人生モラトリアム『奏』④希望の先に見え隠れする闇
今朝はカラスの声で目が覚めた。
ぼくにはまだ『歌声』には聞こえない。
きっとまだ感性が追い付いていないのだ。
カラスは美しい。
黒くて、強くて、どこか大きな生命力を感じる。
そして彼らはとても頭が良い。
栗みたいなモノをくわえ、道路の真ん中に落とす。
車輪で潰された殻の中から身だけを器用に持ち去る
そんなシーンをいつだったか目にしたことがある。
みんな、生きるために必死なんだ。
それは人間だけではなく、生き物だって同じなのだ。
2017年3月
紆余曲折あり、ぼくは某飲料メーカーに再就職することとなった。
初日、東京の本社にて研修があった。
本社だけあってとてもきれいなオフィスだった。
これからここで毎日働けるんだな…
希望で溢れた。
中途入社ではあったが同期は30名程いたと思う。
製造系、企画系、営業系と大きく分けて3つ。
営業系の中でもさらに細かく分かれていて
ぼくは都内某営業所に配属となった。
自分も含めて同期は3人の配属となった。
これからどんな明るい未来が待っているのだろう。
期待で胸が躍っているのがわかった。
入社1年目は光の速さで過ぎ去っていった。
しかし光の速さの中でも、しっかりと自分の脳の中には
たくさんの出来事や思い出、そしてトラウマは刻まれ続けているのだった。
2017年4月
お世辞にもきれいで整っているとは言い難いオフィスであった。
少し…いや…ものすごくがっかりしたのを今でも覚えている。
同期3人同じ営業所に配属だったが、3人とも違う現場だったため
直接会って話すことはあまり多くはなかった。
ぼくの現場は都内でも一二を争う激戦区であり、日本の市場において最重点と言われているエリアを担当させていただくこととなったのだ。
プレッシャーはかなり大きかった。
けれどもそれ以上に、自分がどこまで出来るかといった期待の方が
はるかにはるかに大きかったのだ。
今振り返ると…だから一年間、光の速さで駆け抜けることが出来たんだと思う。
所属するチームのメンバーは、ぼくを含めて6人で
直属の上司が1人、その上に1名、そのまた上に1人といった感じの組織で
営業所全体としては50人以上いたと思う。
チームメンバーはみんなやさしい人たちだった。
わからないことは丁寧に教えて下さった。
ぼくが手詰まり困っていそうな時は必ず声をかけてくれた。
あの環境で仕事を辞めずに済んだのは、きっと先輩方のおかげだ。
今でも本当に感謝をしている。
いつかまたお会い出来たのなら、心からお礼とお詫びを伝えたいと思っている。
後に知ることとなるのだが…
いや、そのまさに犠牲者となるのだが…
チームリーダーがものすごく『アレ』だったのだ。
続。
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