東京マラソン。大迫選手が2時間6分13秒の好走。パリ五輪選考のMGC出場権を獲得も「これから考える」。既定路線と考えない姿勢が良い
東京マラソンで記憶に残る激走を見せた大迫傑選手(31、ナイキ)が国内開催のマラソン大会に帰ってきた。東京マラソンで日本人3位となる2時間6分13秒をマークして、パリ五輪の代表選考レース「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」の出場権を獲得した。しかし本人は「これから考える」。既定路線と考えない姿勢が大迫選手らしくて良い。
大迫選手の国内でのマラソンレースは、2021年に無観客で行われた東京五輪以来574日ぶり。五輪マラソンは札幌市内で行われる異例の事態だった。
5日に行われた東京マラソンは都庁前をスタート。午前9時10分、天候はくもりで気温8.8度と絶好のコンディションだった。
序盤から先頭集団に加わり、ハイペースのレースを走っていった。日本記録(2時間4分56秒)を上回るペースのまま、中間点を折り返し、記録更新を期待させた。
終盤に外国人選手に離され、脇腹を抑える苦しい場面もあり、2時間6分13秒で総合9位、日本人選手3位でゴールした。
MGC出場権は得たが、「まだ出場するかどうかってのは、まだ確定していないですし。1回休んでみてから、どういう目標でやっていくのかというのは、しっかりとコーチ含めて判断していきたい」と答えた。
実に大迫選手らしいコメントだった。何事も既定路線と決めずにベストの道を模索する。彼らしい姿勢で良いと思った。
東京五輪後に一度は引退した大迫選手。しかし昨年2月に現役復帰を表明した。昨年11月のニューヨークマラソンが復帰初戦。今回は復帰後のマラソン2戦目だった。
ただ、国内のマラソン大会は無観客で行われた東京五輪以来。今回は沿道をファンが埋め尽くす中で、大迫選手たちは駆け抜けた。
大迫選手は「沿道の方多かったですね。こういった形で、皆さんに応援していただけるみたいなところはうれしいです」と振り返った。沿道の温かい視線が、選手に大きな力を与えてくれるのだろう。
2020年の東京マラソンで2時間5分26秒の日本新記録(当時)をマークした。相性のいい大会で、沿道のファンに今回も快走を披露できた。
MGCを走るかどうかは、ゆっくり決めていいと思う。ただ、東京の沿道のファンの前で42.195キロを走る喜びを、大迫選手が再び味わったのは間違いない。
大迫選手は走ることで自分を表現するマラソンアーティスト。MGCも東京を舞台に行われる。10月に再び東京を駆け抜けて、「走る芸術」を沿道のファンに見せてほしい。
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