況からの見積もり」
計画に対する現在の進捗や経費から、納期遅れや予算超過を計算する問題も出題されます。
人件費の計算
与えられた情報は、完成度40[%]で人件費が600[万円]。まず求めたいのは100[%]の時の人件費。その後、予算1000万円から超えた費用を計算すればよさそうです。
完成度100%の人件費を計算するには、1%の人件費を求めて、×100すればよさそう。※複雑な計算は、各要素を「単位あたり」にすると解けることが多い。
よって、
人件費600 [万円] ÷ 40 [%] = 15 [万円/%]
15 [万円/%] × 100 [%] = 1500 [万円]
したがって、1500 - 1000 = 500[万円]の予算超過(正答はエ)です。
「開発期間10か月は使わなくて良いの」などちょっとモヤっとしますが、正解です。
期間の計算
「開発期間10か月」を使う問題は「開発期間が何か月伸びてしまうか」などです。
問題文の「開発期間10か月」「5か月経過して」「40%が完成」から、このままのペースでは期間超過すると分かります。半分過ぎて、半分完成してませんからね。
では、「このままのペースで開発期間はどれぐらいかかるか」を計算してみましょう。
求めたいのは完成度100%の時の開発期間[か月]。与えられた情報は5[か月]と40[%]なので、1%完成させる開発期間[ヶ月/%]に×100すればよさそうです。
よって、
5 [か月] ÷ 40 [%] = 0.124 [か月/%]
したがって、
0.124 [か月/%] × 100 [%] = 12.4 [か月]
開発期間10か月より、2.4か月伸びてしまいますね。
なお、基本情報技術者レベルになると、「期間内に完成させるには、残り5か月に何人増員すれば良いか」という問題になってきます。
まとめ | 単位で見通しを良くしよう
「公式を覚えればいいや」と思う方もいらっしゃるでしょうが、それは自由です。
とはいえもし、
公式を忘れてしまったら?
公式が正しいか確認できないと?
公式がない問題に遭遇したら?
正解をあきらめますか?
「この時はこう解けばいいや」なんて理屈抜きにしていたら、「何がどうなっているのか」すら分からない人間になってしまいます。
速度は計算できなくてもスピードメーター見ればいい
って人間には、「みはじ」の公式とデータ伝送の類似性なんて分かりません。
分からないことに挑戦もせず、測定器・辞書・インターネット・頭の良い人に頼った人間になるだけです。
データ伝送の計算すらできない人の作ったソフトウェアを、あなたは信用して使えますか?
データ伝送の計算すらできないあなたが作ったソフトウェアで、社会や人名に関わるサービスとして世に出せますか?
次は >>指数計算の基礎<< をどーぞ。
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p.s. 普段は >> 専門学校とIT就職のブログ << をやってます。
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