アメリカ企業の行動を理解するには、資本主義の原則を知ろう
ここ数週間、アメリカ企業のリストラ報道を見聞きするたびに思います。「株主のために会社の価値を上げる」という資本主義の原則に則っていて、行動がシンプルでわかりやすいです。
例えばイーロンマスクが買収したツイッター。
彼のツイートによると毎日6億円近い赤字を垂れ流しているのを目の当たりにし、まずは固定費の削減、すなわち人件費削減のための人員整理を行いました。
報道では7,500人の半数がその対象と伝えられています。ただ、同社は過去1年で約40%、2,000人もの社員が急激に増えたため、「適正な社員数へ戻す」とも言えそうです。
こういった場合のアメリカ企業の人選の基準は明確で、「会社の優先課題の解決に必要な能力を有するか否か」のみです。人種、性別、年齢は一切関係ないため、ある意味、公平とも言えます。そのため、優秀なエンジニアなど特殊能力のある社員を除き、短期的な利益改善に直接貢献しない社員は解雇の対象になります。
自身の話で恐縮ですが、私もアメリカ資本主義を象徴するような大企業に20年以上勤めました。常に感じていたのは、会社での立場は「自身の能力と業績」によって決まることです。
会社に求められている高いパフォーマンスを出せている時は高い評価と報酬、そして重要プロジェクトを与えられました。一方で、期待通りの結果を出せなかった時期は、数年ほど陽の当たらない部署にいたこともあります。分かりやすいことに、その時期は社内の研修受講メンバーにも選ばれず、自身に「リスキリング投資」もしてもらえず、悔しい思いをしました。
ただ、どんな処遇でも、それは自身の実績による結果、すなわち「会社の価値を上げたか」によるものだったので常に納得感はあります。
解雇の話に戻りますが、会社都合による解雇を従業員に行う場合、米国企業の多くが離職手当を支払います。イーロンマスクのツイートによると、同社は3ヶ月分の離職手当を用意しました。短期的には追加の費用が会社にかかりますが、中長期的には会社に貢献しない社員の固定費を削減できるため、利益改善に繋がります。また、社員はその3ヶ月の間に次の仕事を探すことになります。
良いか悪いかは別にして、アメリカ企業の行動は「会社の価値を上げる」という資本主義の原則に基づいており、非常にシンプルです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。