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[小児科医ママが解説] おうちで健診:1歳半健診の色々、まとめました。

「教えて!ドクター プロジェクト」の「乳幼児健診を知ろう!」にそって、解説させていただいている「おうちで健診」シリーズ。

今回は「1歳半健診」です。

歩き出したり、話し出したり・・・より「人間」らしくなってくるお年頃ですよね。
一方で、まだ歩かない・話さないお子さんもいます。本当に発達は個人差が大きいです。

健診で色々言われて不安になった・・・という親御さんの声もうかがいます。

比べちゃ~いけないとわかっていても、集団の健診で(というか普段の生活でも)他のお子さんを見たり、色々話を聞いたりすると、「あれ?うちの子の発達、大丈夫かな?」と不安になるものですよね。

科学的な・医学的な情報をもとに、少し詳しく・深く知ってみる。

そうすることで、子育てのお悩みとうまくお付き合いするヘルプになれば、幸いです。

今までお伝えしてきた内容のまとめとして、見ていきましょう!

主な参考文献はこちら。

●「正常ですで終わらせない! 子どものヘルス・スーパービジョン」
阪下和美、東京医学社、2017年

●「ベッドサイドの小児神経・発達の診かた(改訂4版)」
桃井眞里子・宮尾益知・水口雅、南山堂、2017年

●「乳幼児健康診査・身体診察マニュアル」
https://www.ncchd.go.jp/center/activity/kokoro_jigyo/manual.pdf
平成29 年度子ども・子育て支援推進調査研究事業
国立研究開発法人 国立成育医療研究センター


ポイント① 1人で歩くことができる


ハイハイをしないでいきなり、伝い歩きするお子さん。
生後8ヶ月でつかまり立ちするお子さんもいれば、1歳3ヶ月で、やっとつかまり立ちするお子さん。

本当に発達はそれぞれですよね。

受診の目安もふくめて、下記noteにまとめています。

★過去note:ハイハイ・つかまり立ち・伝い歩き。いつまでにすればOK?受診の目安は?



ポイント② 積み木を2~3個積める
ポイント③ 鉛筆でなぐり書きできる
ポイント④ スプーンで食べられる


正直言うと、こうした手先の動き(微細運動や、協調運動など)も、かなり個人差が大きいです。

「積み木が積めない」ということ「だけ」で、何か重大な病気を小児科医が疑うことはありません。
「スプーンで食べられる」って言ったって、まだまだこぼしまくっても、おかしくない年齢です。

ただし時々、こうした動作の中で、特徴的な指の動き(親指を全く使おうとしない、親指を曲げたまま物をもとうとする、など)をするお子さんがいます。

これだけで何かの病気!というわけでは、これもないのですが、「親指も使ったほうが、物が握りやすいよ~」などと教えてあげる意味で、専門のリハビリをオススメすることもあります。

また1歳半になると「道具を、それぞれの用途に合わせて使う」という人間らしさが出てくるお子さんが多いです。
「うまくできるかどうか」よりも「道具を、大人のマネをして、使ってみようとする"気持ち"があるかな」というのも、発達の大事なポイントです。

ちなみに手づかみ食べしていていいのか?など、食事中の悩みも絶えないこの時期。こちらについては、下記のnoteをご覧ください。

★過去note:よくある離乳食Q and A。離乳食にまつわる情報まとめ。




ポイント⑤ 意味のある言葉をいくつか話せる
ポイント⑥ 興味のあるものを指さして示す


言葉の発達も、本当にお子さんそれぞれ!

1歳半で言葉がほとんど出ていないお子さんでも、3歳では単語の数が増えるケースが多いこと(70~80%)。
でも「難聴がないか」は見逃したくない大事なポイントであること。

「様子を見て」って言われたときに、家で毎日できること。
言葉「以外」の発達が、実は言葉の育ちに大切なこと。

そんなことを、下記のnoteにまとめています。ぜひご覧ください。

★過去note:
いつまでにどんな言葉を話せば・理解できていればいいの?言葉が遅れる原因は何?
言葉の遅れ。"様子を見て"って言いながら、小児科医の頭の中で考えていること。
言葉の遅れに、言葉”以外の”遊びが大切なワケ。ご自宅でできること。受診の目安。
ご自宅でできる聴覚のチェックリスト。受診の目安。



Q. 夜寝るときに授乳しているが、問題ありませんか?1歳をすぎたら断乳した方が良い?


こちらも、よくいただくご質問です。

夜間授乳そのものが、虫歯になる!というわけではないです。

ただし夜間や寝る直前の授乳をつづけるには、なおさら、歯みがきが大切であること。
歯みがき粉のフッ素のあれこれ
添い乳や添い寝の、乳幼児突然死症候群(SIDS)との関連。

そんなことについて、下記noteにまとめています。

★過去note:
歯みがき”以外”の乳歯ケア。夜間授乳は、虫歯の原因になる?歯に関する受診の目安。
歯のあれこれ。生えてこない・生え方が気になる。歯みがきのフッ素はどうしたらいい?
添い寝はどれくらい、SIDSのリスクを上げるのか?
夜泣き対策で”完全に寝落ちする前”にベッドに置くのが大切なワケ。

なお断乳についても「○歳までにしないといけない!」というものはありません。

世界保健機関(WHO)も「2歳以上でも」母乳をあげてもいいんだよ、という推奨です。1歳すぎたら母乳の栄養が落ちる、という医学的な根拠もありません。
(ただし、たしかに成長するにつれて、必要なカロリーや栄養分について、母乳よりも、食事でまかなう割合が多くなってくる、というのは事実です。)

集団保育のスタート・親御さんの仕事復帰、また夜間授乳のために頻繁に起きてしまう・・・などといった状況をふまえて、親御さんが一番納得のいく・心身に負担のない時期や方法を選ぶのがベストです。


なお授乳や離乳食について、WHOの指針を紹介してくださっている「ちょっと理系な育児」のホームページは、私もよく拝見しています。



いかがでしょうか?

1歳半。いっちょ前に見えて、まだまだ心も体も絶賛成長中。
正しく知ることで、少しでも日々の悩みが軽くなれば幸いです。

(この記事は、2023年1月27日に改訂しました。)

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