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丘の上の異界〜寺崎英子の写真によせて
宮城県北部にある、とある鉱山跡。
ここは、小学校高学年〜高校生までのわたしの大切な異界だった。
わたしが生まれ育った農村では、わたしは完全に余所者だった。彼らが悪いわけではない。人の笑顔や手作り料理のやりとり、地元への愛着、家族など、ふつう安らぐものが、なぜかわたしは気持ちが悪く、不安になり、少しでも離れたいものだったというだけだ。
その時間は隔絶されていられるので、読書と、詩や小説を書くこと
好きすぎて名前も言えない
わたしには敬愛するギタリストがいる。
別に隠す必要はないのだが、ファン仲間以外の前で彼の名前を言うことができない。言わなくてはならない場面では、彼の名前ではなく単なる音の連なりだ、と一旦自分を説得してから言う。
そうでないと、呼吸が詰まってしまって名前が言えないのだ。戸惑って、でも話を続けるためにあの呪わしい言葉を使う。「推し」が、と。
理由はいくつか思い浮かばなくもないが、呼吸がつまるほどのこと
活動(演劇/音楽/文芸)
その① 演劇活動
演出家。1982年生まれ。古典や小説を、人形の体の一部を使う『擬人体』という特殊な手法(ほぼどんな場面も上演可能)で上演している。
演出作品
2016年1月 幻想擬人劇『志賀寺上人の戀』 作 三島由紀夫 池上・古民家カフェ 蓮月にて
2016年9月 「擬人体」クローズド試演会②
2015年8月 「擬人体」クローズド試演会①
2012年11月 The Three WithHISA
きみどり〜新古今和歌集仮名序より
(だいぶ前にご依頼いただいて上演されたことばが出てきたので載せます。気に入っている作品です。)
人間が森の中で死んだ
うずくまり すべてに恥じ入るように身体を曲げて
森の中の死体はいずれ苔むし 無数の芽を吹く
心にあらかじめ植え付いた種が芽を吹く
種はしろい根を出し 筋肉の隙間に 爪の隙間に びっしりと すきまなく張り
内側に詰め込まれた親の世代のエネルギーを吸って
それを守っていた
両手に持ったままでは何も手に入らない
引っ越すことにした。二人から一人になったのと、異動希望を出したら叶ったので、異動先の近くに住もうと思ったのと、20年前に住んでいた街に最近行く機会があって、都心に近い下町に住んで、劇場やライブハウスやミニシアターに行きまくっていた生活をもう一度送りたいと思ったからだ。
それを誇るような気持ちは本当に微塵もないのだが、何度も何度も、持っているものを全て手放して状況をナイフで切り裂くようにして外に行