人には誰でも恩返ししたい相手がいる。育成出身の中日・松木平投手がプロ初勝利。「育ててくれたおばあちゃんに感謝」。6回無失点の好投
人には誰でも恩返しをしたい相手が必ずいる。育成出身のプロ4年目、中日の松木平優太投手(21)がうれしいプロ初勝利を挙げた。2度目の先発となった右腕は6回無失点と好投。「育ててくれたおばあちゃんには感謝しかない」と初めての白星を捧げた。85歳のおばあちゃんへの最大の恩返しとなったはずだ。
松木平投手は大阪出身。甲子園には出場経験のない精華高校で成長した。右腕に注目が集まったのは高校3年時。練習試合で強豪の履正社高相手に好投したのがきっかけだ。前年の夏の甲子園Ⅴ校相手に3失点に抑えたのは自信になったはずだ。
2020年。甲子園が中止となった年。8月に開催されたプロ志望の高校生合同練習会に参加。打者5人に対し3つの三振を奪った。
これらの活躍などが評価され、同年のドラフト会議で、中日から育成4位の指名を受け、入団した。
ここからさらなる成長曲線を描いていく。プロ2年目にフレッシュオールスターに選ばれ、1イニング無失点に抑えた。3年目の2023年には、ウエスタンリーグの優秀選手賞に選ばれた。
今季、2軍戦で先発ローテーションの一角として好投を続けたのが評価され、支配下登録を勝ち取った。
そして、7月31日。プロ2度目の先発マウンドに上がった。ホーム名古屋でのヤクルト戦。初回に死球を与えたが無失点に抑える。二回には1死二、三塁のピンチに陥ったが、切り抜けた。
四回と六回には、セリーグ本塁打王争いのトップを走る村上宗隆選手から、いずれも空振り三振を奪った。6回81球を投げ、4安打無失点の好投でプロ初勝利を手にした。
「育ててくれたおばあちゃんには感謝しかない」。試合後のお立ち台で語った。松木平投手が小学校5年の時に、母親が他界。おばあちゃんがたくさんご飯を作ってくれて、たくましい体に成長した。この勝利はお世話になったおばあちゃんへの恩返しとなっただろう。
85歳のおばあちゃんは、現在、関東地方の高齢者施設で暮らしているそうだ。今回の現地観戦も検討されたが、体調面を考慮して見送られた。でもかわいい孫の活躍を心底喜んでいるだろう。
人には誰でも恩返しをしたい相手がいる。その人のために頑張れる。それって、素敵なことだと、松木平投手の好投が教えてくれた。