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女子サッカーは男子の「お手本」になれる。皇后杯。優勝のINAC神戸、準Vの三菱重工浦和ともに笑みを浮かべたPK戦。浦和の選手は試合後の片付けも

女子サッカーは面白い。そして男子選手にとっては「お手本」となってもいい存在だ。サッカー皇后杯の決勝を見ながら思った。試合はPK戦で、INAC神戸が7大会ぶり7度目の優勝を手にした。三菱重工浦和はあと一歩届かなかった。PK戦では両チームの選手たちの表情に余裕が感じられた。そして浦和の選手たちは表彰式の片付けの手伝いもしていた。

大阪のヨドコウ桜スタジアムで行われた決勝戦。試合は前後半で1-1のまま同点、さらに延長戦でも決着がつかず、PK戦にもつれこんだ。

神戸が先行、浦和が後攻で行われたPK戦。これまで男子の試合では、代表戦でも高校の試合でも見られない光景があった。

キッカーの選手たちがハーフウェー付近からキック地点に向かうまでに笑顔を浮かべていたことだった。そこには余裕すら感じられた。

男子のPK戦では、各キッカーが悲壮感を漂わせながらキック地点へ行くことが多い。まるで外せば命を奪われるかのように。

女子選手は違う。笑みを浮かべた表情。これは相手キーパーには脅威だろう。神経戦とも言われるPK戦でキッカーの方にアドバンテージがあるように見えてきそうだ。

PK戦の行方は運に左右される部分がある。それでも悲壮感を漂わせていては、自分の力をシュートに生かせない。キックを蹴る前に自分自身に負けているように思われる。

男子サッカーでは、ワールドカップの代表戦などで日本がPK戦負けを喫する場面を良く見る。もちろん運に支配される要素が大きいので、負けた責任を問うことはしたくない。

しかしPKに臨む姿勢として。もっと余裕をもってシュートを打ってほしい。先日も男子代表のある選手が「PK戦は苦手」と話す記事を読んだ。結果は仕方ない。それでも笑顔を浮かべながらキック地点に向かうことで、神経戦でリードしてほしい。

日本の女子代表は2011年のワールドカップ決勝でPK戦の末に世界一をつかんだ。PKに臨む姿勢は、男子選手が学ぶべきことかもしれない。

また皇后杯の表彰式後、敗れた浦和の選手たちが、優勝チームのために放たれた金テープを片づけていたそうだ。

前後半の90分、さらに延長戦の30分を戦った後に、PK戦までもつれた試合後とあって、選手は疲れ切っているはず。しかも金テープは優勝した相手チームのために放たれている。

味方サポーターにあいさつに向かった後に、浦和の選手たちが金テープを拾うのは心身ともにつらかっただろう。それでも後片付けを手伝う姿はSNS上で称賛されていた。

試合をできる感謝の気持ちが、後片付けという形に表れているのだろう。そして「来年こそは」とリベンジの気持ちを強くしたかもしれない。

サッカーは男子の方が圧倒的に女子よりも注目度が高い。それでも男子選手が女子サッカーから学べるところは多い。男子サッカーだけでなく、女子サッカーにも注目してほしいと思う。

7大会ぶりに優勝したINAC神戸に祝福を。あと一歩届かなかった浦和の選手もたたえたい。

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