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女子の春高バレー。古川学園がより高く飛び、より低く喜んだ。ドラマ満載となった24年ぶりの栄冠。チーム力で頂点

この3連休をいかがお過ごしでしたか。スポーツシーンも多くの感動がありました。なかでも印象的だったのが女子の春高バレーでした。決勝戦はドラマ満載。より高く飛ぶスポーツ。最後はより低い歓喜の輪。宮城の古川学園が24年ぶり4度目の栄冠を手にしました。チーム力でつかんだ優勝のように思えました。

バレーボールは相手のブロックよりも高く飛ばなければいけない。強いスパイクを打つために。その点で身長196センチのエース、タピア・アロンドラ選手(3年)の存在は大きかった。高い打点から放つスパイクは、相手には脅威に思えたはずだ。

古川学園は1回戦から準決勝までの4試合で失ったセットは、わずかに1。昨秋の国体王者として貫禄十分の勝ち上がり方だった。

決勝の相手は山口の誠英。第1セットを危なげなく手にした。しかし、その後、タピア選手らへボールを回す攻撃が単調となり、相手にブロックを次々決められていき、2セット連続して失った。

今大会で初めて、セットカウントでリードされる展開に。あと1セット失えば、優勝の夢が立ち消えとなる。信頼しているエースを生かせられない。いくら国体王者とはいえ、焦ったはずだ。このまま試合を落とすことも十分にありえた。

窮地を救ったのが身長168センチのサウスポー。南舘絢華選手だった。大事な場面で次々とスパイクを決めて、第4セットを取り返すキーパーソンとなった。

24年ぶりの頂点をめざす南舘選手。お母さんはその時の優勝メンバーだったのだ。母がつかんだ栄冠を、長く頂点から遠ざかっていた娘が取りに行く。

2年までレギュラーになれなかったが、3年生になってこれまでの努力が開花し、レギュラーの座をつかんだ。苦境を乗り越えてきただけに、決勝でリードされても慌てない。チームの救世主となったのだ。

流れを取り返した古川学園が、セットカウント3-2の激戦をものにして、24年ぶり4度目の栄冠に輝いたのだ。

優勝のシーンが忘れられない。あれだけ高くジャンプする競技なのだから、優勝決定の瞬間も、選手たちは高く跳ねながら喜ぶものと思っていた。

しかし、喜びのあまり膝の力が抜けてしまったのだろう。コートに前のめりに倒れ込んだ選手たち。そこにコート外の選手たちも加わって、より低い歓喜の輪となったのだ。より高いジャンプ。より低い歓喜の輪。このコントラストが際立っていた。

宮城県勢と山口県勢の決勝は、昨夏の甲子園の頂上決戦と同じだった。あと一歩届かなかった誠英だが、準決勝では優勝候補の金蘭会を破っての勝ち上がりだった。それは甲子園でも春の王者大阪桐蔭を破った下関国際をほうふつとさせた。

東北勢初の優勝を決めた仙台育英のように、春高バレーでも宮城県勢が優勝した。古川学園はエースだけに頼らず、チーム力でつかんだ栄冠と言えるだろう。

ドラマ満載だった春高バレー。劣勢を跳ね返し悲願の優勝を果たした古川学園に祝福を。最後まで粘り抜いた誠英もたたえたい。コートに青春が満開の春高バレーだった。

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