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「常識」を破ることも時に必要なのだ。常勝オリックスのドラフト戦略の秘訣。高校生中心の補強が奏功。あの山本投手、宮城投手も
今季パリーグ3連覇を達成したオリックス。うち1回が日本一。もはや常勝軍団といってもいい。何が彼らをこんなに強くしたのか。複数の要因が挙げられるが、巧みなドラフト補強が最たる例だろう。それは「常識」を打ち破った戦略ともいえる。高校生中心にドラフトで獲得した結果が今の繁栄につながっている。オリックスの強さに迫りたい。
今年の野球界でシーズンオフの目下の話題は、「メジャーのMVP」大谷翔平選手(29)の移籍と「日本のエース」ともいえる山本由伸投手(25)のメジャー挑戦だろう。
山本投手は3年連続で投手4冠に輝き、オリックスのリーグ3連覇の立役者だった。21日(日本時間22日)にメジャー球団との交渉が解禁され、10球団以上から問い合わせがあったという。
山本投手は宮崎の都城高校卒。甲子園と縁がなかったが、2016年のドラフト会議で4位指名されてオリックスに入団した。そこから、めきめきと頭角を現し、メジャーから熱い視線を送られる選手にまで成長した。
オリックスには独自のドラフト戦略がある。即戦力の大学生、社会人選手を二の次として、高校生中心のドラフト補強をしているのだ。
昨年の日本シリーズで先頭打者初球本塁打の離れ業を見せた太田椋選手(22歳、奈良・天理高)をドラフト1位、ショートのレギュラーに定着したパワフルな打撃で定評の紅林弘太郎選手(21歳、静岡・駿河総合高)は2019年のドラフト2位で獲得している。
投手陣でも山本投手のほか、WBCで侍ジャパンの世界一に貢献した宮城大弥投手(22歳、沖縄・興南高)は2019年の1位指名で入団。160キロ右腕の山﨑颯一郎(25歳、福井・敦賀気比高)は2016年ドラフト6位だ。
オリックスは確かな眼力で有力な高校生選手を獲得。そして、一流のプロ選手に育てる育成力も兼ね備えている。
今年のドラフトでも1位の横山聖哉選手(長野・上田西高)を筆頭に4位まで高校生を指名した。横山選手はショート。2位の河内康介投手(愛媛・聖カタリナ学園)は右投げの投手。3位の東松快征投手(愛知・享栄高)は左投げ投手。4位の堀柊那選手(兵庫・報徳学園高)は捕手とポジションもバランスが取れている。このドラフト戦略は「常識破り」ともいえる。
メジャーの「貧乏球団」オークランド・アスレチックスのチーム強化を描いた「マネーボール」という本がある。ブラッド・ピットさんを主演に映画化もされた。
本の中で大学生の即戦力選手を中心にドラフトで指名することが書かれているのだ。低予算のチームがポストシーズンの常連となった秘訣の一つだった。日本でもその影響を受けてか、2014年のドラフトで大学生、社会人選手ですべて埋めたチームがあった。
オリックスは、その「常識」に反抗するように、高校生選手の獲得に力を入れて、今日の常勝軍団を作り上げた。
チーム強化は一筋縄ではいかない。その中で、最善の策を取り、リーグ3連覇を成し遂げたオリックス。「常識」に背を向けることが、時に必要なことを示してくれる。
「常識破り」のオリックスは来季4連覇を成し遂げることができるだろうか。高卒選手の活躍とともに注目したい。
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