嫉妬、歪み
羨ましい。
親や「旦那」に楽器を買ってもらったり、表現をするために資金を出してもらったりする人が羨ましい。
浅ましいほどに羨ましい。
自信なさげに出したものを褒められる人が羨ましい。
やり方を学校で習う人が羨ましい。
学校で習ったり、人に言われたり、親の影響だったりを、素直に受け入れられる人が羨ましい。それに不満を言える人が羨ましい。
与えられたチャンスをやりたくないと言える人が羨ましい。そのチャンスを掴まなくても、充分に生きていける余裕を既に持っているのだとわかるから。
激しい嫉妬で性格の悪さが露呈する。怨み。怨念。悪霊のような黒い霧に自分がなっているのがわかる。
(あたしは親に河原乞食って言われたのに)
(あたしはひもじい思いをしてきついバイトを掛け持ちしてやっと買ったのに)
(ボコボコにされて見返してやろうと次々やってきたのに)
(こいつには負けねえ)
(甘ったれが)
重い荷物を持ってもらえた人が羨ましい。女の子だからやらなくていい?そんな容赦はわたしの人生にはなかった。
体力なんてない。でも持ち上げるしかなかった。あの仕事の重たい扉も。大量に入荷する点滴の段ボールも。ひっくり返った原チャも。自分で持ち上げるしかなかった。やったことない仕事も必死に覚えるしかなかった。馬鹿にされても笑うしかなかった。泣きながら一人で持ち上げたのに。土砂降りの冷たい雨の中を一人で歩いて帰ったのに。熱を出したら自分でポカリを4本と、レトルトお粥を買ってきたのに。すごく重かったのに。
具合悪くして帰った実家が針の筵でなかった人が羨ましい。愛した人に裏切られなかった人が羨ましい。子どもに出会えた人が羨ましい。
そんな気持ちで今日も思い切りディストーションをかけた。
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