見出し画像

「稚拙で猥雑な本能寺の変」13

○シーン13 光秀の屋敷・前

下手から平太、織部。

平太  「ダメだ。どこにもいない」
織部  「みんな探してくれてます。絶対に見つかりますから」
平太  「明智様の領内にはいないのかもしれないな」

上手奥から光秀、秀満、忠興。

忠興  「いたか?」
織部  「いえ」
秀満  「武家衆にも声を掛けてみたが・・・」
平太  「皆さんすんません!」
光秀  「平太、すまんな」
織部  「謝るようなことじゃないでしょう・・・(顔が蒼白になり)あああ!」

上手前から八方斎が来る。

忠興  「どうしたのです?」
織部  「いたいたいたいたいたいたいたいた」
忠興  「何者だ?」
織部  「この人です!この怖い顔の人がしずちゃんを連れて行きました」
秀満  「なに?」
平太  「貴様、しずとたねをどこにやった?」

平太が殴り掛かるのをひらりと躱し平太に手刀を食らわす八方斎。
動けなくなる平太。

平太  「うううう!」
光秀  「どこの者だ」
八方斎 「光秀様、これを主より預かって参りました」
忠興  「主?」

光秀に文を差し出す。

八方斎 「ではこれにて」
平太  「待て!(立てない)」
織部  「平太さん」

上手に戻っていく八方斎。

秀満  「文には何と?」
光秀  「・・・」
織部  「何て書いてあるんです?」
光秀  「秀吉殿・・・」
秀満  「秀吉・・・羽柴様ですか?」
忠興  「しかし秀吉様は毛利征伐に向かったのでは?」
織部  「ちょっと見せてください・・・達筆がすご過ぎ」
忠興  「預言通り、本能寺の変を起こさねばしずの命はない」
秀満  「預言?光秀様に謀反を起こせというのか?」
織部  「光秀さん。どうしましょう?」
秀満  「殿、早まってはなりません。お家を守ることこそが殿の務めです」
織部  「どういう意味です?」
秀満  「御屋形様に謀反など起こしたら末代までの恥となります」
織部  「じゃあしずちゃんとたねちゃん見殺しにするってことですか?」
秀満  「その覚悟も必要ということだ」
織部  「そんなのダメですよ。何言ってるんですか!」
忠興  「秀吉様は狡猾なお方。おいそれと敵に回すわけにも行かぬ」
織部  「何かいい方法はないんですか?」
光秀  「しずにはこれまで苦渋を飲ませてきた。私のことで命を奪われるようなこと」
秀満  「では秀吉様に屈するおつもりで?」
光秀  「・・・」
織部  「卑怯な人だな・・・」
秀満  「光秀様、決して軽々な判断をなさらぬよう」
光秀  「分っている」
平太  「くそっ」

暗転。

<14><15>に続く

ここから先は

0字
重要ポイント以外は無料で読めますが、面白いと思ったらぜひ購入して全部読んでいただけたら嬉しいです。笑えて泣けてちょっとだけ学びになるかも。再演をしてくれる劇団、スポンサーになってくれる企業様を大募集です。

舞台台本です。最重要部分以外は無料で読めます。 (初演:2016年11月) 天正10年6月2日早朝。戦国の流れを一変させた「本能寺の変」…

よろしければサポートお願いします! いただいたサポートは劇団活動費などに使わせていただきます!