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「ザ・メニュー」:高慢な食通たちが死ぬ時

料理は食べるものではない。味わうものだ。そんなシェフの言葉から始まるこの映画「ザ・メニュー」は、視聴者をたちまち釘付けにしてホラーの世界へと引き込んでいく。

舞台は太平洋岸北西部の離れ島にある超高級レストラン。底に集まった12人の客はそれぞれ、スノッブな食通で、高級レストランにありがちなステレオタイプな客として表現されている。口だけが肥えて蘊蓄を垂れる客たちにシェフは容赦しない。

この新手のサスペンスあるいはホラー映画はニューヨークタイムズ誌で高く評価され、大ヒットした映画「食べて、祈って、恋をして」(原題:Eat, Pray, Love)をもじって「食べて、祈って、さあ逃げろ」(Eat, Pray, Run!)というタイトルの記事になった。



なかなか予約の取れない有名レストランのシェフ(レイフ・ファインズ)が振る舞う、極上のメニューの数々。ただ、そこには想定外の「サプライズ」が添えられている。コースが進むにつれて、起こる奇怪な出来事。ゆっくりと迫ってくる恐怖。

この映画に出てくる数々の美しい料理は最初は人々を魅了する。例えばパコジェット(Pacojet=凍らせた食べ物をさらに細かく粉砕するもの)を使ってシルキーでクリーミーに仕上げられた前菜、島の地形を象った料理など。




さらに「パンのないパンコース」。パンに合うはずのソースだけが盛りつけられているのに、パンそのものがない料理も出てくる。

そして、このレストランの客は、このディナーが他のレストランとは違うという事実に徐々に気づいていく。じわじわと押し寄せる恐怖。ショッキングな出来事。

映画の大半は、高級レストランをよく観察している人たちのために作られたものだと感じたが、エンディングでは目を丸くさせられた。ミステリーやホラーは、エンディングで決まる。

さてそのエンディングは。ぜひご自分の目で確かめてほしい。





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