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履正社が大阪桐蔭に「5度目の正直」。東東京は九回2死から共栄学園が逆転劇。初出場は6校。甲子園49代表決まる。新たなドラマの予感

強豪が続々と負けた夏の高校野球。49代表が出そろったが、最後まで「波乱」続きだった。ラストを飾る大阪大会と東東京大会の決勝。履正社が「5度目の正直」で大阪桐蔭を決勝で下し4年ぶりの夏切符をつかんだ。東東京では、共栄学園が九回2死からの逆転劇で春夏通じての初の甲子園出場。今年は甲子園で歴史に残るドラマが生まれそうな予感がする。

大阪決勝は大阪桐蔭-履正社。ともに5年以内に夏の全国制覇を達成している強豪だ。「大阪を制する者が全国を制する」といっても過言ではない。

その「黄金カード」。実は夏の決勝で大阪桐蔭が履正社に敗れたことはない。4戦4勝。昨夏も決勝で相まみえたが、7-0で大阪桐蔭が一蹴した。

雪辱を期して臨んだ履正社。大阪桐蔭の先発にはエース前田悠吾投手。1年生から実質のエースとして大阪桐蔭を引っ張ってきた。この左腕を打ち崩さなければ、頂点に輝けない。

履正社は二回に相手のエラーがらみで先制点を奪う。そして四回、2死満塁から9番野上隼人選手がチェンジアップをとらえて2点適時打を放った。「今年最高の左腕」といえる前田投手を攻略した。

投げては履正社の背番号「10」福田幸之介投手が115球、3安打完封で大阪桐蔭打線をシャットアウト。ライバルの破壊力を封じ込めた。

ついに「5度目の正直」。難敵大阪桐蔭との頂上決戦を制して全国選手権へ駒を進める。4年ぶりの夏の甲子園だ。

一方、東東京では最後の最後まで「波乱」続きだった。共栄学園が春夏通じて初の甲子園切符を手にした。決勝の相手は東亜学園。共栄は女子、東亜は男子がバレーボールの強豪。野球の世界でも王座をめざして激戦を繰り広げた。

共栄にとって九回2死まで相手がリードしていたのは、準決勝と同じ展開。そして、共栄はいずれもその劣勢を跳ね返した。土壇場で勝負強さを発揮した。

決勝では1点リードされての最終回。一気に7点を奪いひっくり返した。12-6で頂点に駆け上がった。

「逆転の共栄」といってもいいだろう。この勢いで甲子園でも新たなドラマを生み出してほしい。

今夏の甲子園には6校が初出場。共栄学園、東京学館新潟、浜松開誠館(静岡)、高知中央、鳥栖工(佐賀)、宮崎学園。いずれも春夏通じて初出場だ。

一方で今春の選抜優勝の山梨学院、準Ⅴの報徳学園(兵庫)の姿がない。優勝経験のある強豪の大阪桐蔭、智弁和歌山、明徳義塾(高知)、横浜(神奈川)、作新学院(栃木)も涙をのんだ。

高校野球における戦国時代の到来を告げているのかもしれない。夏の甲子園は6日に開幕する。

混戦模様の大会では、歴史に残るドラマが生まれる予感がする。高校球児が繰り出す一球一打。どんな軌跡を描き、そんな奇跡が生まれるのか、楽しみだ。

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