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栄枯盛衰。1990年代の黄金カードから30年。リーグ最下位同士の戦いに見えた両者のプライド。セパ交流戦。ヤクルトが西武にサヨナラ勝ち。記念の一打が飛び交う好ゲーム

時が過ぎるのが、あまりに早く感じる。1990年代の黄金カードだったヤクルト対西武。あれから30年経ち、両者がリーグ最下位で交流戦を戦うことになるとは。まさに栄枯盛衰。しかし両者のプライドがぶつかり合い、延長にもつれる展開に。記念の一打が飛び交う好ゲームとなった。

4日に神宮球場で行われたセパ交流戦。ヤクルトと西武は共にリーグ最下位。弱くても意地がある。両者のプライドがぶつかり合う試合となった。

先制したのはヤクルト。初回に長岡秀樹選手がレフトへタイムリーを放った。このリードを守るべく、先発マウンドに上がった吉村貢司郎投手は六回まで西武打線をノーヒットに抑えていた。

しかし西武も反撃に転じる。「ラッキーセブン」の七回。この回先頭の外崎修汰選手がレフトスタンドへ同点アーチ。

さらに2死二塁のチャンスで栗山巧選手が代打で登場。40歳のベテランは1カ月半ぶりの1軍の試合だ。センターオーバーの適時二塁打を放って勝ち越した。栗山選手は通算400二塁打を達成した。

ヤクルトは2点を追う九回。2死一、二塁の場面。6番山田哲人選手が打席に立つ。カウント3-1からの4球目。ライト線へ2点適時二塁打を放って同点に引き戻した。この一打は山田選手の通算300二塁打。記念の一打が飛び交う熱戦となった。

試合は延長にもつれ、十回裏にヤクルトが4-3でサヨナラ勝ち。丸山和郁選手のバント安打と三塁手の送球エラーが重なり、勝負あり。

今から30年前のことを思い出す。1990年代。日本シリーズの黄金カードと言えたのが「ヤクルト対西武」だった。ヤクルトの監督は野村克也さん。西武の指揮官は森祇晶さん。捕手出身の監督による頂上決戦は強さと緻密さを駆使した戦いだった。

両指揮官の下、ヤクルトと西武が初めて日本シリーズを戦ったのは1992年だった。当時は平日の試合も含めて全試合がデーゲームだった。白昼の頂上決戦。それを思い出すだけでも時代の移ろいを感じる。

この年、日本一に輝いたのは西武。4勝3敗と競り合った末の栄冠だった。ヤクルトも黙ってはいない。翌年、再び両者が相まみえ、今後は同じ4勝3敗でヤクルトが雪辱の頂点へと駆け上がった。

1997年にも両者がぶつかった。野村ヤクルトが東尾修監督指揮の西武を4勝1敗で下して日本一に。1990年代にヤクルトは日本シリーズに4度、西武は7度進出している。両チームは当時、日本のプロ野球を牽引していた。

それだけに、今年のセパ交流戦を、両チームがリーグ最下位として戦っているのは一抹の寂しさも感じる。しかし、最下位同士が意地をぶつけ合ったゲームは見応えがあった。記念の一打が飛び交う好ゲームを堪能できた。

ヤクルトも西武も、「ビリ」でいることに納得などしていないだろう。両者の交流戦は5日と6日にも行われる。かつて黄金時代を築いた両チーム。そのプライドがぶつかり合う展開を楽しみにしたい。

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