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不安との付き合い方/経験と提案

 なんだかそわそわする、不安。
 この緊張感を伴う感覚を誰しも経験したことがあるでしょう。

 不安の定義は様々ですが、代表的なものとして心理学的には「自己存在を脅かす危険を予期したときに生ずる不快な感情」と表現され、精神医学的には「対象のない恐れの感情」と定義されます。対象のある恐れの感情は「恐怖」と表現されますが、いずれも医学研究を推し進めるための定義です。

 さて、この不安。

 本来、恐れの感情は危険を察知して回避を図るためのもので、生存に必要なものです。危険性の明白なもの、例えば猛獣が突進してくるような状況で抱く感情は多くの場合に「恐怖」であり、これを回避する行動に直結して個体の生存確率を高めます。

 一方の「不安」は、なぜヒトに備わっているのでしょうか。
 明確な答えを与えることは困難ですが、おそらく未知なるものに対峙したときに生存率を高めるためのシステムであろうと私は考えています。それが「よくわからないもの」であったら、もしかしたら自分の身を脅かすものかもしれないという前提に立って行動を選択した方が危険は少ないでしょう。危機回避のための「恐怖」は優秀ですが、あらかじめ危険性の知識がインプットされていないと機能しないため、恐怖以前の「不安システム」が備わった個体が生き残ってきたのでしょう。

 この不安。

 未知なるものに抱いた不安という感情は、漠然とした何かが解明されるほどに薄れていくものです。危険なものは「恐怖」というタグをつけて記憶し、危険でないものには「安心」というタグをつけて記憶していきます。この記憶は個体に蓄積されていきますから、生まれた瞬間の不安に包まれた状態から、経験を重ねるごとに不安を減らしながら危機回避システムが洗練されていくのでしょう。

 いったいどこからが病的か。

 **不安障害という概念があります。明確な対象を特定できないという観点から、@@恐怖症とは離れた概念といえましょう。本来は生存率を高めるために備わっているはずの優秀な「不安システム」が過剰に反応して生活に支障をきたしている状態と考えれば、理解しやすくなるかもしれません。


 私自身、不安を感じてこの執筆を始めました。

 不安の誘因は先日の夢の内容から推測される近い未来の出来事であり、立ち向かわなくてはならない流れの中にある自分が、果たしてその試練を乗り越えていけるだろうかという感情を起点としています。では不確定性を含む未来が訪れたときに自分に何ができて何ができないかということを考えます。すると早急に取り組むべきことと、優先度の低いことが見えてきます。人間のスペックには限界がありますから、取捨選択して「これをやろう」とか「これはやめておこう」といった意思決定を行い、状況を整理していくのです。
 ここまでくると、ほとんど不安が解消されてきていることに気づきます。未知なるものへの漠然とした不快な感情は、理解しうる何かに変容していきます。結局やらねばならぬことはあるわけですが、それにしたってどうしても必要なもの以外は後回しにしておけばよいのです。

 不安とは向き合わず、付き合う意識の方がいい。

 不安それ自体は貴方を守るためのシステムです。
 ただ切り捨てて済むような感情ではありません。
 きっと向き合うべきは不安そのものではなくて、いったい何が「未知」なのかという問題です。
 未知を解明するほどに、不安は分解されていくことでしょう。

 貴方の感じる不安と、どうか敵対しないように。
 それは貴方を守ろうとするシステムです。
 ゆっくり、少しずつ。
 時間がかかってもいい。
 小さな変化も大きな進展に繋がります。
 できることから始めてみてはいかがでしょうか。


 拙文に最後までお付き合いいただき誠にありがとうございました。願わくは、貴方の不安が優しい色に包まれて、貴方を守る指針となりますように。



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