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「あの一打が入っていたら」。ヤクルト・塩見選手の一打を、オリックスの「10人目の選手」がブロック。日本S

「あの一打が入っていたら」。日本シリーズ第4戦を振り返り、ヤクルト側は嘆き悲しみ、オリックス側は安堵しただろう。五回にヤクルトの塩見泰隆選手の放った一打は右中間への大飛球となった。ホームラン性の当たり。しかし、オリックスの「10人目の選手」がブロックして、ボールは転々。塩見選手は三塁に到達したが。同点とはならなかった。

「10人目の選手」とは、開催球場の京セラドーム大阪の高さ4.2mあるフェンスのことだ。打球はフェンスの最上部に当たって、跳ね返った。

もちろん、ヤクルトにとって、1死走者なしからのビッグチャンスとなった。走者が三塁にいるから、タイムリーヒットのほかにも、犠牲フライ、スクイズ、バッテリーエラーなどでも同点に追いつく方法はたくさんあった。

しかし、ここでオリックスは早めの継投に入る。打たれた山岡泰輔投手から宇田川優希投手にスイッチ。宇田川投手は後続の2選手を連続三振に斬って取り、大ピンチを切り抜けたのだ。

塩見選手が放った大飛球。「これが神宮だったら」と思った人は多かったはずだ。京セラドームは右中間が116m、フェンスの高さが4.2mある。一方、神宮は、右中間が112.3mでフェンスの高さは3.3m。京セラドームの方が、ホームランが入りにくい球場なのだ。

京セラドームは屋内球場、神宮は屋外球場なので、風の影響で違いはあるだろう。それでも塩見選手の一打は、京セラドームのフェンス最上段に当たったことを考えると、神宮だったらスタンドに入っていた可能性が高かったはずだ。

ヤクルトは、このシリーズでホームランによる得点が多い。シリーズ3戦で5本のアーチを描いているヤクルト。一方、オリックスはつなぐ野球で本塁打はゼロ。ヤクルトにとって、自分たちの流儀で得点できなかったのは、痛手だったに違いない。

オリックスは三回に死球で出た走者を、二塁に送りバント。そして2死後に、杉本裕太郎選手がレフトへタイムリーヒットを放って、先制していた。

もしも、五回の場面、ヤクルトの「ホームラン」で同点にされていたら、「またか…」と意気消沈していたかもしれない。しかし、塩見選手の当たりは、高さ4.2mの「10人目の選手」にブロックされて、難を逃れた。オリックスは虎の子の1点を守り切って、1-0で競り勝った。今回のシリーズで初勝利だ。

通算成績はヤクルト2勝、オリックスは1勝だ(引き分け1試合)。まだヤクルトがリードしているのは変わらない。

しかし、「ホームラン」という得点パターンで追いつけなかったヤクルトにとって、痛い1敗だったのも間違いない。

27日の第5戦も京セラドームで行われる。オリックスの「10人目の選手」が、この試合でも活躍するのだろうか。改めてだが、開催球場という視点でも日本シリーズを楽しみたい。

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