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高校生とは思えぬ観察力と修正力の高さ。全国高校ラグビー。天理と早稲田実の好カード。最後は粘り抜いた天理が競り勝つ

高校生とは思えぬ観察力と修正力の高さが発揮された。全国高校ラグビーが開幕。1回戦屈指の好カードと言われたのが天理(奈良)と早稲田実(東京第1)のゲームだった。前回4強の天理が最後まで粘り抜いて初戦を突破した。お互いの力を出し切った好ゲームに拍手を送りたい。

前回4強の天理は観察力に秀でていた。前半開始早々は早実ペース。しかし天理は自陣で攻め込まれながらも得点を与えない。

相手は3大会ぶりの出場。固くなっていると判断したのだろう。天理は一気に攻勢に転じた。前半9分、モールでじりじりと前進すると、フランカーの清水将太郎選手が飛び込んで先制のトライを決めた。

流れを相手に渡さない。天理はさらに6分後の前半15分には中央から右に展開し、ウイングの松原久善選手がパスを受け取ると、右隅からインゴールへ駆け抜けてトライを決めた。

相手が前半に波に乗り切れていないと判断しての攻勢は見事だった。観察力が際立っていた。天理が14-0で前半を終える。

後半になると、早実がペースを握る。前半チャンスをつぶしてきたのが嘘のように、一気に攻め込む。

後半2分。中央から左に展開。パスをつないで最後はウイングの大内颯真選手が左隅にトライを決めた。後半早々に得点を挙げ、修正力の高さを見せた。

ここからは早実が立て続けに天理陣内で攻撃を続けた。防戦一方となった天理。しかし観察力のほかに、もう一つの武器があった。

それは最後まで粘り抜く高い守備力だった。後半13分に早実のセンター高橋玄選手にインゴールへ飛び込まれたが、天理は2人がかりで高橋選手を抱え込んで、あおむけにしてボールをグラウンディングさせなかった。

21分にもモールで押し込まれて、インゴールにボールを着けられそうになったが、ロックの水流夏楓選手が体を下に滑り込ませて、グラウンディングさせなかった。

ラグビーはアメリカンフットボールと違い、インゴールにゴールを持ち込んでも、グラウンディングできなければ得点とならない。最後まであきらめずに、相手のグラウンディングを防いだ天理の守備は、あっぱれと言いたい。

これがトライとなっていれば、少なくとも「14-27」のスコアで敗れていただろう。しかし、最後の最後まであきらめない姿勢で相手の2トライ分を防いだ。試合はこのまま天理が14-7で守り抜いて初戦突破をもぎとった。

天理が前半に見せた観察力。早実が後半早々に発揮した修正力。どちらも高校生とは思えない精神面の強さだった。

最後まであきらめない天理の守備での強さが勝敗を分けた形となった。勝った天理に祝福を、敗れても最後まで攻め続けた早実をたたえたい。

1回戦屈指の好カードにふさわしいゲームだった。高校生が大舞台で大きく成長する姿を見せてくれた。すばらしい楕円球をめぐるドラマだった。

そして彼らが大学に進学し、天理大と早稲田大の試合で再び戦ってくれることを待ち望んでいる。

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