米国株式投資の人気は、資本主義がより機能しているから
今年に入ってから、岸田総理が資産「貯蓄から投資へ」と個人資産のシフトを国民に求める映像を幾度となく目にしました。確かに、当分続くであろう物価高を考慮すると、預金から得られる「実質の」利息はマイナスになってしまい、もっとリターンの高い株式へ投資を奨励するのは妥当と思います。
政府も積立NISAといった、配当や売却益が非課税になる投資奨励ツールを用意していますが、外国株式、特に米国の株やETFに人気があるようです。
それはなぜでしょう? 米国市場の方が日本よりも資本主義が機能しているからと考えます。
米国の上場企業の多くは四半期ごとに業績を発表し、市場で評価されます。株主の期待通り、もしくはそれを上回る利益を達成し、今後も成長が見込まれる企業の株価は業績発表後、上昇します。一方で、期待を裏切る利益、または将来への業績不安が明らかになった企業の株価は、急落します。最近ですと、ディズニー社が第三四半期報告で、オンライン配信サービスの赤字による業績不振が発表された際に、株価が急激に下がりました。
配当をあてにしている年金生活者は、配当も下がって今後も成長が見込めない企業の株など、すぐにでも売り、他の有望株に乗り換えます。
また、企業もすぐにアクションを起こします。ディズニーは今のCEO、およびその側近を解任し、前CEOを呼び戻すことを発表しました。シンプルに「結果を出せる人に交代」ということです。
自身の経験で恐縮ですが、典型的な米系の大企業で20年以上働いてきました。会社は常に資本主義の原則に従っています。高い役職の人ほど報酬も高いけれど、同時にリスクも高く、一定期間内に結果を出せなかった場合には退場を余儀なくされます。株主の期待に応えられないにも関わらず、いつまでも経営陣として留まることは出来ない仕組みになっています。
また、一般社員についても資本主義原則に則った社内ルールのもと業務をします。例えば、「この新規プロジェクトは資本コストを十分に上回る利益をもたらし、会社の企業価値を継続的に高めるか」を指定のフォーマットに従って、確認します。
もちろん、米国企業にもデメリットはあります。例えば、経営陣が過剰に短期的な四半期ごとの利益を優先し、長期的な成長を犠牲にすることもあると思います。
とはいえ、資本主義がかなり機能している米国株式市場では、長期的な成長を描けない経営者は遅かれ早かれ淘汰されることになります。
こう考えると、米国企業のほうが、自身の期待に応えてくれるのではと感じる人が多いため、米国株式投資が人気なのかなと思います。
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